55. 富籤文庫
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[第一回ラインナップ]
福沢諭吉『学問のすすめ』・・・・・00000 ~ 09999
新渡戸稲造『教育の目的』・・・・・10000 ~ 19999
樋口一葉『たけくらべ』・・・・・・20000 ~ 29999
夏目漱石『吾輩は猫である(上)』・30000 ~ 39999
夏目漱石『吾輩は猫である(下)』・40000 ~ 49999
紫式部『源氏物語(全巻)』・・・・50000 ~ 59999
落花傘飛高『源氏物語・エロ訳1』・60000 ~ 69999
落花傘飛高『源氏物語・エロ訳2』・70000 ~ 79999
谷沢辛子『伊藤博文暗殺の裏情報』・80000 ~ 89999
谷沢辛子『嗅がせてあげるねっ!』・90000 ~ 99999
一攫千金、ねらってみませんか! そしてオケラとの別れ……。
〔必ず貰える〕キャンペーンやります!
富籤文庫三冊につき「三百万円札ブックカバー」を一つ同封いたします。
――課長、是非とも率直なご意見をお願いします!
――景品表示法に引っかかるのじゃないか、これ
「――と言うことだったんだよお」
「わっはははははぁ~。ホントにプレゼンしちゃったんですかぁ、先輩」
「笑いごとじゃないよお、ワサビ君!」
「わははは、済みません済みません。あんまり可笑しかったもので。でも普通冗談だって気付くでしょう。先輩もその課長を騙そうとしたんじゃないんすか?」
そんな訳ないだろう。そりゃあよく確かめなかったぼくも悪いけど、あんな冗談を大まじめに聞かせてあんまりだよ……。
「……あ、でもね、名前はそのままで、景品表示法に引っかからない範囲のキャンペーンなんかをやってみたらどうかって方向に話が進んじゃってね。もしかしたらそれで企画が通るかもしれないよ」
「へえー、瓢箪から駒って訳ですかぁ。わははは」
「まあねえ」
やれやれ、ワサビ君は笑ってばかりだし。これじゃあまるで酒の肴だよ。
あぁ~あ、つらいなサラリーマンってのは。ぼくもワサビ君みたいに脱サラできたらなあ……て、でもやっぱりぼく社長って柄じゃないだよな。とほほほ。
「ところで先輩、また何か面白そうな原稿書けませんかねえ」
「えっ、また例の女性雑誌かい。でもこの間は大変だったんだよ」
実はこの前、女性雑誌向けにエッチな話を書いたんだけど、
「あーあれは申し訳なかったす。もうあんなヘマしませんから。何か書けたらまたお願いしますよ」
「そうかい。そこまで言うのなら、またやってみるかなあ」
「おっ先輩、その意気ですよ、その意気。わははは」
◇ ◇ ◇
ぼくは桜多彼方左となって再びペンを握った。ぼくはやるぞ。ぼくの男らしさをワサビ君に知らしめしてやるんだ。いやワサビ君だけでなく、今の世の中のひ弱な男子たちや、やたらと態度の大きい女たちにもな!
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