おむすび

勝利だギューちゃん

第1話

私は、今おむすびを作っている。

お昼のお弁当用。


「♪これっくらいの、お弁当箱に~」


思わず鼻歌を歌う。


でも、お弁当箱には入れない。

このおむすびは、ラップに包む。


お弁当箱は、既に定員オーバーだ。


私が食べるためではない。

仲のいい男の子のために作る。


その子には、いつもお世話になっている。

なので、何かしてあげたいと思っていた。


「何かしてほしいことある?」

「君の手料理が食べたい」

「OK.じゃあ、お弁当つくるね」


私は料理が趣味。

なので、苦にはならない。


「ねえ、サンドイッチとおむすびの、どっちがいい?」

「おむすび」

「OK」


殻にメールで訊いた。


今日は彼と久しぶりに会う。

楽しみだ。


でも、おそらくはもう、会えない。

私が、引っ越すからだ。


私の事を覚えておいてほしい。

そう願いを込めて、おむすびを作っている。


「こんなものかな」

それを、包む。


さあ、後は彼に会うだけ・・・

喜んでくれるかな・・・


そして、彼に渡した。

とても、喜んでくれた。


もう、彼とは会えないかもしれない。

でも、私の事を覚えていてくれたら、嬉しいな・・・


そして・・・


今、僕の手元には、一枚のハンカチーフがある。

昔、仲の良かった女の子から、一度だけ作ってもらった手作り弁当。

それを包んであった、ハンカチーフだ。


このハンカチーフを見るたびに、思い出す。

彼女は「捨てていいよ」と言っていたが、捨てられない。


もう、会うことはないし、そのつもりもない。


でも、元気でいてくれてること祈る。

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おむすび 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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