30. 葦多楢尾の話
今日は十五回も魔法使っちゃったな。いい子だね、ぼくは。
悪いやつらをこらしめてやったんだから。
あのねえ魔法にはね、
あ、それより勉強しないとね。来年は受験だし。どうしても私立・
もちろん試験のときに魔法を使ったずるはできないよ。ものすごく高い魔法能力をもつ試験かんとくの魔法少女がいるしね。すぐにバレちゃうよ。
ずるのために魔法を使って見つかったら、ただちに
あそうそう、よく絵本とかにおばあさんの魔女がでてくるけどね、あんなのうそだよ。魔法を使えるのは二十歳くらいまでなんだから。でも二十歳の女の人は少女じゃないけどね。もうおばさんだよ。
「ねえナラオちゃん、なにしてるの?」
「あっ、キノコおねいちゃん。あのねえ、ぼく勉強しようと思ってたとこなんだ」
「そう。ナラオちゃんはえらいのね」
「えへへへ」
キノコおねいちゃんは二十二歳だからすっかりおばさんだよね。ほんとにぼくの
「ただいま、ナラオちゃん」
「お父さん。おかえりぃー」
「おかえりなさい。アツオお兄さん」
「今日はナラオちゃんにお土産があるんだよ。ちょっときてごらん」
「えっ、なになに?」
ぼくらはダイニングにいった。バスケットが置いてあった。
お父さんが会社の人からシマリスをもらってきたんだよ。でもね、それはシマだったんだ。しかも言葉をしゃべったんだよ。おどろいたよぼく。
シマはねえ、ぼくの使い魔になってくれたんだよ。
◇ ◇ ◇
あれからもう三年がたったんだね。世のなかのうつり変わりもはげしいね。とくに科学技術の進歩はすごいよね。
たとえば最近はねえ、はきものにGPS機能がついてて、どこ歩いてるかわかるそうだよ。すごいね、はいてくじゃん。
でもねえ、この前どこかの白い犬がおとなりの玄関にやってきて、お
――またおばあちゃんが徘徊してるぞ
――うんそうだよ、すぐに追いかけないと
――おや、
――あれれなんでなんで!
――おばあちゃんどうして家にいるの?
――わたいが家にいたらあかんのかい?
――ううん、そうじゃないけどお
――どうして? GPSおかしいよ
――おかしおすなあ、あんたらも
なんてことがあったんだよ。GPS機能は左右両方につけとくべきだね。
でも犬といえば、昔おとなりにいた
「そんなやつがいたのかもぉ。生意気な犬ぢぁ」
「あっシマいつのまに」
「拙僧は御主人様の使い魔だからいつでも側にこれるもぉ」
「それもそだね。でさあシマ、テレビとかで犬がしゃべってたら超うざいよね」
「そうなもぉ。お前がしゃべるなって感じぢぁ」
「うんうん」
もう
とくに犬はねえ、ぼくだけじゃなくて、たいていの魔法少女はきらいだよ。あいつらってば、ぼくらのお尻をくんくんくんくん嗅いできて、くぅぅーん、はあはあはあはあとかいうしね。いやらしいよ。
「拙僧も犬は嫌いなもぉ。あいつら畜生ぢぁ」
「そだね」
ぼく
それでシマはたぶん
「御主人様の言う通りなもぉ。拙僧は
「やっぱりそうなんだ。ねずみさんだね」
「そうなもぉ」
けど犬好きの人って多いよね。それはそれでいいけど。世のなかにはそうじゃない人もいるってことだよ、ぼくがいいたいのは。なにも犬がいなくなればいいとまではいわないよ。人の役にたって、くんくんはあはあしないまじめな犬もいっぱいいるしね。
だから抵抗できない犬にやつあたりするのはだめだと思うよ。そんなのは嫌犬家の恥さらしだ。もっとせいせいどうどうと嫌犬権を主張しようよ。
ねえねえそうでしょ? ぼあそなーど先生。てもう死んじゃってるか。
◇ ◇ ◇
今日は、おとなりの
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