第69話 ヒドラ戦

 ※投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 私とヒドラの目が合う。

 それが、リレーはたまた鬼ごっこのスタート合図とでもいうかの様に。


「ッ!!」

「「「「「ギュオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギョオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギュアアァァァァァ!!」」」」」

「「「「「ギィオアアァァァァァ!!」」」」」


 私は、ヒドラからダッシュで逃走。

 ヒドラ達は、私を追い掛けて来た。

 後ろを振り向く事なく身体強化を身体に施し螺旋道を駆け上がり逃げる。


「見えた!」


 走り出し数秒、視界の先に螺旋道入り口が見えた。

 第二十九層だ。

 私は、駆け足の速度を緩める事無く第二十九層を突っ切ろうと思った瞬間。


「っ!?」


 螺旋道入り口の先に見えた光景に止めるつもりは無かった足を止めてしまった。

 何故か。

 それは、巨大な蠢く黒紫色のモノが入り口の先に幾つも見えたからだ。

 黒紫色のモノには、見覚えがある。

 第二十九層で倒した巨大毒蜘蛛だ。

 その毒蜘蛛共が、入り口の先の景色が見えない位大量に居たのだ。


「嘘でしょ!?ってクソッ!」


 入り口を埋め尽くす毒蜘蛛の姿に思わず驚愕の声を出してしまう。

 それがいけなかった。

 私の声で私の存在に気付いた毒蜘蛛の何体かが、私を狙って入り口から螺旋道に侵入して来たのだ。


「炎そッ?ヤバッ!!」


 毒蜘蛛の侵入接近に即炎槍で迎撃しようとする。

 しかし、直後後ろから何かが噴出する様な音が聞こえ咄嗟に横へ飛び地面に伏せた。


 次の瞬間


『ズガガガガアアァァァァァァンッ!!!!』


 直ぐ側を何かが高速で地面、壁を深々と抉りながら通過し侵入して来た毒蜘蛛を巻き込みながら入り口を破壊した。

 背後を何が通過したのかは理解している。

 起き上がり周りを見れば、毒蜘蛛のバラバラ死体や抉れた地面、崩壊し瓦礫だらけの入り口に紫色の液体がビチャリとこびりついていた。

 間違いなくヒドラの猛毒液だ。


「「「「「ギュオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギョオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギュアアァァァァァ!!」」」」」

「「「「「ギィオアアァァァァァ!!」」」」」


 確認してる数秒の間にこれを起こしたご本竜達が迫って来た。


「クソ、早いな。ッ!!」


 巨体なだけあり歩幅も大きいのだろう。

 後十秒位猶予があると思っていたのに既にヒドラの姿が見えた。

 しかも、よく見れば頭を後ろに反らしている様に見える。

 あの動きは魔王との戦闘でも見た。

 猛毒液ブレスの予備動作だ。

 気付いた瞬間私は、血液支配+黒血を発動。

 百本近い大小様々な黒血剣を造り出す。

 目の前に出来上がった視界を埋め尽くす程の黒血剣。

 それを全て、ヒドラへ向けて放った。


「行け!」


 一直線に高速で飛んでいく百の黒血剣。

 相手は、亜竜といえど立派な竜。

 攻撃の妨害さえ出来たら万々歳。

 そんな気持ちで放った百の黒血剣の無差別弾剣攻撃は…………


「「「「「ギイ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」

「「「「「ギュ"イ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」

「「「「「ギョ"オ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」

「「「「「ギィ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」


 迫り来るヒドラの頭部、首、胴体、脚へと深く突き刺さりブレスの妨害に成功。

 更に、大きなダメージを与える事が出来た。


「マジ?」


 黒血の性能は、上の階層の魔物相手に確かめていた。

 その際、血液支配の性能がかなり上がると理解していたが正直な所竜クラスの相手には通じないと思っていた。

 しかし、どうやら私は過小評価していたようだ。

 流石、戦闘特化種族の力というべきか。

 進化し強くなった吸血鬼の力は竜相手にも十分に通用していた。


 ほへ~~。

 まさか、ここまで強かったなんて。

 これなら、何とかなる?

 いや、今は逃走が先。


 私は、ヒドラ共がダメージを受けて足を止めている隙に距離を取ろうと逃走を再開。

 崩壊し瓦礫だらけとなった入り口から第二十九層へと逃げた。


「え、居ない?」


 そこは、あれだけ居た巨大毒蜘蛛が一体も居ない静かな空間へと変わり果てていた。

 私は、索敵を発動。

 すると、反応があり毒蜘蛛共がここから真反対の方向へと移動しているのがわかった。


 移動してる。

 しかも、この方向って第二十八層に行ける螺旋道の入り口があった筈。

 もしかしなくても、上層を目指してねこれ?


 私が、索敵で確認していたその時。

 背後から、岩が倒壊する音。

 そして、ヒドラ共の咆哮が聞こえてきた。


「「「「「ギュオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギョオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギュアアァァァァァ!!」」」」」

「「「「「ギィオアアァァァァァ!!」」」」」


 後ろを振り向きヒドラを確認する。


「げぇッ!?」


 そして、驚いた。

 それはもう驚いた。

 何せ、四体全てが頭部を反らし私に向けてブレスを放とうとしていたのだから。


「ハアッ!!」

「「「「ギイ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」

「「ギュ"オ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」

「「「ギョ"オ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」

「「ギィ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」


 再び黒血剣を放ち止めようとする。

 しかし、先の攻撃で学習したのか余分にある自身の複数の首と頭部で防ぐやり方で防御しやがった。

 よって、残りの頭部は無事。

 今から妨害しようにも間に合わない。

 狙い射ちされては、直避けで避けきれる自信は無いし霧化してもブレスを数秒じゃ避けきれるかわからない。

『万事休す』そんな言葉が脳内に浮かんだ。


 ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!

 どうする、どうしよ!!

 どうにかしないとマジで死ぬ!!


 残された数瞬脳内で死ぬ気で思考。

 結果マトモなアイデアがろくに思い付かず。


「ああぁぁ~~もう!!」


 ヤケクソで唯一思い付いた黒血での血盾を造り出した。

 そして、私が盾を造り出した直後。


「ぐぅッ!!」


 とんでもない衝撃が盾を支える私の腕を襲った。

 だが、衝撃に襲われただけ。

 盾はブレスが直撃したものの破壊されずにすんだのだ。

 破壊されずにすんだのは、恐らく盾の形が良かったのだろう。

 私が造った盾は、円錐の形をしている。

 これが、ブレスを上手く受け流す様に受け止めているのだろう。

 咄嗟だったとはいえ上手くいったものだ。


 ヨッシャ~~上手くいった~~ッ!!

 だけど、やべえ超キツイ!!


 上手く防ぐ事は出来ている。

 とはいえ、前述通り防ぐ際にとんでもない衝撃はきているのだ。

 その衝撃は凄まじく身体強化を施しているにも関わらず、少しでも気を抜けば今にも地面から吹き飛ばされそうになる。

 しかし、それを気合いで耐え抜いた。


「オラァ!!」


 ブレスを耐え抜くと同時に、黒血の盾をヒドラに向けて全力で蹴り飛ばす。

 私の全力の脚力で蹴り飛ばされた盾は、高速で飛んでいきヒドラに激突。


「「「「「ギョ"オ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」


 円錐の鋭い先端が先頭に居たヒドラの胴体に突き刺さった。


「風爆!」


 蹴り飛ばす際に同時に準備していた風爆を暴走させて放つ。

 瞬間、桁違いの爆風がヒドラ共に襲いかかり動きを封じ込めた。

 その隙にこの場から離れるべく走り出す。

 私は、身体強化+脚に部分強化を施し全力で第二十九層を駆け抜ける。

 数分もすれば、見覚えがある螺旋道の入り口が見えてきた。


「着いた。にしても」


 道中魔物がほとんど居なかった。

 そして、この入り口前にもあれだけ居た毒蜘蛛が数体居る程度だった。

 間違いなく上層へと移動している。


「これ、マジでヤバくない」


 糞魔王は、スタンピードと言っていた。

 それが本当なら、直に魔物はダンジョンから溢れ出して街で暴れだすだろう。

 その溢れ出す魔物は、ヒドラも例外ではない。

 現にヒドラは、最下層を抜け出している。

 このまま対処しなければ、最後にはダンジョン自体から抜け出す事だろう。

 ヒドラが四体も街で暴れる。

 そんなの、本気で街が滅びかねない。

 そうならない為にも。


「ここで倒さないと」


 私は、ヒドラを倒すべく準備に取り掛かった。


「来たね」


 準備を始めて罠を仕掛け終えてしばらく。

 前方から重い足音が複数聞こえてきた。

 見なくてもわかる。

 ヒドラがここまでたどり着いた。


「「「「「ギュオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギョオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギュアアァァァァァ!!」」」」」

「「「「「ギィオアアァァァァァ!!」」」」」


 ヒドラ共は、私に気付いたのか咆哮をあげると速度をあげて迫って来た。

 それを確認した私は、意識を乱さない様に集中力を高める。


「さて、頑張りますか」


 ヒドラに向けて駆け出す。

 迫る私にヒドラ共は、お得意のブレスを放とうとするが遅い。

 私は、スライディングするようにヒドラの真下の地面を滑り抜けて背後に回り込む。

 背後に回り込むと私が先程まで居た辺りから轟音が聞こえた。

 ブレスが地面に直撃した音だろう。

 それを気にせず、ヒドラに向けて水槍を幾つも放ち攻撃しまくる。

 しかし、気にした様子はなく直ぐにブレスを放ち終えたヒドラが首を曲げてこちらを向いてきた。

 それを見ると同時に私は、移動しようとする。

 だが、今度は私が動き出すのが遅かった。


「「「「「ギュアアァァァァァ!!」」」」」

「クソッ!」


 動く前に一体のヒドラがブレスを私目掛けて放ってきた。

 五本の高速で迫り来る猛毒。

 避けようとするも私の動きに合わせて首を動かしブレスの軌道を変えてくる。

 直撃すれば身体がバラバラに砕けて死にかねない。

 決して当たる訳にはいかないと死ぬ気で回避しようとする。


「がぁ"!?」


 油断はしていなかった。

 しかし、ブレスの軌道に注意を向けていた隙に死角からヒドラの長い尻尾で弾き飛ばされてしまった。

 高速で吹き飛び岩壁に叩き付けられる。

 激痛が胸部、背中、後頭部に走るがイヤリングの効果のおかげで動けない程のダメージにはならなかった。


 痛っつ~~!!

 集中力が切れかけた危ねぇ。

 直ぐに動かっ!!?


 視線を前に向けた瞬間、横に向けて身体を投げ出す。

 直後、自身の真横を光線の如き紫のブレスが通過。

 背後の岩壁が轟音を鳴らしながらひび割れ砕けた。

 それを見て冷や汗が流れるが、私には一瞬も息をつく暇は無かった。

 視界に映った幾つもの動き。

 ろくに確認もせずに私は、咄嗟に霧化。

 それと同時に、霧化した私を十を越えるブレスがのみこんだ。

 私は、死ぬ気で霧を動かし何とかブレスの影響範囲から逃れると霧化を解除。

 移動しながら御返しと炎槍を何十発と放った。


「「「「「ギイ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」

「「「「「ギュ"イ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」

「「「「「ギョ"オ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」

「「「「「ギィ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」


 炎の槍が突き刺さり肉を焼かれる痛みに苦しみの声をあげるヒドラ共へ更に追い討ちの攻撃を放とうとした。


 その時


「ッ!がぁ"あ"ッ"!!?」


 突然脚に痛み、痺れが襲い掛かかり攻撃の手を止めてしまった。

 いきなりの事に理解が追い付かず警戒が薄れてしまう。

 そんな状態を晒せばどうなるか。


「ッ!?ぎぃ"い"い"ッ"!!!」


 何とか左へと避けようとするも間に合わなかった。

 直後、右肩を襲った耐え難い激痛。

 痛みに何とか耐えながら近くの岩の後ろに隠れて自身の状態を確認する。


「ぐぅ"あ"あ"……やっぱり、またか。痛づッ!」


 正直、見なくてもわかっていた。

 直撃した瞬間襲ってきた喪失感は、昨日感じたばかりな為に鮮明に覚えている。

 視界に映る右腕は、肩から先が何も無かった。

 私は、嫌な事に連日片腕を失う怪我を負ってしまった。

 しかも、最悪な事に今度は傷口が猛毒で覆われている。

 訳あって血液支配が使えないので、止血はせずに傷口の毒だけ水魔法で洗い流す。

 だが、洗い流すのが少し遅かった。


「がっ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」


 右肩を中心に身体を襲う痛み、痺れ。

 それは、先の脚に感じたモノと似ておりまさかと思い脚を確認する。

 すると、足首辺りが紫色の液体で汚れていた。

 気付かぬ内に毒液を浴びていた様だ。


 どうりで、脚が動かない筈だよ。

 ハァ~~最悪。

 肩が糞痛い。

 それに、毒で全身が痛いし痺れてきたよ。


 私は、収納から解毒薬を取り出して飲み干す。

 そして、集中して罠の状況を確かめる。


「…………ッ!。フフフ、終わったね」


 どうやら、罠の準備は完全に完了。

 痛み、痺れを我慢して私は立ち上がりヒドラ共の前に姿を見せる。


「「「「「ギュオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギョオアアァァァ!!」」」」」

「「「「「ギュアアァァァァァ!!」」」」」

「「「「「ギィオアアァァァァァ!!」」」」」


 私を見るとヒドラ共は、キレてるのか顔を歪ませると咆哮を一つあげ二体はブレスを放とうとし残り二体は、何故か私に迫って来た。


「ん??まぁ、どうでも良いや」


 疑問は感じたが、私は気にせずヒドラとの戦闘を終わらせるべく仕掛けていた罠を発動する。


「黒血棘針」


 私がそう呟いた瞬間。


「「「「「ギイ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」

「「「「「ギュ"イ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」

「「「「「ギョ"オ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」

「「「「「ギィ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」」」」」


 ヒドラ共の頭部、首、胴体の身体中から何十、何百もの黒く鋭い刺が飛び出した。

 しかし、飛び出したのはヒドラ共の身体からだけではない。

 周囲一帯の至る所から無数に黒く鋭い刺が飛び出しヒドラ共の身体を突き刺し貫いていた。


『黒血棘針』

 私が、仕掛けていた罠だ。

 私は、この周囲一帯を黒血で強化した血液を霧状にして漂わせておいた。

 ヒドラは、その血液の霧を気付かず吸い込んで体内に取り込んでいたのだ。

 私は、それを血液支配で操作し長大な刺へと変化させた。

 威力は、この通りでかなりのモノ。

 しかし、これはかなり集中力が必要でこの間は、霧を維持する為に血液支配を使えなかったし攻撃を受けた時は、危うく血液の霧が解けかけた。

 だが、何とか集中力を維持し続け無事成功した。


「おぉ~~凄。これでも死なないか。まぁ、予想通りだけど」


 身体中を中、外から貫かれる大ダメージを負い大量出血しているにも関わらずヒドラは生きていた。

 しかし、生きているだけ。

 身体中を貫かれている為に、その場から一歩も動く事が出来なくなっていた。


「終わらせるか」


 私は、残っている左手を上に向けると掌に火球を生み出す。

 そして、生み出した火球へどんどん魔力を注ぎ込んでいき1mはある巨大な火球を作り出した。

 過去三回作り出したあの火球だ。

 魔力の制御を外し暴走させる。

 瞬間、火球の熱量が一気に上昇。

 安定していた火球の表面がメラメラと不安定に燃え盛り始めた。


「それじゃあね」


 私は、その言葉と共に暴走する火球をヒドラ共に向けて放った。

 火球とヒドラ共が触れる。

 瞬間、桁違いの爆発音、爆風、熱風が発生。

 私は、耐えきれず吹き飛び地面を転がっていった。


「痛てて。どうなったかな」


 何とか起き上がり爆心地を見る。

 すると、そこには何かの残骸らしき大きな黒い物体が幾つか転がってるもののヒドラ共の姿は見えなかった。


「索敵……居ない。あの黒いのがヒドラの残骸?」


 索敵しても反応がない。

 現場の状況から考えてもそうとしか思えない。

 つまり、私はヒドラ共との戦闘に勝利したって事。


「シャ~~~~!!!」


 残った左手を挙げて喜ぶアカリ。

 勝つつもりではいた。

 しかし、負ける可能性の方が高かった為に純粋に勝てた事が嬉しかった。


「勝った~~ん?……あ」


 喜んでいると、何か聞こえふと上を見上げる。

 すると、『ピシッ、ビキッ』と天井から嫌な音が聞こえ私は、反射的に走り出した。

 上手く動かない身体にムチ打ち走る。

 直後、背後から聞こえてきた地面を揺るがす様な衝撃と轟音。

 後ろを振り返れば、先まで私が居た辺り一帯が天井の崩落により瓦礫の山と化していた。


「あぁ~~やっぱり、崩落しちゃったか」


 暴走火球を使えば、崩落すると思っていたので直ぐに納得は出来た。


 しかし


「やべえ、これ撤去しないと進めない」


 崩落した瓦礫は、道を塞ぎ天井近くまで届いており退かさないと進めそうになかった。


「ハァ~~仕方ないか」


 私は、収納を発動してチャチャっと周囲の瓦礫を収納していく。


「こんなもんかな。それじゃあ、進もっかな。………ん?」


 あらかた撤去も終わり上層へ向かおうとしたその時、何か瓦礫とは違う綺麗な球体が見え左手でそれを拾い上げる。


「何これ?」


 握り拳位の大きさの紫色をした綺麗な球体。

 今までこんな物を見た事が無いので正体が何なのかわからず鑑定を掛けてみた。


 すると


 ────

 名前:毒の宝珠

 詳細:『毒生成』のスキルを身に付ける事が可能となるスキルオーブ。

 自身のMPを消費する事で毒を生み出す事が出来る。

 MPの消費量、スキルLvが高い程毒の量、性能が高くなる。

 ────


 まさかの、念願のスキルオーブであった。


「………………ふぁ?」


 アカリの頭は、いきなり過ぎて理解が追い付かないのであった。

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