正しさ
バブみ道日丿宮組
お題:正しい人々 制限時間:15分
正しさ
世界はあやまちに満ちている。正解なんてものは存在しない。誰かがやることは、誰かがやらないこと。間違いは正しいという認識によって変曲する。
「テロは順調」
ハックしたカメラから見える映像がディスプレイに映し出される。その中で沢山の人が苦しみ、叫び声を上げている。
見えない兵器、細菌による肉体への攻撃。
何人かは同士。自らをテロの媒介として立候補した勇気あるものたちだ。正しいことを正しくするために。
「……予定より確保数が少ない」
カメラを切り替え、倒れてる人の数を確認する。
若干ながら、前情報で聞いてた人の数と異なる。
「……追加してもらうか」
インカムを起動し、カメラの中で壁により掛かってる人物へ連絡を取る。
『なにか』
「あまり効果が出てないから、再度蓋をあけてほしい」
『なるほど、わかりました』
すぐに動き出す。
その姿は苦しみを上げてる人と比べて異端。何事もないように細菌の中を歩くのだから違和感しかない。
これが立候補した一人の力。細菌兵器への耐性。もっともその人自身がもはや細菌兵器に近くなってるともいえるのだが、そんなことを考える人はほとんどいない。
もう片付けたとも言える。
「総理の意向のままに」
良き世界を作るために、自分が正しいような理屈が通らない物事を主張する人を狩る。
「……」
これによって、私が正しいと思える人が残る。
結果的にこの国の人口が4割減ったとしても、生きやすい世界を作るために致し方ない犠牲だ。他の国に依頼した8割の削除に比べては優しいものだ。
人が減り、消費も減る。
こうして限りある物資は必要とするものに渡り、不必要なものにはいかない。
争いしか心に抱けない人々は今やテロに恐怖し、普通という定規で動かされてる。他人がどう感じるか、地球に何を返せるだろうか。
この地球で生まれた意味を考え始めてる。
『蓋の拡散を行いました』
「ありがとう。キリがいいところで次の場所に移って」
はいという短い受け答えが届くと、カメラからその人物は消えた。
次に見えるのは数時間後、他国の首都圏エリア。
「……」
そのときまで私も休憩だ。
壊されるものもあれば、当然生まれるものもある。
それを壊すのが私の生きる意味。
歪んだ思想はなくならなければならない。
かつて核の炎で地球を破壊した人間を戒めるまでは私は正しいのだから。
正しさ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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