古本屋「いずみ」
酢酸
第一話 プロローグ
※初作品です。設定がガバガバなところもあると思いますがご容赦ください。
街はずれ、人の気配はない。薄暗く壁にはツタが絡み、如何にも不気味という言葉が似合う、そんな場所に位置する古本屋「いずみ」。めったにこのお店に人は来ることがない。
しかし今日は珍しくほこりをかぶり古びたドアがきしんで開き、チャリンチャリンと来客を告げるベルの音がした。
「すみません、いずみやさんですか?」
「まあお客様、ようこそいらっしゃいました。古本屋、いずみでございます。」
おそらく客であろう若い女性の声と、この店のオーナーである老婆、いずみさんが応対しているのだろう。
薄暗い店内の中、晴はどくどくと自分の胸が鳴るのを感じた。もうすぐだ、もうすぐ。そうそうお客様が来るようなお店ではないので何回経験してもこの瞬間は慣れない。
「はるちゃ~ん、お客様がいらっしゃったわよ~」
「はぁい、ただいま参ります~」
今日も晴のお仕事が幕を開ける。
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