龍国の襲来(11)
そういえば、あの魔法もあったんだ。
あの魔法というのは幻惑系の【扇動】である。
確かロリババア――リナさんにもらった【暗殺者の日記】というタイトルの本を【賢者の権能】を使って習得した魔法だ。
久しぶりに幻惑系の魔法を使うことになるので忘れたのかもしれないが、残りの【はぐれドラゴン】をまとめて拘束するにはピッタリな魔法だと思う。
【扇動】で敵の気を引き、【包囲網】で脱出不可能な結界を展開して戦闘不能にする。
自分で言うのもなんだけど、完璧な作戦だ。
いやでも、とはいってもやっぱり幻惑系の魔法が使えるのを思い出したというのもかなり大きかった。
これで、【はぐれドラゴン】の動きを封じることが出来る。
そうすることによってその長といざ会うときが来たら邪魔するモノはいないはずだ。
よし。
これでいける。
そう決めると、もはや習い性になった魔力を操るための過程を行う。
まずは体内にある魔力回路で際限なく流れる魔力に集中する。
するとしばらく集中すると、何かを掴まえたような気がしたらその何かを強く握りしめ、無理やり体外へと引っ張り出す。
そうしつつ、魔力の属性を変えるのだ。
今度求めるのは、幻惑魔法。
――脳に言うと、魔力の属性が変わるのを感じる。
魔力を使う度に普段感じられる【不純なエネルギー】が【純粋なエネルギー】に変わると同時に、【破壊属性】から【幻惑属性】に変わった。
この魔法を大規模で使うのはじめてだけど、うまくいけると思う。
なので、躊躇うことなく俺は魔法を発動することにした。
「【扇動】」
と、俺が唱えると、効果はすぐ出た。
ついさっきほどまで街並みの破壊に余念のない【はぐれドラゴン】たちは、【扇動】を使ってつかの間、俺に視線を集めてくる。
なんか目が怖いが、別にどうでもいい。
するとしばらく俺を見つめていると、全員一斉に空に向かって咆哮を上げ、大きな翼を羽ばたかせ、こっちへと飛んでき始める。
数はざっと見で30匹くらいか。
なんか思ったよりそれほど多くはなかったが、そりゃ別に悪いことじゃない。
むしろ数がこれほど多くはないので全員を拘束するのはお安い御用さ。
そう思って俺は次の魔法を使うことにした。
その魔法は言うまでもなく、【結界魔法:包囲網】である。
魔法の記述によって敵を魔力が尽きるまで、あるいは解放するまで脱出不可能な結界を展開して目に見えるもののすべてを閉じ込める。
自分から言わせればめっちゃ便利だ。
これで俺の邪魔をしてくるモノは全員いなくなったはずだ。
――接近している【はぐれドラゴン】へ向かって手を差し伸べると、俺は魔力を集める。
そして十分に集めていたら唱える。
「【結界魔法:包囲網】」
と。
すると大きな結界が現れ、こっちへと飛んでくる【はぐれドラゴン】全員を無理なく閉じ込めたのを目の当たりにしたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます