「褒め言葉」が怖い(※多分注意!)

 私は幼少期から、褒められることが多かったです。自分の親じゃなくてよその親御さんに。

 自分的には頑固だし、癇癪持ちだし、自分の思い通りにならないと公衆の場ですらギャーッ! って泣いていた記憶しかないので(黒歴史まみれ)、自分的にはなんともって感じだけど。

 このエッセイを読んでいる方は、多分、「ああ……(遠い目)」ってなってると思う。


 でも、改善しようと頑張ってはいました。うん!

 よその大人の言うことは聞くし、決まり事や約束は基本守るし、自分の伝えたいことはちゃんと伝えるから、多分「何考えているかわからない」って扱いではなかったな。少なくとも知らない大人を目の前にして怯えるような引っ込み思案ではなかったです。

 あと勉強に真面目な子だったので。私より頭が良い人は何人もいたんだけど、それはそれという感じで。



 だからなのか、他の親御さんから、

「ロンちゃんはすごい子ねー」って直接言われることが割とあって。具体的に何が凄いのかはわからないけど。まあ本人を目の前にして悪口は言わないか(笑)。

 でもあたし、今思うと、「唐突に誰かに褒められるのがダメ」だったらしくーー親とか先生とか友達とか、自分の努力を知っている人には寧ろ「褒めて!」って強制してたけど、私のネガティブポイントを知らない人に・一方的に・抽象的に褒められているっていうのは、どうもこっちが騙している気がしてしんどかったです。

 ただ、あちらは純粋な好意で言っているだろうなあ、と思うと、「ありがとうございます」と喜ぶことしか言えなかったです。よくわかってなかったけど、正直に自分の気持ちを言うと傷つけるか怒られると思ったから。


 でも小学生に上がった頃に、


 私を面と向かって褒める親御さんの子供は、基本私に敵意を持っているっていう図式に気づきまして(例外は同級生ではない幼なじみの二人)。

 その関係で「良い子ぶってる」だの「真面目ちゃん」だの、まあ、いじめっぽいことが起きてたんだろうなあ、って今振り返って思うのですが(まあ原因はそれだけじゃなかろうけど!)。

 当時の私は、よく分からないけどそれがすごく「怖いこと」だと肌で感じておりました。


 大方、私は家庭で「引き出しやすい」存在として、沢山名前を使われたのかなあ。それは考えすぎかな?

 でも私、割と親御さんと1体1で喋ること多かったし(多分あれ、子供というより小さな大人待遇だった)、例え言わなくても、親がどう思っているか、一番敏感なのは子供だと思います。親の思考を理解しているかはさておき、親の言葉、親の仕草、そこから引っかかったものは全部覚えている。


 そんな「引っかかりばかりの」子供の世界にとって「表立って大人に褒められる」っていうのは、「スパイ・裏切り」行為でもあることを、時が経つにつれて忘れている自分に気づきました。

 勉強とか、私が好きでやっていることが、「褒められる」ことで「媚び売ってる」って認識されて、邪魔されたり制限されたりするのです。いじめられたくなかったら、時に自分を封印しないと学校で人権が手に入らないのです……。

 




 あと「褒める」って、時にギブアンドテイクの極みだなって思います。

 不登校支援で「褒めて育てる」ってキャッチコピーあったけど、多分母がこれを真に受けて私を育てたら、私、人間不信になってた。間違いない。

「その子の素晴らしいと思ったことを言葉にする」のではなく、「とにかく褒めることが目的」になるでしょう。それってお世辞ですから、それを一度見抜いちゃったら自分のアイデンティティぐらぐらです。

 そしてそういう大人は何か思い通りにならないと「あんたみたいな子を褒めてやったのに残念です」って脅迫にかかる場合もあるので(某メンタリストの元先生からの手紙で思い出したの)。これって、当時は中々怖かった。今はただ気持ち悪い。


 貰ったものを断りきれずに受け取ったら脅迫付きの賄賂でした。みたいな展開です。怖いでしょ?


「褒める」って行為は、「褒めて欲しいこと」を見抜くか、自分が本当に「素晴らしい」と思ったことだけを口にして欲しいなあ、と私は思います。

 これ褒め言葉が怖いというより、「心にも無い言葉」が一番怖いってだけですね。わは。


 あと褒め言葉を「いらないです」って簡単に断りできたらいいんだけどなぁ……。相手も、「あ、この子はそうなんだ」ってパッと切り替えられれる良い断り文句ないかなあ……。

 自分の本意じゃないことを突然褒められるって、「勝手に頭を撫でられる」のと同じぐらいダメなんだ、私……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る