第58話 いざ、夢の○○○○○へ!!
さぁ!やって参りました!
森越え、原越え、街を越え!!
馬車を乗り換え多分2週間!!
時には、魔物の群れに襲われて大慌て。
時には、同乗客のロリショタ達と遊んだ際にフードを脱がされ視線を集めて居心地悪く。
それでも耐え抜き私は、遂にやって来た!!
「やっと着いた。ダンジョン都市アルタナ!!」
ダンジョン都市アルタナ。
アストレア王国とイスピア共和国の国境近くにある都市だ。
名前からわかる通りダンジョンで栄えている場所でアストレア、イスピアの両国の冒険者や商人が集まり年中栄えている事で有名らしい。
その証拠に、目の前には多くの冒険者や商売に勤しむ商人達で賑わう街並が広がっている。
「いや~~凄いねぇ。オーレストやカラクとは、桁違いに冒険者や商人が居るや。まるで、お祭りみたい。っていけないいけない。突っ立ってないで宿探してそれから、冒険者ギルドに行かなきゃ」
さて、私が宿を探してる間に何でこんな所に居るのか経緯を少し振り返ろう。
※※※※※
かれこれ多分2週間位前。
私は、依頼を受けながら森で自己鍛練に励んでいた。
「ほらよっと」
「ゴガ…ア"、ァッ」
「……弱」
倒した魔物は、キラーベア。
受けた依頼の討伐対象だ。
それを私は、血剣で心臓を貫いて抉り破壊する事で倒した。
あまり、こう言う言い方をすると調子に乗ってるみたいで好かないが、相手が弱くて張り合いがない。
「んん~~強くなった証拠なんだろうけど。このままじゃなぁ。今より強くなれそうにないんだよなぁ」
スキルだけであれば、今の様に自己鍛練に励めばスキルLvを上げられる。
しかし、根本的な自己の強さを上げるには強い魔物を多く倒してレベルを上げるのが一番良い。
だが、オーレストで受けられる近場の依頼で滅多に強い魔物の討伐はあまり無い。
今回のキラーベアだって久々の中型の魔物の討伐依頼だった様なのだから。
「どうしたもんか」
私が強くなりたい理由は単純。
死にたくないから。
カラクでの防衛戦で、ザクトをどうにか重傷を負わせ魔王の乱入はあったが結果的に退かせる事が出来た。
だが、あれは本人は本気だった様だが私を格下の弱者と見下して油断していたから出来ただけ。
次戦闘する事になれば油断なんてしないだろうし初めから本気だろう。
そうなれば、進化したとはいえ今の私の実力では勝ち目が薄いだろう。
だから、今よりもっと強くなる必要がある。
ん?
そもそも、ザクトと戦う事があるのかだって?
知らん。
ただ、魔王が人類を滅ぼそうとするならザクトとも再び戦闘する事があると思っただけ。
それに、漫画、ラノベとかだと強敵との再戦は定番。
だから、もしもに備えてる。
何か私、前世の時からフラグやテンプレに絡まれやすいから。
そう言う訳で強くなろうと思ってるのだが、如何せん強くなる為の環境がない。
「ゲームとかだと、レベルUPと言えば魔物が湧いてくるダンジョンに籠るとかあるけど。オーレストには無いしなぁ」
私は、どうしようかと頭をしばし悩ませ一つの結論に辿り着いた。
そうだ、無いなら行けば良いじゃん……と。
前世のオタク時代、私の欲しいグッズが近場の何処の店にも売って無かった時、電車を乗り継ぎ買いに出掛けた時同様。
今回も同じ様に無いならある場所に出掛ければ良いのだ。
前なら私は新米のせいでダンジョンの利用は無理だったが、幸い今の私はBランクハンターなので問題ない。
「そうと決まれば、準備開始だぁ!!」
私は、前から行きたかったダンジョンへと向かう事にテンションが上がり即行で街に帰り準備開始。
資料室へと行きダンジョンに関する資料を読んで良さそうなダンジョンを探す。
その中で、ダンジョン都市と呼ばれている『アルタナ』という名前の都市を見付けた。
どうやら、大規模なダンジョンらしく多くの冒険者が利用しているらしい。
例のイスピア共和国との国境近くにある様でかなり距離は離れているが、出てくる魔物もそれなりに強い様で今の私の目的にはピッタリだった。
「行き先は決まったね」
目指すは、『ダンジョン都市アルタナ』に決定だ。
「遠出になるし必要な物を揃えないと」
その後、私は必要になりそうな物を買いに街へと買い出しに出た。
幸い何故かここ1週間ちょっとの間に、アホみたいにお金が貯まったのでお金の心配は無い。
なので、防衛戦で消費した回復薬の類い。
戦闘のせいでボロボロになり予備の無い服。
それらを久々にドイルさんの店を尋ねてまとめて買い込んだ。
「これで良し。後は、馬車の予約をして……あ、一応カリナさん辺りに街を出る事言わなきゃ」
勝手に別の街に行ったとしても文句を言われる筋合いは無さそうだけど、一応はこの街で活動してる冒険者なのだ。
拠点を一時的に変えるのなら報告はしといた方が良いだろう。
そう思い私は、冒険者ギルドに戻りカリナさんの受付窓口に向かう。
「アカリさん。どうかされました?」
「実はですね、ちょっと遠出してきますのでしばらくオーレストを離れます。なので、報告に来ました」
「そうですか。しばらくしたら、戻っては来るんですよね?」
どれ位アルタナに留まるのかは決めていないが、別にずっとアルタナに居るつもりはないのでカリナさんの言葉を肯定する。
「ちゃんと戻ってくるつもりですよ」
「わかりました。お帰りをお待ちしてますね?」
「はい。行ってきますね」
ギルドを出た私は、商業ギルドに行きアルタナに行く為の馬車を予約しようとした。
ただ、流石に距離が遠い事もあり一度の馬車では行けないらしく前世のバスや電車の様に何度か途中の街で乗り換える必要があるらしい。
なので、受付嬢の方に教えてもらい途中の街までの馬車を予約した。
そして翌日
私は、無事馬車に乗ってアルタナへと向かうのだった。
※※※※※
本当に長かったよ。
まさか、2週間?近くも掛かるとは思わなかったなぁ。
まぁ、オーレストとはかなり離れた場所だから仕方ないか。
てか、今更だけどカリナさんにアルタナが目的地って伝えなくて良かったのかな?
んん~~~別にいっか。
これまでの事をボケ~と思い出して歩いていると良さそうな宿を見付けた。
「そこそこ大きくて綺麗だしここにしようかな?こんにちは~~」
ドアを開け宿屋へと入る。
建物の中は、外観同様綺麗で掃除が行き届いているのが伺え印象としてはとても良さそうに感じた。
「いらっしゃいませ。宿屋『華の宮』へようこそ」
ドアの開く音で気付いた受付に立っていた女性が、笑顔で迎え入れてくれた。
「宿泊したいんですけど空いてますか?」
「はい、空いてますよ。1泊大銅貨5枚、朝夜食事付きの場合追加で大銅貨1枚と銅貨2枚になりますがどうされますか」
「そうですね」
ここにどれ位居るのかわからないが、少なくも1週間以上は居るつもりだ。
だけど、ダンジョンに行くのならダンジョン内で泊まり掛けもありえる。
なので、一先ず一泊で良いだろ。
「とりあえず、食事付きの一泊でお願いします」
私は、食事付きの一泊分のお金を収納から取り出して受付テーブルに置いた。
「丁度ですね。宿泊ありがとうございます。こちら、部屋の鍵です。部屋は、2階の左手側になります。それと、お風呂は基本何時でも入れますが早朝と夜間の遅い時間帯は、掃除で入れませんのでお気を付け下さい」
「はい。わかりました。ありがとうございます」
「いえいえ、ごゆるりとおくつろぎ下さい」
その後、言われた部屋へと行く。
部屋は、中々に広く丁寧にベッドメイキング等もされており快適に過ごせそう。
このまま、ベッドに飛び込んで眠りにつくのも良いがまだ予定があるので部屋を後にして受付に戻る。
「すみません」
「お客様、何か問題でもございましたか」
女性は、先程対応したばかりの私の顔を見て何か問題があったのかと不安そうな表情を見せる。
別に、問題等は無いので女性に一度出掛けると話して安心させると鍵を預けた。
「一応夜には帰ってくるつもりですので」
「了解しました。帰りをお待ちしてますね」
「はい。行ってきますね」
「行ってらっしゃいませ」
女性に見送られ宿を出た私は、次なる目的地である冒険者ギルドに向かう……が。
「何処にあるん?」
初めての地の為に、冒険者ギルドの場所が何処なのかわからない。
アカリは、さて困ったと悩む。
しかし、まぁ、そこらを歩いてる冒険者が大体似た方向に歩いてるのでついて行けば冒険者ギルドにたどり着くだろと思い適当な冒険者の後をついて行った。
そして、ついて行った結果。
「シャッ!着いた。冒険者ギルド」
無事今度は、迷子になる事なく冒険者ギルドにたどり着く事が出来た。
「相変わらずデカイなぁ。それと、もしかしてあれが?」
目の前には、岩壁を背に建つ見慣れた剣と盾のエンブレムを掲げた大きな冒険者ギルド。
そして、建物の横に存在する大きな洞窟の入り口。
多くの冒険者が出入りしているのを見るにあれが、ダンジョンで間違いないだろう。
「資料通り、洞窟型のダンジョンか」
アルタナのダンジョンは、洞窟に出来た階層型のダンジョンで何でも地下30階層あるとか。
過去にAランクハンターが、30階層まで踏破して確認したと言われている。
ただ、それ以降そこまでたどり着いた者がいないそうで真実かどうかは不明だ。
まぁ、今の私じゃまずそこまで行けないだろうから関係無いけど。
「さてと、まずはギルドに行きますか」
ダンジョンの利用方法等諸々の事を聞く為に私はギルドへと入る。
中は、今まで見たギルドと同じで受付窓口、クエストボード、買い取り窓口、食堂と似た作りで利用に困る事は無さそう。
ただ、やはり冒険者の数はオーレスト、カラクとは桁違いに多いので並ぶ時間が長そう。
でも、幸いに今は窓口利用者が少ない時間帯な様で並んでる人が少かった。
「並ぶか」
そして、予想通り直ぐに順番が回ってきた。
「冒険者ギルド、アルタナ支部へようこそ。ご用件をお伺いします」
「こんにちは。実は、ダンジョンに入りたいんです。でも、初めてなものでしてダンジョンの利用方法がわからないんです」
「そうでしたか、ではお教えしますね」
面倒だろうに受付嬢の女性は、私に利用方法を丁寧に教えてくれた。
ダンジョンは、基本的に何時でも入れるそう。
ただ、必ずギルドで入る際に手続きをしてから入らないといけない。
そして、ダンジョンから戻ってきたら再び窓口で帰還した事を伝える。
そうでないと、もしダンジョンから戻ってきていない冒険者が居たら気付けないからだ。
「それと一つ。ダンジョンは泊まり掛けOKですが、出来たら1週間に1度は戻ってきてもらえると助かります。それ以上泊まられると無事なのか判断に困りますので。ダンジョンについての説明は、主にこれくらいですかね。他に質問等はありますか?」
「大丈夫です。ありがとうございました」
「いえいえ。所で、これからダンジョンに入られますか?入られる様なら手続きしますよ」
外もまだ明るく夜になるまでまだ時間は十分にある。
少しの間ならダンジョンに潜っても宿の夜食に間に合うだろう。
なので、私はダンジョンに少し入ってみる事にした。
「はい。お願いします」
「了解しました。でしたら、ギルドカードをお願いします」
「どうぞ」
「お預かりします」
言われた通りギルドカードを取り出して受付嬢の女性に手渡す。
受付嬢の女性は、机から一枚の用紙を取り出すと受け取ったギルドカードを見て何かを書いていく。
多分だが、ダンジョン利用者の名前や職業、ランクと言ったものを書いているのだろう。
仮に帰ってこない冒険者が居たらそれを元に誰なのか特定して捜索等するのではないだろうか。
そんな事を考えてる間に記入が終わった様で受付嬢の女性は、私にギルドカードを返却してくれる。
「お返しします。どうぞ、お気を付けて」
「はい。行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
ギルドカードを受け取った私は、そのままギルドを出ていき洞窟の前に行く。
「おっきい」
ギルドに入る前にも軽く見てはいた。
しかし、こうして実際に前にしてじっくり見ると迫力が違う。
ここまで大きな洞窟なんて、前世でテレビや写真でしか見た事が無い。
そんな巨大な洞窟をこうして自分の目で見れた事に私は、軽く感動しそうになる。
しかし、今は感動している場合では無い。
ダンジョンに入っていられる時間は有限。
早く入って少しでもダンジョンを長い時間探索しなければ。
「それじゃあ、ダンジョンへLet's Go~!!」
そうして、私はダンジョンへと足を進めた。
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