1話前半「見知らぬ空間と可愛い女神」
......
「ん...?」
感覚がある。
光も 、温度も、ちゃんと感じる。
だが、さっきまで自分がいた部屋とは
全く違う場所だ。
辺りは暗く、目の前にある光のかたまりのようなものだけが見ている方向を知る手がかりになっている。
部屋には暖房器具を置いていて温まっていたが、今いるこの場所は少し寒い程だ。
それにしてもここはどこなのだ、と
何も無い空間を見回していると。
「......!!」
突然、2mほど前に浮かんでいる光が眩く輝き始めた。
そしてその光がおさまると...
息を飲むほど美しい、若い女性が立っていた。
「私は理の女神ノエル。近藤修さん、あなたは先程、自堕落な生活が原因で人生を終えました。」
そうか。俺、やっぱり死んだのか......
だが、今はそれより。
「可愛いですね。結婚してください。」
「ごめんなさい。」
「そこをなんとか!」
「なんとかじゃありませんよ! あったばかりの女性にいきなり結婚してくださいってどういう神経してるんですか!? そもそも、自分の行いのせいで死んでしまったんです、ちょっとは反省したらどうなんですか!?」
なるほど。さっきのは仕事口調だったわけか。
まあそれもギャップがあって可愛いな。
「長いお説教は勘弁してくれよ。それより、俺はこのあとどうなんの?」
「3つの選択肢から選んでもらいます。」
彼女が話したことをまとめると、
1.記憶をリセットして生まれ変わる
ー魂の浄化に時間がかかり、その間は何も無い世界で過ごす。
2.天国、または地獄に行く
ー俺の生活を考えると、間違いなく地獄行き。
3.記憶を持ったまま、異世界に転生する
ーモンスターが沢山いる世界なので、正直命の危険が大きい。
ということだった。
異世界行き...俺の夢だったことだ。
行きたい。めっちゃ行きたい。
「異世界一択だな。」
「そうですか。そういえばあなた、アニメやゲームが好きでしたね。」
「ああ。俺、本当に異世界に行けるのか!」
「もちろんです。あなたならこの先の展開は分かると思いますが...」
来るのか?あのイベントが来るのか!?
「異世界に行ってもすぐに死んでしまっては意味がありませんよね。」
おお?
「これらの能力・神器の中からなんでもひとつ、持って行っていいですよ。」
と言って、何も無い空間にホログラムのようなもので文字を出現させる。
キターーーーー!!!!
「あっでも、ほかにご所望のものがあればどんなものでも一つなら差し上げましょう!」
しかも自分の好きなものかよ最高じゃん!
そして並べられたものを見ると、どれもとんでもないほどのチートだった。
・「聖剣シリウス」強大なエネルギーでどんな敵にも防御力無視の大ダメージを与える。
・「聖鎧ノエル」理の女神ノエルの加護がかかった鎧。相手の攻撃力を一時的に下げることが出来る。
・「超魔力」膨大な量の魔力を保有できる。
・「再構成」物体を原子レベルで分解し、再構成できるスキル
・「ストレージ」"インベントリ"スキルの最上位スキル。アイテムを無限に収納出来る。
・「ステータス」相手のステータスを見ることが出来るスキル。持ち物を見ることは出来ない。
どれもこれもが強力なものでかなり迷う。
しかし俺はこの時、とんでもない事を思いついてしまった。
我ながら天才ではないかと思う。
他にご所望のものがあればどんなものでもひとつなら差し上げる。
確かに彼女はそう言った。
なら......
「決まりましたか?」
「ああ。きまった。」
「欲しいものがなかったら、どんなものでもひとつだけいいんだよな?」
「はい! 何をご所望ですか?」
「じゃあ......」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます