第16話 8層デビュー
遅寝早起きで眠気が取れない。でも自分のレベルアップが優先だ。せっかく7層のマップも手に入れているので8層でレベルアップしたい。
コンビニで用を足し、おにぎりを齧りながら迷宮へ向かう。アユミさんからメッセージが来ていたがとりあえず放置だ。
5層から6層へ、猫ちゃんエリアを警戒全開で最短距離を通過して7層へ。
ミイラエリアはマップに従って走り抜ける。動きの遅いミイラは放置だ。
第8層。戦闘音なし。匂い、温度も7層と変わらず。
ここもミイラだろうか。それだと銀貨は稼げてもレベルが上がらない。後、意外とこのサイズの魔石は嵩張る。重くはないのだがリュックの容量と銀貨効率的にはゴブリンの方が効率がいいかもしれない。
ゆっくりと歩き出す。
微かにブンブンとドローンの羽音のような音が聞こえた気がしたがもう聞こえない。
三叉路を左へ。
前方にはのっそりと近づいてくるミイラ2体。1体の頭が大きいと思ったら頭の上にデカいトンボが止まっていた。
飛び上がりホバリングするトンボ。1mはある。ブンブンと不吉な音を撒き散らし、瞬間移動でもするかのように移動とホバリングを交互に繰り返していた。
「
先制で撃った
ずぐりと背中に侵入してくる異物感。ぐらりと揺れる視界に毒を注入されたことに気付く。
「
トンボを背中から振り払い、刀を抜く。
どうやら尾の先が毒針になっているようだ。
「
出し惜しみはなしだ。迫りつつあったミイラ2体をトンボから視線を切らないように屠る。
速く、魔法矢が効かない。厄介な相手だ。あの毒も時間が経てば経つほどマズそうな毒だ。
浅く踏み込み、袈裟斬り。
するりと躱され、嘲笑うかのように周囲で移動とホバリングを交互に繰り返している。
「……逃げられるか?」
速度的には無理そうだがゆっくりと後退ってみるがやはり一定の距離を保ってついてくる。
「
天井に向かって
「
ダメ押しにもう1発放ち、逃走した。
「……ふう」
久々の全力疾走。なんとか7層まで戻って来れた。レベルアップは行き詰まりだが命あっての物種だ。無事に帰れたことを喜ぼう。
うーん。レベルアップか……。
「
とりあえず刺された傷を癒しながら考える。低層で数を狩るか、スキルを取ってトンボを倒すか。
武闘家の動体視力向上や武士の迅動あたりを取るなり、魔道士の属性付加あたりでも取ればトンボは何とかなりそうな気もするが、そもそもとしてソロで潜るのも限界が近いのかもしれない。
「……アユミさんを鍛えるか」
それもなんだかしっくりこない。ゲーマーだからといって戦うための身体能力がついてくるかと言えばそれも中々難しいだろう。
とりあえずミイラで憂さ晴らしをして帰ろう。
ミイラに遭遇してから槍を投げ捨ててきてしまったことに気付き更にへこんだが、ミイラに魔石になってもらうことで補填してもらい帰宅した。
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