バブみ道日丿宮組

お題:絵描きの衝撃 制限時間:15分

 人に努力を見られるわけにはいかない。

「あのね、授業中は授業に集中してほしいわけ」

 が、講師の目に触れれば当然怒られる。

「特待生だからといって何をやってもいいってわけじゃないの」

 特別教室ーーただの面談練習用の教室。授業が終わると私はそこに呼ばれた。

「私は絵を毎日提出しなければならないので、授業を聞いてる暇はないです」

 それに

「試験できちんと点数とってるじゃないですか。ダメなんですか」

 勉強はあまりしない。

 絵を記憶、計算という形にすることで覚えてはいるが、それが勉強なのかと言われれば違う。絵を描いてる事実に変わりない。

「だからといって特別扱いはできないわ。学年の主席に近い点数をとっててもね」

「特別だから特待生になってるのではないでしょうか」

「そういう特別じゃないわ」

 この人は提出の締切があることを理解してるのだろうか。

 学校が勝手に私の絵画展を開くぐらいの量を求めてくることを当然に思ってるのだろうか。

 家で絵を描き、勉強(?)をし、睡眠時間をなくせと命令してるのだろうか。

 冗談じゃない。私が絵を描きたいのは、私の意思。誰かの操り人形じゃない。やりたいことやるのに理由なんてない。

「注意はしたからね。次は気をつけるように」

 話が終わったと講師は席を立つと、扉の前へと歩いた。

「ばれないようにします」

 クラスメイトは応援してくれてる。

 絵画展の評価もくれる。

 悪いことは講師たちにしかない。

「そう。態度の評価を下げるしかないな」

 廊下に講師が出ていくと、ため息がもれた。

「……」

 文句をいってくるのはあの講師ぐらいだ。

 目の敵にしてるのだろう。自分が好きな生徒が伸びず、授業中に絵を描いて遊んでる生徒に負けてることに。

 生徒と肉体の関係があると噂されてるのはあながち嘘ではないのかも知れない。

 次の提出する絵はそんなテーマにしてみよう。


 どうせ絵の価値なんて講師にはわからないだろう……し。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る