幼馴染が泣いていたので

 ミムは、まだ泣きじゃくっていた。


 謎の宇宙にヒロハルが存在していた時間はほんの一瞬、

 いや、事実上ゼロ瞬だったに違いない。


 目の前の幼馴染を見て、ヒロハルは思った。


(細ぇー…………。

 こいつ、こんなに小さかったんだな…………)


 下心的なものは何もなく、ミムに触れたくなって、

 ヒロハルは立ち上がり、華奢な肩に手を置いた。


(ヤバい…………

 気をつけないと、壊れそう…………)


 ミムが顔を上げた。


(おっと)


 ヒロハルはひざまずいた。


 大きい声は出したくなかった。

 でも届かないと意味がなかった。





(ミム、ごめん。ほんとごめん。


 俺にはお前の考えてることとか気持ちとか、

 ぜんっぜんわかんなかったわ。

 これでもわかりたかったんだけどさ。


 だから、だけど、これだけ。

 勝手かもしれないけど、いわせてくれるか)


「ミム。

 ミムは、ミムだよ。

 それでいいんだ。

 だって、ミムなんだから」

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