第37話 スキル取得


「「お疲れ様でーす」」


 昼にタイムレコーダーが届いたのでトイレ前に設置しているとアユミさん達がやってきた。今日は教会でマイさんと新人さん達のスキル取得を行う予定だ。こころなしか落ち着かない3人だ。


「みなさんにこれを用意しました」


「なんですか?兜?」


「みなさん目立ちすぎるのでこれを被って変装して行きましょう」


 女性陣の前に晒したフルフェイスの首4つ。アユミさん以外はちょっと嫌そうな顔だ。ゲーマーの人は興味津々に早速被っているが。


「早く選んでくださいね。私はこれにします」


 顔の前面に横に3本のスリットが入った一番ごつい兜を被ったアユミさんがノリノリで言う。


「周りちゃんと見えますか?」


「あまり視界は良くないですね。息苦しくはないですが暑いです。これは迷宮には向かないですね」


 そうだろうなと思う。他に敵の出ないボス戦や軍隊とかで隊列を組むならともかく、迷宮で視界の狭さは死活問題だ。


「でもフルフェイスの兜は正解ですね。変装グッズを色々探してみたんですが、こっちの物だと返って目立つものが多くて……」 


 鏡を見ながらそういうアユミさんにですよねぇと頷くしかない。



 そんなこんなで4人が兜装備したのだがいかつい。これは変な男も寄ってこない。


「先生~似合います?」


「強そうです」


 巨乳兜からマイさんのくぐもった声がした。強そう。


「じゃ暑苦しいでしょうし、さっさと行っちゃいましょう。あ、ノアさんにも革の服買ってきましたので装備してください」


「了解っす!」


 兜を脱がずに上からすっぽりと上から装備したノアさんを尻目に順番に迷宮に潜った。




 迷宮街をいく兜達、男は寄ってこないどころか避けられている。いい感じだ。何事もなく教会へ到着。先回りして人数分のお布施をする。


「ノアとアイリは事前に説明したようにシーフの敏捷向上をまず取って下さい。マイさんは結局どうします?」


「う~ん。やっぱりくノ一かなって~」


 くノ一?新人さんへはアユミさんが事前に打ち合わせしてくれていたらしい。流石ゲーマー。


 すっかり刀しか持たなくなったレベル10のマイさんはこんな感じだ。

 シーフ - 敏捷向上

 武士 - 迅動

      精神力向上

 忍者 - 隠形

      敏捷向上

 残りSP1


 忍者にも敏捷向上が出て迷わず取ったらしい。喋りはゆっくりなのにスピードマスター。忍者のもう一つの新スキルは心肺能力向上だそうな。


 もう一人の盾候補のレベル10のアイリさんはこう。

 シーフ - 敏捷向上

 盾士 - 頑強向上

       挑発

 武士 - 迅動

      精神力向上

 残りSP1


 刀は持たないが武士スキルを取っている。ちょっと病んでるからいいのか。迅動も刀じゃなくても使える良スキルだし。


 ボーイッシュなノアさんはこうなっていた。

 シーフ - 敏捷向上

 回復士 - 小治癒

       小解毒

       魔力向上

 残りSP3


 ヒーリングマッサージ要員なのか小解毒まで取っている。アユミさんに近い構成だ。意外と戦闘には及び腰みたいなので完全後衛にしていくのだろうか。


「先生、魔道士が解放されました」


 すっと寄ってきた3本スリット兜アユミさんが小声でそう囁く。どうやら解放条件は当たっていたようだ。秘匿するかどうかも含めて考えねばなるまい。とりあえずノアさんには取ってもらうことになりそうだ。


「それと、マジックユーザ系の他の職がないか総当たりしてみたのですが、付与士の職業があります」


「えっ?」


 神様相手に総当たり攻撃とはとんでもねぇな廃ゲーマー!

 尚、異世界言語スキルを扱える職はなさそうとのことだった。

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