ギャルゲーのメインヒロインは僕の嫁!~気が付けば親友ポジにTS転生~
totto
第1話 流石僕の嫁!
「流石僕の嫁! 今日もかわいい!」
目の前の光景に、いつものセリフが自然と出てくる。
勢い余って抱きしめるとに固い感触がした。
『おはようございます。今日もいい天気ですね』
ヒーリングボイスで柔らかく微笑む彼女の姿は、語り尽くせない程の魅力で溢れており、彼女に関して語りだしたら1日で終わる気がしない!
目の前に
年齢
幼い頃からの趣味はアニメ、ゲーム、ラノベに傾倒していたオタクだが、学業や人付き合いも悪いわけでもなく無難に進級を続けた。
そして高校1年の時、
他の言葉で表すならば2次元嫁とも言うべき存在だろう。
だから僕はこう言う。
「流石ボクの嫁! 今日もかわいい!」
幼い姿も最高だ!
その
「ヨメ? あの、サスガぼくのヨメってどういう意味ですか?」
可愛らしく首をかしげる目の前の幼女に、今までで一番の萌えを感じずにはいられない。この幼女が数年後には、あの画面の向こうに居た少女に成長するのかと思うと興奮する!
それは幼稚園の片隅で、
あれは、まさに運命の出会い。
当時2次元の少女達をこよなく愛するオタク達の中で、話題となった最新の擬似恋愛シミュレーションゲーム、通称ギャルゲー。
キャラクターデザインを担当するのは当時人気絶頂のイラストレーターという事もあり期待が高まる中、満を持して発売された作品『恋の守護者』通称『
科学に似た魔術がある
基本的な攻略対象は、メインヒロインが3人。
そのメインヒロインの1人である
勿論、僕もその1人であり、この作品で彼女のルートを何度もプレイしては、
「流石僕の嫁! 今日もかわいい!」
とことあるごとに口にしていた。
だって可愛いし! 何より可愛いし! とにかく可愛いし!
語彙力が乏しいのは分かっているから、そんな可哀想な奴を見る様な目を向けるのやめてっ!
事の発端は、日課である
人通りの少ない通学路を歩いていると、黒塗りの高級車が目の前から早い速度でコーナリングを決めながら目の前に迫ってきた。
甲高いブレーキ音に迫りくる黒塗りの高級車、そして―――――
「イッターーーーーイ! じゃないよ、普通に死ぬから! あれ、生きてる?」
確実に死んだと思ったら、生きてる? いやいやいや、轢かれたはずなのになんで無傷なの!?
慌てふためく僕の目の前で、塀に衝突している高級車の運転席のドアが開いた。
中から着物を着たおじいさんが下りてきて、
「いやーーーすまん。ブレーキ間に合わんかった。ほれ、この通りペチャンコに……」
彼が指さす方を見れば、塀と車の間に赤いモザイクの掛かった何かが。
「え、それ僕ですか?! 何でモザイクが、いやそれよりも、あれが僕なら僕は一体何なんですか!」
「それは神であるワシの力で見えんようにしといたんじゃよ。そして今のお主は霊体じゃ。 殺してしまいすまぬ」
神を自称するおじいちゃんが頭を下げた。
え、神? 死んだ? 幽体? 何がどうなっているの。
「えっと、神様? 僕はどうなっちゃうんですか……」
もう訳が分からず、やけくそ気味に尋ねてみた。
「そうじゃな。ここで死ぬはずでなかったお主をワシの力で好きな世界に転生させよう。この世界でも良し、異世界でも良しじゃ」
「ッ! それじゃあ僕をギャルゲー『恋の守護者』に転生させてください!!!」
自称神様おじいちゃんに即答。
叶うのなら、彼女の元へ行きたい!
「ふむふむ、なるほど。お主、一ノ瀬愛浬というキャラクターが好きなのじゃな。よし任せるのじゃ。ちゃーんとおぬしを転生させよう」
「やったー! ってあれ、僕、愛浬が好きとか言いました?」
「なに。神なのじゃから、それぐらいすぐ分かるわい。では転生させるぞい…………親友のキャラクターに」
「はい! ……え?」
「フォッフォッフォッ、百合は良いぞぉ~」
その言葉を最後に僕の意識は途切れ――――
「オギャー!(あの爺さん百合厨かよ!」
眼を覚ましたと同時に僕は叫んだ。
僕の現在の名前は
大好きな彼女の親友であり、サブヒロインに位置づけられるキャラクターとして
あのギャルゲーには、更に何人かサブヒロインが設定されており、その1人が僕というわけだ。
それから数年後の幼稚園にて。
「ヨメ???」
いまだに僕のセリフに愛らしく首を傾げて問いかける彼女。
幼い容姿だが既に将来美人になると予想させるシュッとした顔立ちに、特徴的な雪のように真っ白な白髪に青い瞳。一目見ただけで、僕は彼女が一ノ瀬 愛浬だと確信していた。
設定では、幼馴染であり親友で、小さい時からの付き合いだったと記憶している。まさかこんなにも早く出会えるとは思っておらず、いつもの口癖が咄嗟に出てしまった。
ついでに抱きしめなかったことは褒めて欲しい。
「えっと、いちばん好きって意味?」
つい口走ってしまった言葉は取り消すことが出来ないので、幼い子にも伝わりやすい言葉で伝える。
ホントダヨーウソツイテナイヨ!
「わたしたちって、出会ったばかりですよね?」
そう、幼稚園に通い始めて今年で5歳になる僕と初対面。それなのに、急に初めて出会ったのに一番好きと言われても困るよね。でも、前世から大好きなのだから許して!
「えーと、えぇっと、これからそうなる?」
「フフフ。アナタ、変なの」
花が咲くように笑う彼女に心奪われて、一緒になって笑う僕の声。僕達はこうして親友になるべく、第一歩を歩み始めた。
愛浬たん萌えっ!
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