龍国の襲来(6)
「そうか。わしを殺すつもりか」
ルクスは表情ひとつ変えずに、そう言った。 するとグランはさっきのしかめっ面はまるで嘘のように晴れ晴れしい笑顔を見せた。
「そうだよ、弟よ。父上がなんでおまえをそもそも死ぬ際に龍国の王に選んだのかわからんが、少なくともおまえの死を通して新しい龍王が誕生する」
と、挑発しているふうに言ったグラン。 すると兄貴の挑発をまるで聞かなかったかのように、ルクスはさらに話しかけた。
「わしに勝てるとでも思うのか、グラン? 思ってたよりおまえは愚か者だったみたいだ。それとも、もう忘れたのか?わしらがまだ雛だった頃。ずっと前からわしに負けてるおまえは一体何ができると言っているのか?」
弟の言葉を聞いて青筋を立てるグラン。 図星だったからだ。 けどグランは決して、そんなことを認めない。 そこまでプライドが高かったので、当然でしょ。
むしろ認めるより、さらに火に油を注ぐことにした。 ――とんでもないバカだ。
「愚か者はおまえの方、ルクス」
と、言われた際に気づくルクス。 弟を呼ばなかった。
「くん」も付けていない。 どうやらグランは相当怒っているみたいだ。 もはや挑発気味で、最強の龍王と呼ばれているルクスは言った。
「おお? じゃあ説明しろ。何故わしが愚か者だと?」
しかし気になる。 ルクスはなぜ、グランに愚か者を呼ばわりされたのか知りたがっている。 そして弟の言葉を聞いて、さっきの晴れ晴れしい笑顔はどこへ消えて、代わりに数人を睨みひとつで殺せそうな表情に変わった。 一層激しい口調で話し始めた。
「なぜならおまえは、父上に利用されていたのだから」 父上に? 利用されていただと? 「はぁ?バカなこと言わないでくれ」
「バカなこと言ってないんだけど、ルクス」
どういうこと? と、確かにルクスはそう思っていた。 何が言いたいのかぜんぜんわからなくて、頭がめちゃくちゃに攪乱している。
「で?」
と、それしか言いようがないルクス。 そしてそんなルクスに対して、グランはイラついてため息を漏らした。
「これだからバカなんだよおまえは。よーく考えてみてごらん。母上とおまえの妻の突然の死。シリカちゃんの酷い扱いや手加減なしでおまえと「手合わせ」してたとか。もしかして、おかしいか、これがって一ミリも思っていなかったのか?それにそもそもなんで父上が自らの力を自分に分け与えたとかも?」
「………………」
「実は父上はおまえを利用するためにやったのさ。絶対制御できないと信じておまえを【
「………………」
「まあ、それとして。たしかに父上はおまえを【
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