「ミケの暗中模索 ②」

ミケ「まず、河坂ちゃんに聞きたいことがあるんだけど」

河坂「子供扱いすんな。これでも32

だ」

ミケ「ッッエッッッ!?」


 まさかの年齢差。まるで32歳の若さではありません。むしろ7~8歳程度の幼女に見えるのですが。


ミケ「でも私より背小さいし童顔じゃん。やっぱ8歳でしょ」

河坂「犯すぞテメーッ!!」


 河坂は縛られたまんま暴れだします。ヤダご乱心。


ミコ「……話の本題はそこじゃないだろう?」

ミケ「あはは、そうでした」


 そう、ミコが手のひらで片目を隠しながら、ヤレヤレと首を振るのです。

 いけないいけない。ミケは忘れるところでした。


ミケ「じゃあ質問なんだけど……『日本異偵の命って……どういう事?』」


 『日本異偵の命はどうした』……たしかに、河坂がしっかりハッキリと、ミコに怒鳴りつけていた事です。

 まずはその意味を知りたい。


河坂「……お前……本当に何も聞かされていないのか……?」

ミケ「?」


 河坂は酷く目を見開きます。ミケの置かれた状況に漸く理解がいったようでしたが、ミケにはなんのこっちゃです。


河坂「私たち日本異偵はお前を日本国内に出さない!!常にSクラス異偵・日野ミコの監視管理下に置くとの命だったっ!!」

ミケ「は……?」


 ミケは少し、呆気に取られてしまいます。驚き呆れて、物も言えない……

 ミコが、日本の異偵……?

 それで、ミケを日本に出さないようにしていた……?

 しかし、矛盾しています。その言葉は。ミケが知る、もうひとつの真実。


ミケ「嘘だよ。だって……ミコはイタリアに私を行かせようとしてた」

河坂「ああ、矛盾する。だから、私も分からないんだよ……」


 今この場での論争。その照準は。

 日野ミコ。たった一人に注がれていました。

 このままミケと河坂の論争が続いても、噛み合いの悪い水掛け論のようになって終息しません。

 当人の鶴の一声無しにこの議論は終結を遂げないのです。


 ──────そしてついに、当人が口を開きます。


ミコ「……ミケ君。彼女の言うことは本当だよ」

ミケ「……え」


 ミコは、崖から突き放すようにそう言いました。


河坂「……何故命令を無視した。」

ミコ「そりゃあ、必要だったからさ。私の目的の為に」


 日野ミコの目的。

 『私は、君の観察がしたい』

 それが……日野ミコが、ここでミケに語ってくれた事。

 ……でも。彼女はやはり、何か隠している。

 観察がしたいというのは嘘では無いかもしれない。しかし、それ以上の何かがあるのだ。そうに違いない。

 ミケは何となく、しかし強く、そう確信していました。


ミケ「ミコ……あんたの目的って……何?」



ミコ「そうだねぇ……強いて言うなら」





ミコ「これから起こる、戦争での勝利。かな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る