「ミケの一念発起 ② 」

「阿笠……ね。」


 ミコはコンピュータの光る画面を見つめている。そのディスプレイには、アガサの個人情報がびっしり……


「私の役目はひとつ終わった。」

「しかし……」


 浮かない顔をさせながら、ディスプレイの光で目を光らせている。


……おや、誰か来たな


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その頃。


「観光ビザでいいの?」

「うんうん。」


 ミケはお姉ちゃんにイタリアに行くためのビザを、インターネット上で取ってもらっていました。

 でも色々面倒な手続きが必要なようで……


「ミケ、証明写真持ってる?」

「プリクラのじゃダメ?」

「だめー。」


 まあ、そんなこんなありまして……


「できたーっ!」


 電子ビザが完成しました。


「クレジットカード作っておいてよかったわね……」


 ちょっと前、姉にミケのクレジットカードを作ってもらったのが良かったようです。意外と時間がかからず済みました。


「ま、あんたがイタリアに何しに行くかかなんてわかんないけどさ……」

「?」


 姉はふう、と一仕事終えた息をついて、


「『生きて帰ってこい』っ!!」

「うん!」


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 私がそう強く発破をかけると、弩で弾かれたように部屋を飛び出した。私に振り返りもせず……

 寂しいとは思う。

 しかし、私はずっとその背中を見てきて、わかることが、ひとつだけ此処にある。

 彼女を私は止めることは出来ない。どのような手段であってもだ。



 ミケは善でも悪でもない。

 秩序を守護する天使でもないし、混沌を誘う悪魔でもない。……いや、むしろ、両方そうであって、両方ともそうでない。


 ただただ、純粋な……


 

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 ミケは自宅を飛び出して、ミコの家へと再び歩み始めました。やっぱり、大きく破壊された家は悲しく風を呼んでいるのです。

 そして、その風変わりな土地に、ミケの他に……二人。もちろん日野ミコと……


「遅いじゃないか、ミケ」


 なんと、姫乃カナ。ボロボロのワイシャツのまんまです。


「カナ、怪我は大丈夫なの?」

「大した怪我はない。『盾』があったのもあるが…何よりアイツが手加減してくれたからな。」


 アイツ……アガサのことでしょう。

 カナのバリアー能力はまだ生まれたてほやほやな状態。確かに、万全であったとしてもアガサとはとても戦える状態ではないでしょう。


「そっか……」

「それでなんだがな、ミケ。聞いてくれるか?」

「何?」

「先にイタリア行くの、俺だけだから」

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