第3章
これ、ルール違反なのでは?
宿屋の一室で、俺はベッドの上に広がっているスキルブックを見ている。
【古代魔法・始】、【戦場へ】、【まがい物の黄金】、そして【創成】の4冊だ。
ルナの弟子を助けてからすでに3日が経ち、あの日にルナからこれらの本を授かったのだ。
別に、今の時点で全冊を“吸収”する必要があるというわけではないので、とりあえず必要だと思う本のスキルだけを覚えることにした。
そんなわけで、俺は1冊の本を手に取る。
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スキルブック【戦場へ】を入手しました。
この本のスキル、取得しますか?
▶はい
いいえ
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確かに俺には【超級剣術】というスキルがある。
でもそれはあくまで剣術だけを強化するスキルだ。
もし、剣を無くしてしまったらもう詰んだだろ。
魔力量も0になったら詰んだ。
そのことを考慮すると、やはり【格闘】の才能、すなわち《スキル》が必要だなぁ、っていうことがわかってくる。
【はい】を押すと、忽ち目の前に見慣れている画面が現れる。
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スキルブック【戦場へ】のスキルを取得しました。
処理中。 少々お待ちください。 処理終了。
新たなスキル【接近戦の達人】を取得しました。
以下は【接近戦の達人】に関するスキルです。
新たなスキル【超級格闘】を取得しました。
新たなスキル【見切り】を取得しました。
新たなスキル【柔軟性強化】を取得しました。
新たなスキル【素早さUP】を取得しました。
新たなスキル【敏捷性UP】を取得しました。
新たなスキル【近接武器の達人】を取得しました。
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ふむ。
魔法がないみたいだな。
まあでも、接近戦だからな。
魔法は不要っていうのが当たり前だ。
………と言っても、魔力を使って身体を強化させるのもいいんだけど、追加されたスキルを見るとそんな必要がないみたいだ。
特に気になるスキルは、この【近接武器の達人】というスキルだ。
スキル名からしてなんとなくその効果がわかるが、思っていることを確認するために記述を読むことにした。
決めると、【近接武器の達人】を選択する。
相変わらず目の前には半透明な画面が現れ、そして相変わらずその画面にはスキルの効果が書いてあった。
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近接武器の達人
全種類の近接武器のであれば達人のように使いこなせる。
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強っ!
強すぎだろ、これ?!
つまりあれだような。
剣も斧槍も、武器さえは近接で使えるのならば達人のようにうまく使いこなせるってわけ?
チートにもほどがあるだろ、おい。
ないと思うけど、まあいい。
それにしてもなぁ、この【近接武器の達人】というスキル以外結構強そうなスキルがめっちゃ追加されたみたい。
【見切り】とか【柔軟性強化】とかな。
これで勝負が接近戦になっても戦えそうだな。
有難いことや!
さて………まあせっかくだからもういっちょやっていこうか。
そう決めると、本を見る。
職業は《大賢者》であるため【古代魔法・始】がかなり魅力的だが、別に後で見てもいいだろ?
もう魔法に関するスキルをいっぱい獲得したから。
つまり【まがい物の黄金】と【創成】の二択だな。
確かルナが【創成】は召喚系のスキルブックで、【まがい物の黄金】は盗賊系のスキルブックって言っただろな。
タイトルからして全然そうは思わないけど。
正直に言って召喚スキルより盗賊スキルの方に興味があるな。
何故かと言うと前も言ったけど、ゲームをやるときは魔法クラスとして全然やらないから。
今までやってきたゲームで、俺は主に回避と素早さを重視してキャラを作成してきた。
器用に極振りしがちなタイプだと言っても過言ではないだろ。
でも逆に、せっかく《大賢者》としてこのゲーム(新たな人生)を始めたから、まあ、【創成】のスキルを取得してもいいかな。。
うん、やろう。
そう決めると、【創成】を手に取る。
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スキルブック【創成】を入手しました。
この本のスキル、取得しますか?
▶はい
いいえ
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迷わずに【はい】を選択すると、獲得したスキルが表示される。
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スキルブック【創成】のスキルを取得しました。
処理中。 少々お待ちください。 処理終了。
新たなスキル【創成者】を取得しました。
以下は【創成者】に関するスキルだ。
新たなスキル【万能創成】を取得しました。
新たなスキル【想像顕現】を取得しました。
新たなスキル【書き直し】を取得しました。
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はぁ?
何このスキル欄は?
【創成者】を除いてスキルは3つしか追加されていないけど、なんかめっちゃつよそうなやな。
とりあえず記述を読もう。
俺は記述画面を開く。
そしてそこに表示されたスキルを読む。
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【万能創成】・人間を除いて、世に存在するありとあらゆる自然に関する物を創作するスキルだ。
【想像顕現】・想像する物を顕現させるスキルだ。
【書き直し】・魔法を分解、分析、再構築させるスキルだ。
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以上、【創成】のスキルの一覧だ。
そしてそれらのスキルに対して、たったひとつ言い斐のあることがある。
そのいい甲斐のあることは、
……………………………これ、ルール違反なのでは?
と。
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