第14話 吸血鬼さん疲れる
※武器の希少度を少し弄りました。
ウルフの群との戦いに奇跡的に本っ当~~に奇跡的に無傷で勝利する事が出来たアカリは、現在空を飛んで街まで帰っている最中であった。
「ハァ~~私良く無傷で勝てたよなぁ。本当奇跡としか思えないよ」
私は、ウルフとの戦闘を思い出しながら深々とため息をつきそんな事を口にする。
もしかして、加護のお陰とか?
実際アカリは、女神様から加護を貰ってるから奇跡の1つや2つ起こってもおかしくないかもしれない。
しかし、加護の詳細には運勢が上がる等は記されてなかった。
いや……そもそも、そんな効果が本当に有るんだったらウルフの討伐に行って群になんて遭遇するはずないか。
だとすれば
「………………私の運が悪いだけか」
アカリは自分の運の低さに項垂れるも、まぁ何とかなったんだから良いかと気持ちを切り替える事にする。
「まぁ、助かったし良いか。それより、さっさと街に帰ってのんびりしたいよ」
幾ら吸血鬼の身体が疲れにくいとはいえ、それはあくまでも肉体のみ。
精神面まで特別等の事はなく少なくともアカリの精神は人間の頃と同じだ。
その為、ウルフの群との戦いはアカリの精神を問答無用で疲弊させた。
「初めての依頼を達成したばかりだけど、当分は何もする気が起きないよ」
うん、明日から暫く休もう。
「そういや、私この世界の事まだ何も知らないんだよなぁ」
何せまだ転生して3日目なのだ。
私が知ってる事なんてここが異世界、街の名前がオーレストな事位で他の事なんてほとんどわからない。
この世界については無知と言って良い。
「流石に、このままだと不味いよなぁ。どうにかしてこの世界の事を学びたいけど………あ、そういえばギルドに資料室が有るんだっけ?」
カリナさんがギルドカードをくれた時の説明でギルドの施設内に資料室があると言ってたような。
「確か、頼めば中の資料を見れるとか言ってたっけ?……これなら、この世界の事については多少は学べるかも?」
ギルドの資料なので一般的な常識を知れるかはわからない。
ただ、少なくともこの周辺の地理や魔法、スキル、魔物等の冒険に必要な事は多分知れると思うので別に良いだろう。
それに、一般常識に関してはアリサやカリナさん等の他の人に聞けば知る事が出来る。
まぁ、その際に私は無知を晒す事になって軽く恥ずかしい思いをする事になるのだが。
「あ……漸く門まで着いたよ」
街の門に到着したアカリは、門の直ぐ近くへと降り立つ。
「アカリの嬢ちゃんお帰り。無事に帰ってきたな」
「門番さんただいま。うん……まぁ、何とか無事に生きて帰れたよ……ハァ~~」
「お、おう……お疲れさん。まぁなんだ、元気出せよ」
「うん。はい、これギルドカード」
「あぁ……確認した。ほら返すな」
「うん。それじゃあ門番さんも仕事頑張ってね」
「おう。嬢ちゃんもまたな」
私は門をくぐり街の中へと入って行った。
※※※※※
街の中へと入った私は、そのままギルドへと真っ直ぐ向かった。
「あ!アカリさんお帰りなさい」
「アリサ……ただいま」
ギルドに入ると既に帰っていたアリサがいて、私に気付いて出迎えてくれた。
「アリサは依頼無事に終わったの?」
「はい。この前とは違って魔物にも会いませんでしたしアカリさんと別れた後に薬草も必要な数が揃ったの直ぐに終わりました」
「そうなんだ。良かったね」
「え?アカリさん?」
「ん?」
アリサと話していたら近くから誰かが私の名前を呼んだのでそちらを向く。
「あ、カリナさん。ただいま」
「はい。お帰りなさい。ずいぶんと早く帰って来ましたね。まさかもう終わったんですか?」
「ハハハ……実はですね…………」
私は、依頼であった事をカリナさんへと話す。
すると、カリナさんは直ぐに驚いた様な顔になり私に詰め寄ってきた。
「え!?群に遭遇した!!しかも、そのまま1人で戦って倒したって……え?本当に?嘘じゃないんですよね?」
「嘘じゃないですよ。出来たばかりなのか遭遇したのは15体の小規模の群でしたし連携の練度もそこまで高い訳ではなかったので何とか助かった感じです」
本当に群が出来たばかりのものだったのは私としては不幸中の幸いだった。
今回は、奇跡的に無傷で勝てたがあれがもっと数が多く何度も戦闘を経験した群だったなら今の私なんてあっさり包囲されて殺られたに違いない。
本当このことだけに関して言えば運が良かったよ。
いや…まぁ、本当は遭遇しないのが一番なんだけどね。
「ですけど、群と戦ったにしては怪我が1つも……」
「……攻撃全部避けたんですよ。そりゃあ痛いのは嫌ですもん。魔法使って死ぬ気で頑張りましたよ」
「そ、それは……た……大変でしたね」
「…………アカリさん……本当お疲れ様です」
「ハハハ」
しかし、悪い事ばかりでも実際なかった。
群と戦う前に言った通り今回の討伐で再びレベルが上がったのだ。
そして、今のステータスはこんな感じ。
────
名前:アカリ
種族:ヴァンパイア
状態:通常
LV :7/10
HP :158/158
MP :98/174
筋力 :143
耐久 :91
敏捷 :147
魔法 :128
─スキル─
【鑑定】【収納】【言語理解】【血液支配Lv1】 【吸血Lv1】【眷属化Lv1】【索敵Lv2】
【偽装魔法】【火属性魔法Lv1】【水属性魔法Lv2】
【風属性魔法Lv2】【土属性魔法Lv1】【再生Lv1】
【日射耐性Lv4】【状態異常耐性Lv5】
─称号─
【女神アリシアの加護】【女神アリシアのお詫び】
【Dランク冒険者】
────
レベルが2上がり順調に少しずつ強くなっている。
そして、嬉しい事に水属性魔法のスキルLvが2になっていた。
今回の戦闘ではそこまで使ってなかったが、戦闘以外でも汚れた時や水を飲みたい時などに使ってたお陰で今回上がったのだろう。
この調子で他のスキルLvも上げていきたい。
「とりあえずカリナさん。依頼達成の手続きとウルフの解体頼みたいのでお願い出来ます?」
「はい。お任せ下さい」
そうして、私は買い取り窓口で今度はウルフを18体預けそれをカリナさんが確認した事で無事初めての依頼は成功したのだった。
※※※※※
「アカリさん、この後どうされる予定ですか?」
「特には決めてないかな。とりあえず街の中を散策しようかなとは思ってるけど」
今日は流石に疲れたのでギルドの資料室に行くのは明日からにしようと思い街の中を軽く見てまわる程度にしようかと考えていた。
「だったら私が案内します。私もこの後は予定がなくて暇でしたので」
アリサは自分が案内をすると言う。
しかし、本当に良いのかと思い念の為確認する。
「良いの?私としては嬉しいし有り難いけど」
「はい。大丈夫です。それじゃあ行きましょう」
そして、私はアリサの案内で街の中を見てまわる事になった。
アリサの案内で街の中をまわっていた私が現在居るのはとある店。
「ここは、良く冒険者の人達が利用してる店として知られてるんです」
「へえ~色んな武器が置いてある」
そう、アカリ達が今居るのは武器屋だ。
私が武器を見てみたかったのでアリサに聞いてみた所直ぐ近くにあると言うので案内してもらった。
「剣に槍、ハンマー、メイス、他にも色々ある……凄いね」
「はい。何でもこの店はギルドと提携してるとかで冒険者が良く利用してるそうですよ?」
提携してるって事はギルドが武器の品質を信用してるって事だよね?
と言うことは、かなり腕の立つ職人が造ってるのかな?
「へえ~実物を持つのは初めてだけどやっぱり重いね」
私は、近くにあった剣を持ち上げてみる。
すると、手にどっしりとした重さが伝わり金属で造ってるだけあり重く感じる。
しかし、アカリの筋力は143と恐らくそれなりに高いので普通に持ち上げらた。
あっちは私の血で造ってるからなのかそこまで重く感じないけどこれはしっかりとした重さを感じるし刃の鋭さもこっちの方が鋭いや。
「やっぱり本物は違うね」
「どうかしました?」
「いや、何でもないよ」
そうだ、武器って鑑定したら何かわかったりするのかな?
アカリは、こっそり鑑定と呟き武器を鑑定する。
すると
────
名前:アイアンソード
希少度:アンコモン
詳細:鉄鉱石で造られた剣。腕の良い鍛冶師が丹念に造った事でコモンからアンコモンへと希少度が上がっている。
────
うお!凄い武器の希少度とかゲーム見たい。
それにしても、アンコモンへと上がったって事はこれよりも下や上があるのかな?
ゲームとかだとレジェンドとか有るけどこの世界にもあったりするのかね。
元オタクとして凄く見てみたい。
う~ん……冒険者してたらその内見れたりするかな?
その後も、ちらほらと武器を鑑定したり店内にいた店員の人に武器について話を聞いてみたりと楽しんで店を後にした。
「いや~~楽しかった」
「アカリさんとても目が輝いてましたもんね」
「こうして武器を間近で見る機会が無かったからつい楽しくてね」
「そうなんですか?」
「うん。だから、本当は鍛冶師の人にもあってみたかったんだけどね」
「居ませんでしたもんね」
そうなのだ。
てっきり鍛冶師にもあえるかな?と少し期待してたのだが残念ながらあえずに終わってしまい正直かなりガッカリしている。
まぁ、別日にでももう一度店に行けば良いだけなのだが。
「そう言えば、アカリさんは武器を使ったりするんですか?」
「武器?そうだね……剣位なら使えない事もないけどそこまで得意ではないかな」
「そうなんですね。てっきりアカリさんなら武器も得意なのかと思いました」
「そんな万能じゃないよ私は」
いくら吸血鬼スペックが高くても武器を自由自在に操るのはちょっと難しい。
流石に、使おうとするなら練習が必要だろう。
「アリサの方こそ護身用に武器とか持たないの?」
「私は無理ですよ。筋力もないし武器を上手く扱えるようなスキルもないですし」
「アリサって自分のステータスわかるの?」
「いえ、知りませんよ。ギルドで利用料を払えば鑑定出来るらしいですけどやったことないです」
「え!?ギルドで鑑定出来るの」
「はい。確か大銅貨2枚だった気が」
女神様のメッセージに鑑定される的な事は書いてあったけどギルドにあったとは。
こりゃステータスにも偽装魔法した方がいいかも。
何か私カリナさんに職業疑われてるしその内いきなり「アカリさん!!鑑定させて下さい!!」とか言って来そう。
私が、内心そんなフラグめいた事を思ってるとふと何かを思い出した様にアリサが私に聞いてくる。
「あ、そう言えばアカリさん今日も泊まられます?先生達も他の子達もアカリさんの事気に入って良かったらまた泊まっても良いと言ってましたけど」
「え?また泊まって良いの?」
「はい。と言うか多分このまま何もお別れを言わずに宿に行けばあの3人が泣きそうです」
「あ~~~~うん。想像出来た」
「なので、出来たら泊まって貰えるとありがたいです」
あれだけ私に懐いていたのだ何も言わずにどころか別れを言ったとしてもきっと大泣きするだろう。
そうなれば、必然的に最年長のアリサは先生達と泣き止ませる為に苦労する事になるだろう。
うん。
アリサと先生達の為にも泊まろう。
「あ~~うん。了解今日も泊まるよ。だけど、せめて何かお土産でも。手ぶらは申し訳ないから」
「アカリさん…ありがとうございます」
「気にしないで。とりあえず、お土産選びに行こ」
そうして、私とアリサはお土産に日持ちする食材を幾らか買って孤児院へと戻り私は、もう一日泊まらせてもらった。
因みに、私は帰ってきた?と同時に昨日同様子供達に群がられて遊んであげることになった。
うん。
本当に何でこんなに懐かれるんだろう。
そして、やはりと言うか何と言うか女の子3人に問答無用でお風呂へと連行された。
えぇ……とても、疲れましたよ。
昨日も思ったけどお風呂でも遊ぼうとするからとてもヒヤヒヤして癒される時間なのに逆に上がった時にはぐったりしていた。
私……今日は死にそうな目にあって疲れてたからもう少しゆっくりしたかったんだけどなぁ。
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