若い世代は読解力が低下しているか?

 色んなところで叫ばれている、若い世代の読解力低下。


 ……なんだかなあ、と私は思うのです。


 子供の時を思い出すと、大人の方が全然わかってないじゃん、って思うんです。丁寧に説明してようやく理解されるから、こちらの伝え方に問題があるのかな、とか、良い子だった私は思ってたのですが。今は「なんで子供の私が合わせんといかんのじゃ」という気持ちです(笑)

 良い子の私的には、聞いてくれるだけで『優しい人』でした。学校でもそうでしたが、自分の不理解を子供のせいにして激怒する輩は多かったので。

 人の話を聞きなさい、と子供に言う人ほど、子供の話を聞く気がなかったなあ。説明しようとすると、「言い訳しない!」って怒るし。


 なんというか、当人の感度の問題じゃないの、って思います。


 で、それを母に言ったところ、


「んー、使う感度が違うんじゃない?」


 との返答。


「デジタルネイティブは、句読点の位置の意味とかわからないし、一文が長いものは避けるでしょ。

そうじゃない世代は、Twitterとかのぶち切りで一文が短い文章を読んで、理解出来てないような気がする」


 ほらアンタやのあも、昔の映画で、「これどういうこと?」って聞くでしょ、という言葉に、あー、と納得する私。

 確かにセリフの言い回しと行動が、私の思っている理屈で考えると一貫性がなくて、すっごく戸惑う。


「それに、最近じゃ短くした映画じゃなきゃいや、っていう人もいるらしいじゃん? 読む体力も違うよね」



 なるほどねえ。

 私ら、昔の映画の空白というか沈黙というか、そういうのを理解する力は、確かにかなり低い。そして省きたくなる。

 小説も、句読点で繋げられてめちゃくちゃ長い一文とか、読んでて辛い。『春琴抄』とか『春琴抄』とか『春琴抄』とか(文庫の薄さに騙される)。

 そこに力を入れている演者さんや作家さんは、そりゃ嘆くわな。


 逆に言ったらデジタル以前の人達は、デジタルネイティブほど一つの情報から複数の情報を手に入れる力がない、ということなんだろうか。一を聞いて十を調べる、みたいな。

 あと抽象的なモノ、具体的なセリフとかを省いたものを汲み取るのが苦手とか。

 お互いそれぞれの世代の当事者だから、能力の比較が難しい。

 どちらにしてもお互い、わからないものを理解しよう、と思いつくこと自体少ないかもしれません。


 で、一番の不満を母にぶつける。


「何でいっつも若者は『前と比べて力が低下してる~』って言われるの」


 母は言った。


「それは、いつの時代も一緒よ」

 

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