第36話
「聞き間違いかな? 告白されたような気がしたんだけど……」
「間違いじゃないです、本当に告白しました!」
おいおい、マジかよ……
こんなことになるんだったら、彼女がいることを先に話しておけばよかったなぁ……。
姫宮さんは身長は少し小さめだけれども、決して可愛くないわけではない。
だけれども、平井さんのほうが自分の好みに合っている気がするなぁ……。
「ごめんね姫宮さん、実は彼女いるんだ……そ、それよりこの曲のタイトルを一緒に考えない?」
俺はできるだけ相手を気づつけないように、話をそらそうとした。
「大丈夫ですよ、全然気にしてないですから。それよりも、まだタイトルがついてなかったことに驚きですよ~」
「じゃあ、さっさとタイトルつけて帰ろうか」
「おかえり博人、今日はずいぶん遅かったじゃない」
「まあね~」
一言そう言うと、俺はすぐに部屋にこもった。
「さて、今日も依頼は来てるかなぁ……」
そう思いながら、パソコンを開いてみると、ある疑問が頭をよぎった。
そういえば、姫宮さんに渡した曲のデータがなくなっているような……?
自分で作った曲なのだから、自分で消すようなことなんてしないはずなんだけどなぁ……。
それに、結構いろいろなファイルに複製してたと思うんだけれども。
だけれど、どこにも見当たらなかったので困っていると、平井さんから電話がかかってきた。
「もしもし、平井なんですけれど、ちょっと時間いいでしょうか?」
「うん、どうしたの?」
「実は、私がピアノ演奏者になったんです……。なったまではよかったんだけれど、どういうように演奏すればいいのかがわからなくて。もしよかったら、練習に付き合ってくれないかしら?」
「別にいいけど、どうして電話なの? 今日も学校あったんだから、口頭で言ってきてくれてもよかったのに」
「実は、昼休みに話しかけようと思ったんだけれども、川崎君が忙しそうにしているから、電話にしたんです~!」
そういえば、昼休みにクラスメイトと話している時に誰かから見られていた気がするけれど……。
あれは平井さんだったんだ!
「じゃあ明日の放課後にね」
「はい、よろしくお願いいたします!」
話の流れで、なんとなく教えることになったのはいいけれど……。
人に教えた経験なんてほとんどないので、どうすればいいのか迷ってしまった。
だけれども、それよりも大きい期待があった。
「平井さんの家に入れるのか……楽しみだなぁ!」
俺は思わずそう思ってしまった。
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