第3話 私のけじめ

「あの…部長…この前の件ですが…本当にすみませんでした…ところでその後社長とどうゆうお話合いをされたのでしょうか?気になってしまって…。」


部長はしばらく私をみて…


「お前はもう気にしなくていい。それより次からは確認はしっかりとしろよ!わかったな!」


とまた強く一喝された。


私はそれ以上聞くことはできなかった…。



夕方、私が業務を終え沿道を歩いていると1台の車が私の横につけられ後部座席の窓が開けられた!


「社、社長!」


「やぁ…お久しぶりだねぇ!」


「その切は大変申し訳ございませんでした…。」


なんでこんなとこで社長に…とはおもったが…部長に聞けなかったあのときの話が聞けるかも…と私は思ってしまった…。


「いやいや…あの部長も若いのに大した技量の持ち主だ…。君はあれから怒鳴られたりはしなかったかい?」


怒鳴られる?それどころか頭をなでられ優しい言葉をかけてもらってた…。

普段の部長にはないことなのに…。

その時は気づかなかった…。


「い、いえ…そのようなことは…。」


「そうかい。でも、まぁ…君たちの会社にとっては大損害にはなるだろうな。」


「えっ?」


私はとっさに社長に聞いていた…。


「部長とはどういうお話をされたんですか?教えてください!」


「その件はもう解決したはずだが…?君…もしかしてあの部長さんから聞いてないのかい?」


私は少し戸惑いはしたがゆっくりうなずいた…。


社長は少し驚いてはいたが、にやりと笑みを浮かべ私に全てを話してくれた…。


部長はこの一件のミスでかかった費用とさらに納期が大幅に過ぎてしまうということで再度発注分の費用の両方を私たちの会社が負担することでこの件をなかったことにしてくれたのだと聞かされた…。


私は愕然とした…。

そんな負担をあの部長にさせていたなんて…そして平然と働いていたなんて…。

私は恥ずかしくなった…。


そして私の口からは…


「社長…あのときの提案はまだ有効でらっしゃいますか?」


とたずねていた…。



「ん?ああ…私はかまわないが…。でも君は…。まぁいい…もし私と来るなら車に乗りなさい…。」


あの時の提案…そう…

食事と言う名の…枕接待…。

これ以上部長には迷惑をかけられない…

私が自分で解決しなきゃいけないこと…


事が済んだら会社もやめなきゃ…

部長のそばで平然となんか働けない…


はぁ…でも少しだけでも幸せだったなぁ…


でも…ほんとに…いいの?

と自分の心に問いかけたが答えを聞くことはできなかった…


私は無言で社長の座っている後部座席の隣に乗り込んだ…。


そして社長が「出せ。」と言ったところまではなんとなく覚えていた…。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る