サクヤ編
サクヤ編第1話 サンダーとの出会い
春の季節に風に煽られ、私は名門ヴァルハラ学園へ入学した。登校途中、私はとある少年に出会った。
その少年は電撃を纏っていた。足下にはその少年と同じくらいの歳の子が何人も倒れていた。
「おいお前、そんなに俺を見て何か言いたげだな」
私は脅え、しりもちをついた。
その時、少年は私へと飛びかかった。
まずい。このままじゃ、殺される。
そう思った瞬間、少年は私の後ろに蹴りを入れた。後ろには私を狙っていたのか、同い年ぐらいの少年が立っていた。その少年の顔に電撃を纏う蹴りが直撃し、痺れに襲われたのか倒れた。
「お前、その制服、お前もヴァルハラ学園の新入生か?」
そう言ったこの少年も、私と同じヴァルハラ学園の制服を着ていた。
「俺はサンダー、君は?」
「わ、私はサクヤ」
「サクヤ、よろしくな」
サンダーという少年は私へ握手を促すように手を差し出した。私はサンダーに少し興味を持ち、握手を交わす。
「よろしくね。サンダー」
私とサンダーは二人でヴァルハラ学園の始業式に出る。そこでは魔法によって多くのショーが披露され、新入生は大興奮であった。
ショーのひとつに、雷属性の魔法で龍を形取り、魔法体育館の空を飛ばすといいものがあった。その時、私の隣にいたサンダーはその龍へ電撃を浴びせ、消失させた。
「サンダー!?何してるの!?」
「何って、凄く貧相な雷魔法だったからさ、つい」
「ついじゃないよ。今凄く悪いことをしたんだからね」
だがサンダーは私の言っていることにピンと来ていないのか、終始首を傾げていた。
するとサンダーは何をおもったのか、その魔法を放った生徒がいる壇上へ立った。
「サンダー……」
私はもう呆れていた。
「破天荒過ぎるよ……」
私が嘆いているとも知らず、サンダーは先輩の前に怖じ気づくことなく立っている。
「お前か。先ほどの魔法は?」
「ええ。とても不完全な魔法でしたので、容易く壊してしまいました」
「新入生にしては肝がすわっているな。今回は見逃してやるから、とっとと戻れ」
「いえいえ先輩、俺は雷属性の魔法が得意でしてね、俺より上手に雷魔法を使いこなせる者に会うためにこの学園に来たんですよ。そんな者がいなければ俺はこの学園にいる意味なんてありません」
「そうか。また今度付き合ってやるよ」
「怖いのですか」
「そうだな」
喧嘩を売ろうとするサンダーを、その先輩は子供の戯れのようの軽く流していた。サンダーも果敢に攻めるが、その先輩は表情を変えることはなく平然を装っている。
「ライヴォルト、少しくらいは付き合ってやれよ」
そう言って、紅色の髪をし。腰に剣を下げている女性がそこに現れた。彼女を見て、ライヴォルトは言う。
「だがこの後にはまだショーは控えている」
「こんな状況ではそのショーも楽しめないだろ。まずはこの問題を解決しない限りはな」
彼女は面白そうとばかりに笑みを浮かべ、ライヴォルトが戦うように仕向けている。
それに屈し、ライヴォルトはサンダーへ言う。
「分かったよ。なら先輩として教えてやる。魔法とはなんたるかを」
恐らく異例中の異例であろう。
新入生が先輩に勝負を挑む。それに会場は大いに盛り上がっていた。
「ヴァーミリオン、勝負を促したのはお前だ。審判はお前が務めろ」
「最初からそのつもりさ。ではライヴォルト、サンダー、両者の承諾をもって、ここに勝負を認める。使用していいのは雷魔法のみ、それ以外の魔法は禁ずる」
サンダーはやる気満々だ。それに対し、ライヴォルト先輩は嫌そうな表情でサンダーの前に立っていた。
「では、勝負始め」
サンダーとライヴォルト先輩との戦いが今、始まった。
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