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 次の仕事で、頭が一杯だった。時限爆弾みたいなやつがひとつ、時間をかけないと終わらないやつがひとつ。たぶん、それに追加して今日の夜の哨戒しょうかいとか、いつもの仕事。全部こなさなければならない。

 仕事の休みをとって旅行にいくやつらのせいだった。監視カメラの微調整とかも、もしかしたら仕事として追加されてくるかもしれない。正義の味方のくせに、休暇とって旅行とか。

 ため息。思わず出そうになって、本当に小さく。


「ふう」


 少しだけ、隣の彼女に聴こえないように。息をつく。

 彼女。なぜ自分と一緒に帰るのだろうか。特におもしろいこともないのに。それでいて、話しかけてくるわけでもない。こちらの回し蹴りが、絶妙に届かないぐらいの距離。付かず離れず。

 分岐点。自分が左で、彼女は右。

 どうせ帰っても仕事の山だから。なんとなく、右に曲がってみた。

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