アンチパワー

@nemow93

第1話 宿命

この世の中には、無数の力が存在する。中には、その力で国を収める者、人を殺す者など多種多様な人がいる。


この世界では、力がすべてを支配する。


だが、その中でも価値の低い者たちは、奴隷として扱われてきた。


そして、奴隷達はずっと太陽のない暗闇の中で、薄々と働いている。地下に行けば行くほど身分は低くなる。そして、最下層では食料や生活用品を求めて奴隷同士で争いが絶えなかった。


辺りは、血塗られた人々や死体が今日もたくさんうごめいている。


僕は、生まれつき「力」が発現しなかった。そのことを知ると両親も僕をまるで虫けらを見るような目で睨みつけてきた。


そう…この国の人たちはほとんどの人は生まれつき「力」というものが発現する。


中には、無自覚で人を操ることのできる者や、思い描いたものを形にすることのできる者、体にみなぎる力を頼りに剣を振りかざす者、いろんな人がいる。


でも、僕には力がない。最初から人生そのものを否定されたのと一緒だ。


なにか一つでもいいから、力が欲しかった。


「おい、8番お前ちゃんとしろよ!仕事の一つすらまともにこなせないのか?」


「…」


「黙ってんじゃねぇよ!なんか言えよおらぁ!」


腹に拳を振りかざされる


「おふっ!…僕はっ…!お前なんかにはっ…!屈しない!たとえこの命がっ…無くなっ…ろうと…。」


「お前みたいな落ちこぼれには、それ相応の罰がいるみたいだな!ついて来い!」


「待って下さい!」


一人の女が現れた。


「おぉ…これはこれはラシード副王妃。なぜ、あなたのようなお方がこちらに?」


「その少年は、何も悪くありません。手を離してください。」


「分かりました。…」


僕を睨みつけ、ハモンドは手を離した。


「そんな力に頼った方法で、物事が解決するはずがございません!何回言えば分かるのですか。ハモンド少尉。自分に力があるからと言って、それを己のままに振りかざしては…ん!?」


副王妃の周りをたくさんの騎士が囲む。


「なっ!?、何ですか!これはっ!」


「ふっふっふっふ。あなたのような人がいっつも邪魔だった!我々は、あなたを副王妃から脱落させることが目的だったんです。あなたの配下についたときから、ずっと…恨み憎しみ妬みいろんなものを抱えながらここまでやって来た。だが……それももう終わりだぁぁぁ!!」


あちこちから騎士がやって来る!


「ぐはっっっ!おふっっっ!あぁぁぁっっ!


おえっっっ!うっ!ぐわぁぁぁぁぁ!!!けっ!うぇっ!」


一瞬で血だらけになった。あちこちから血がたれている。


「おふっっ!ぶっ……こ…この…卑怯者っ…!ゆ…許さ…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


「いい顔だ!あはっ!あはっ!どうしようかな?このまま殺してやってもいいが…もう少し痛ぶるか、骨の髄まで痛ぶり尽くしてやる!ひっひっひっ!さぁ…どうする?8番。このままではこいつは殺される。抵抗するか?…いやっ無理か!無能力のお前がそんなことをできるわけがないか!あはっ…あはっ…はぁっはぁはっはっはっはっ!」


(くそっ!どうするっ!どうすればいいんだっ!)


再び副王妃の体をハモンドが殴り始める。


「ぐはぁぁぁっ!!!!ひくっ!!うわぁぁぁ!」


(クソ野郎っ!こんなときに力がっ!力があればっ!)


「俺は知っていた!力もないくせに副王妃まで上がってきたお前をっ!ずっと…ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずぅぅぅぅぅっと!!。憎くて仕方がなかった。俺は、力があったのに上にあがらせてはもらえなかった。ずっと…少尉のままだぞ!」


攻撃はさらに激しさを増していた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!がっ!きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


(悔しいっ!誰の役にも立てないことがっ!)


「さぁ…これで…終わりだぁぁぁぁぁ!!!!!ん?な…なんだ?」


「俺は、………………俺はっ!!お前を倒すっ!」


「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」


ハモンドを一発殴った!


「ふ…フハハハハハ!!そ…そんな攻撃が聞くわけ無いだろ!」


「くっ…くそっ!」


「これで終わりだ!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!」


「フッ!あっけなかったな」


俺は地面に倒れ伏した……。

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