魔王さまになったのかもしれないがキノセイ
バブみ道日丿宮組
お題:汚いラーメン 制限時間:15分
魔王さまになったのかもしれないがキノセイ
最近流行りの大盛りラーメンを写真で見ると劇的に汚いといえる。
もっと美味しそうに食べ物を扱ってほしい。家畜たちはこんな汚い料理のために命を捧げてるわけじゃない。もちろん、大盛りラーメンを完食してる人は何も問題ない。出されたものをしっかりと命を貪るという形で未来へつないでる。
気に食わないのは、大盛りラーメンに限らず『食べきったら無料』とかいうアホな企画だ。そんなことに食材を使うなら、自分自身の肉を提供したら良い。
「あぁ、ほんとにもう」
そんなアホたちの骨を使った汁は汚い。
良いものを食べてるはずなのに異臭を放つくらいだ。どうしたらここまで放置できるのだろうか。さすがにアスリートの肉は一味違ったが……普通の人はそうはならない。
「美味しい?」
「どうだろ、俺は味覚ないからそっちが判断してくれよ」
うんとスープを口に入れる少女。
俺が完食できなかった失敗者を執行してるときに遭遇した唯一の友であり、恋人でもある。俺が肉を捌いても、人の叫び声を聞いても何も反応を示さない。
「味が薄い気がする」
「そうか。痩せてる人だったからかな」
なら、次は太ってるやつをターゲットにしたほうがいいかもしれない。彼女の成長に関わる由々しき問題だ。
「でも、臭くない。臭いのは嫌い」
「それはわかる」
彼女を頭を撫でると、さらりとした気持ちのいい感触が返ってくる。味覚という人として最低限度の個性を失った俺が唯一感じることのできる感覚。
「ただターゲットがいつも臭くないやつばかりってわけにはいかない」
大学生や、主婦など、挑戦といって失敗するやつは多い。
「ん、そうだね」
撫でられた彼女は心地よさそうに目を閉じる。
「いっそのこと、人ラーメン店を作るのもいいかもしれない」
「そんなに人とれないよ? 最近は警備が激しい」
たしかにそのとおりだ。
だからこそ、彼女をおとりとして人を連れ去ることしか今はできてない。昔であれば、その場で叩き落とすくらいできたのにな。
「なら……エサを作る店を用意する必要があるかもしれない」
「エサ?」
「そう。金だけはあるからな。それで人を寄せ付ける」
もちろん、寄せ付けるだけで食材は使わない。
使う必要な人はまずこないのだから。
「そう。今度またあそこのお店いきたい」
「あぁあのキレイなラーメンを作るお店な。俺もいきたいって思ってたところだ」
その前に作った料理を食べなければならない。
命に感謝できないのであれば、俺も同じ糞になる。
「麺茹でる?」
「あぁ」
こうして俺は、いや俺たちはいつものように人を食べた。
魔王さまになったのかもしれないがキノセイ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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