蛇女との決着
「許さぬ、お前だけは! デーニッツを倒し、私が組織の最強になるはずだった! だがヤツは組織を抜けたばかりか、お前にやつの殺害を邪魔された! だから死ね! お前を倒して、今度こそ私が
「お前に比べたら、デーニッツのほうが強い!」
「何をぉ!?」
激昂した唐立が、飛びかかった。
「デーニッツなら、身体を改造などせん! オララララァ!」
「死ねえ!」
父よ、俺に力を貸してくれ!
「オラア!」
上位クラス【サムライ】のスキルを駆使して、カウンターの三連撃【雪月花】を見舞う。
【雪】で相手の攻撃を斬り落とし、【月】で敵の蹴り足を切り裂く。最後は【花】で、首を流し斬った。
父の得意技だった【雪月花】、俺にも使えたか。
しかし、こちらの反動も大きい。
魔力ではなく体力を使ったため、全身が悲鳴を上げている。
ここまで負担の激しい技だったとは。
「な、なぜ、魔法使いごときに我が技が返される?」
全身を切り裂かれ、唐立は事切れた。
「お前が、自分の力を信じなかったせいだ」
哀れだ。歪んだ思想に囚われた人間は。
デーニッツは、こんな者たちのいいなりになどなりたくなかったのだろう。
だから、組織から抜け出したのだ。
「帰ろう。もうここに用などない」
残った人工
ポーションプラントへ戻ると、シーデーがサピィに提案をしてきた。
「私はオミナスを持って、ペールディネに報告へ向かいましょう」
果実を売りに行くトラックを借りて、シーデーはペールディネへ向かいたいという。
「いいのですか? サドラーへ同行しなくても」
「その代わり、姫にはサドラーへの報告をお願いします」
このようなオミナスは、他のダンジョンでも開発されているかも知れない。シーデーは、それを懸念しているのだ。
「また、サドラーのポータルが修復できれば、ペールディネからそちらへ向かいます」
それまでは、ペールディネのジュエル装備店舗で待機しておくとのこと。
「わーいいなー。あたしも、そっちに行こうかな?」
トウコにとって、サドラーの店は退屈そうだから、それもいいかもしれない。
「私一人で、十分です。私の動向は、姫やランバート殿の使い魔で探れますので」
「わかりました。では、お願いします」
翌朝にシーデーと別行動することが決まったところで、フルーツ農家で夕飯をごちそうになる。
「あんたら魔女さんの弟子かい? よく来なすったなぁ」
この農園は、魔女に頼まれて複数の農家が運営しているという。
また、マッシブフルーツは普通の動植物には害があるそうだ。
栄養を取りすぎてしまうらしい。
「魔女の弟子は、私だけです。他の人は、私に手を貸してくれていて」
フェリシアが代表して、名乗る。
「そうかい、そうかい。森がおとなしかったわけだぁ」
「あなたがたは?」
「ワシラか。難民よぉ」
この森に住んでいる人たちは、戦争や魔物の襲撃で居場所をなくした人ばかりだとか。
数名の家族で、このドーム内に小屋を立てて住んでいるという。
魔女は他にも、各地域で同じようなドーム型果樹園を作っているらしい。
「知りませんでした。クエンの魔女が、そんな事業までなさっていたとは」
「うまいポーションを作るために、初めなさったそうで」
たしかに、この世界でポーションといえば、子ども用シロップのように甘いか、鉄のように苦い。
だから俺は、ポーションと一緒に食う菓子類を大量に持ち歩いている。
マッシブフルーツは、ドームの森みたいな特殊環境下でしか育たない。
取れる数に制限もある。
そのため、村民の誰もケンカしないという。
「魔女がその後どこへ行ったかなんて」
老人は、申し訳無さそうに首を振った。
「ワシらにだけ技術を教えて、領地に送り込むとフッと消えちまった」
ここでも、手がかりなしか。
「サドラーとも取引していると言っていたな? 今までどちらにいたんだ?」
「そのサドラーさね。王女様が得意先なんだよ」
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