第16話

なんとなくけだるげな朝。思い当たる節は一つしかない。バイトの件だ。別に嫌だって分けじゃないんだけど、いざ働く事が現実味を帯びてくるとちょっぴり憂鬱になる。通学ってこんなに足取りが重くなるものだっけな。




 そんな心持ちだったからか教室に入るのが始業のベルが鳴るのと同時になってしまった。紗良がムッスーとした顔でこちらを見ていらっしゃる。




 多分朝の内に説明しちゃいたかったんだろう。そんな気配が、というより顔に書いてある。




 今日はやけに皆が私をチラ見してくるんだが何なんだろう。気が散るから止めてほしいものだ。




 居心地の悪いまま午前中の授業が終わり昼休み。紗良がニッコニッコで私の正面に机をくっつける。

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