メイソウメイチュウ
バブみ道日丿宮組
お題:セクシーな衝撃 制限時間:15分
メイソウメイチュウ
出会い方は人それぞれ。
私には私の出会いがあったように彼には彼の出会いがあった。
私がその隣に入れないのはとても悔しい。
けど、それは彼女が行動して、私が行動しなかったせい。
すべてそういうふうにできてる。
おかげで試験の点数は学年首位になることはできた。羨ましがる友だちや、妬みを込めた視線をその時は浴びたものだ。
今は静かに授業を聞くだけの毎日。楽しいことなんて起こらない。
正直起きてほしいような起きてほしくない感じ。
起こってしまったらもう二度と普通には戻れない気がする。
その予感は数分後に的中する。
「おい、あれ見ろよ!?」
クラスメイトの叫び声に皆授業だというのにも一斉に指差す窓の外を見る。
「なにあれ?」「撮影とか?」
いろんな声が耳に届いてきた。
「……」
私はその中で気づかれないようにごくりと喉を鳴らす。
窓の外にいたのは、かつて私が描いた絵本に出てきたものたち。友だちがいない私が唯一自分と関わるものを作れる世界ーー童話。それを作りたくて一生懸命描いたものだった。
そんな彼らーー怪物が街を破壊してた。
「やばくない?」
焦る声が多くなり次第に教室内、いや学校中が震えるようにざわついた。
教師の言葉を無視するかのように一人、また一人と廊下へと出ていき、ついには校庭から逃げ出してく生徒が見えてきた。
何十人の塊がいっせいに校門の外へと散ってく。
そのさきに怪物がいることもわからず……に。
「ねぇ逃げないの? ねぇねぇ」
「逃げるにしてもどうしようもなくない? 電車も混むだろうし、車も渋滞になるよ」
冷静な私の対応を見てからか、
「そう落ち着いてるから彼取られちゃったってあたしいったじゃん」
「彼は関係ないでしょ! 怒るよ」
終わったこと。私には関係ないことだ。
「ここで目立てば彼が振り向いてくれるかもよ?」
「あんたも意外と落ち着いてるじゃない」
「なんかさ既視感があってさ、特に危険を不思議と感じないんだよね」
「そう……」
友だちがいない私に唯一関わってくれたのは彼女。かつてはただの厄介者として無視し続けてたけど、小学生高学年になる頃には親友へと変わってた。
その彼女が見覚えあるのは当然で、私が見せたこともあったし、勝手に持ってかれたこともあるからだ。
「教室空になったね。教師までいなくなってるの笑うし」
彼女はカメラを取り出すと、授業中なうと口に出しながらスマホをいじりだした。
それをみて私もスマホを取り出し情報を確認しようと思った。
結果は見るまでもなく情報という情報はなく、非難は誘導に従ってくださいという簡潔的なものだった。
「この学校避難所指定されてるみたいね」
「なら、逃げたやつら無駄足になったね」
あはは、笑う私たちは平常心。いや、この時平常心というものはもう壊れてしまってたのかもしれない。そうでなければ、あの結末にはたどり着かなかった。
メイソウメイチュウ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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