ぶかちゅ
バブみ道日丿宮組
お題:永遠の野球 制限時間:15分
ぶかちゅ
人は成し遂げたとき、生きる目的を失う。
いわゆる達成感の強さが、生力を奪う。
大抵の人間は夢を現実として叶えることはない。
お金持ちになりたい、アイドルになりたい、石油王になりたい。
果てしない夢ばかりが人の中で渦巻いてる。
そんななかで、ぼくの弟は野球選手を目指した。
こういっちゃなんだが、弟には野球どころかスポーツに関するステータスがない。帰宅部であるぼくとかけっこしても負ける程度の肉体強度。
さすがに重いものをもったり、握力、腕相撲といった直接鍛えたものに勝てないが、ただその程度。それ以上を超えることがない。普通の人より鍛えてる。
だからこそ、弟が入った野球部ではスタメンに入ることはなく、補欠として選ばれることもない。
「……」
応援席から弟の練習風景をみても選ばれないだろうなとしか感じない。
部内の誰かわからない人と楽しそうにキャッチボールをしてる。他の選手達はノックやら、ランニング、ストレッチなどより実践に近いものをセットにしてやってる。
もちろんキャッチボールをしてる部員もいる。ただ速球にしたり、フライにしたり、転がしたりと緩急をつけてる。
「部活やめたら?」
男との帰り際、思わず本音がもれた。
「やめてもやることないよ」
「そのいいかがもはや野球どうでもいいっていいかただよね?」
「姉貴にはわからないんだよ。男には引けない時があるってさ」
男だけにしかわからないっていうわりに、遊んでるだけな気がする。
「キャッチボールしたいんなら部活以外でもできるでしょ?」
「うーん、野球部が有名な場所でやるからこそ有意義な気分が味わえると思うんだ」
「それって他の部員に迷惑にならない?」
ぼくの言葉に弟は頭を左右にふる。
「見世物ってか頑張らないとこうなるぞって見本らしくてさ特に不自由は」
「評価に響かない?」
これはぼくがいえたことじゃないけれど、姉弟で問題行動を取り続けるのはさすがに目立つ。ぼくが好き勝手学校で遊ぶのが辛くなるのは困る。
「へんな顔しなくても大丈夫だよ。姉貴に迷惑にならないように振る舞うから。第一迷惑かかるのはこっちでかけたことないだろ」
確かにとぼくは頷き、
「ぼくとしては活躍してる弟も見たくあるのだけど、やってみようか?」
「いや、いいよ。姉貴が動いたとなるとまた揉めるから」
ふーんと私はちょっとだけ残念に思いながら、弟の手を掴んであるき出した。
ぶかちゅ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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