モードレッド編第2話 巫女戦争

 島で隔離された十人の巫女見習いの少女。

 彼女らは皆脅え、足がすくんでいる。そんな中で、皆の恐怖を払拭するためにリュウメイは勇気を出して皆に言う。


「皆、固まって動けばどんな敵にも対処できる。ここを生きて帰るために、皆で戦おう」


「うん、そうだよ。皆で戦えば怖くないよ」


 リュウメイの勇気から勇気をもらい、皆のやる気は高まる。

 とそこへ、早速一体の霊がリュウメイたちの前に現れた。霊を前にし、脅え出す。


「皆、落ち着け」


 リュウメイはそう叫びながら、両手を霊へかざす。光の壁がリュウメイらの前に出現する。その顔に体をぶつけ、霊の足が止まる。


「皆、一斉に攻撃を浴びせろ」


 しかし、皆硬直状態にある。

 そんな中、モードレッドは真っ先に光線を放つ。光線に焼かれ、霊は焼失した。


「モードレッド……」


「怖じ気づいてちゃ何も始まらない。だから私も共に戦うよ。一緒に生きて帰るよ」


「うん」


 リュウメイは感極まり、笑みを浮かべる。

 モードレッドは振り返り、怖じ気づいている者たちへ言う。


「お前ら、そうやって護られるだけか?その程度の覚悟しかないのなら巫女を目指してんじゃねえよ。最初から教わってきただろ。いつか霊と戦う時が来るって。だったら膝が震えてでも、足が折れてでも戦え。それが、"巫女"だ」


 その言葉に感化され、彼女らは勇気を得た。

 二十三時間、彼女らは誰一人欠けず生き残っていた。その間に戦った霊の数は十六、それら全てをはね除け、リュウメイとモードレッドを中心に戦っている。


「あと一時間、絶対生き残るぞ」


 彼らは気合いに満ちている。

 その様子を見て、森の中から一人の少年が姿を現した。


「鈍く光る幻影の光は、未だに僕の前には現れない」


「人?」


「僕はエイリアン=ライター、君たちを使って幻影の光を取り戻させてもらうよ。それが僕の生きる意味だからね」


 突如、エイリアンの背後に亀裂が走り、巨大な大穴が空いた。そこから無数の霊が出現する。


「さあ、終演を始めよう」


 霊たちは一斉にリュウメイらへ襲いかかる。数は十や二十では収まらない。百や二百、それ以上の霊がリュウメイらへ襲いかかっていた。

 リュウメイは光の壁を張るも、一瞬で粉砕され、霊たちリュウメイらは吹き飛ばされた。


「現実とは実に悲しいものだな。全て呆気なく終わってしまうのだから」


 巫女たちはその場に横たわる。

 そんな彼女らを霊は喰らう。まだ意識のあったリュウメイは起き上がり、喰おうとしてきた霊を光で消失させた。


「ん?まだ息があったか。まあ無駄だがな」


 リュウメイのすぐ側では、モードレッドが意識を失って倒れていた。彼女を喰らおうとする霊を蹴り飛ばし、エイリアンへ光線を放つ。

 しかし、それは十数体の霊の壁に阻まれて防がれる。


「無駄だ。霊ども、奴を喰らえ」


 霊は一斉にリュウメイへ向かう。リュウメイは霊の餌食となり、喰われる。

 とその時、モードレッドは意識を取り戻した。その瞬間にリュウメイが喰われている姿を目にし、騒然とする。


「リュウメイ……」


 モードレッドは戦意を喪失し、うずくまる。


「脆いな、幼いというのは可哀想だな」


 エイリアンの手には黒い粒子が舞い、気づけば槍が握られている。その槍をモードレッド目掛けて構える。


「やはり、何を生け贄にしても幻影の光は甦らないのだな。ならいっそ、全て終わりにしてやろう」


 エイリアンは槍をモードレッド目掛けて投げる。しかし槍は弾丸に撃たれ、モードレッドの前で地面に突き刺さり、止まった。

 エイリアンは海を見る。

 そこには船が一隻あり、その船に銃を構える少女がいた。彼女は船から飛び、モードレッドの前に降り立った。


「……誰?」


「私はエリア、リュウメイの妹だ。リュウメイは今どこにいる?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る