よし、これで準備ができた
俺はロリババアが持参した本のタイトルを見る。
「【古代魔法・始】、【暗殺者の日記】、【戦場へ】、【まがい物の黄金】、【創成】……何これ?」
「見ての通りスキルブックや」
「いや、そりゃもうさすがにわかってるけど?」
と、ツッコミを入れるが、ロリババアは俺の言葉を無視して、話し続ける。
「【古代の魔法・始】、魔術師の道。【暗殺者の日記】、暗殺者の道。【戦場へ】、戦士の道。【まがい物の黄金】、盗賊の道。そして【創成】、召喚者の道。楓はゆーたやろ? この【賢者の権能】とやらで本や巻物を触れるだけで内容を覚えられるって? これらの本を吸収することで、さっき言うた【道】に関するスキルが取得可能になる。例えばこのスキルブック、」
ロリババアは【戦場へ】というタイトルの本を手に取る。
「……を吸収したら戦士に関するスキルを獲得できる。弟子を無事にウチのところに持ってきたら、これらの本をあんさんにあげちゃうかなって思ってて」
なるほど。
そんな為にこんなに沢山の本を持ってきたわけか。
いやでも、もう弟子を救ってやるって言っただろ?
まあ、別に文句とかを言っているというわけじゃないけど。
「あんさんのゆうとこがほんまなら、これ……」
ロリババアは【暗殺者の日記】を手に取って表紙を見せる。
「………を吸収して中身を覚えて。この本に書いてあるスキル、結構役に立つと思うで」
「はぁ……」
暗殺者についての本か。
恐らく隠密に関するスキルがいっぱい載せられているのだろ。
とりあえず吸収してみようか。
そう決めると、ロリババアから【暗殺者の日記】というスキルブックを手に取る。
─────────────────
スキルブック【暗殺者の日記】を入手しました。
この本のスキル、取得しますか?
▶はい
いいえ
─────────────────
という画面が目先に現れた。
あ、そういえば忘れたんだ。
「そういえば、言い忘れたけど、このスキルを使えば本が無くなるよ? それでもいいのか?」
そう、俺がロリババアに警告する。
それでもロリババアは動じることなく頷いた。
「全然大丈夫や。もうここにある全ての本の内容のほとんど覚えてるから」
なるほど。
まあ、ロリババアがいいと言うならいいでしょ?
決めて、【はい】を押す。
するといつものようにスキルブックが発火し、灰となって煙とともに消えてゆく。
そしてその次の瞬間、ピロリンという音とともに目の前にもうひとつの画面が現れ、その画面にはいつものことが書いてあった。
─────────────────
スキルブック【暗殺者の日記】のスキルを取得しました。
処理中。 少々お待ちください。 処理終了。
新たなスキル【幻惑達人】を取得しました。
新たな魔法を取得しました。
新たな魔法【透明化】を取得しました。
新たな魔法【恐怖】を取得しました。
新たな魔法【消音】を取得しました。
新たな魔法【扇動】を取得しました。
新たな魔法【狂乱】を取得しました。
新たな魔法【威圧】を取得しました。
新たな魔法【激昂】を取得しました。
新たな魔法【魅力】を取得しました。
─────────────────
めっちゃ追加されたんだけど?
見るところ全部幻惑系の魔法だ。
これで任務を果たすのかなり楽になっただろ。
むしろ透明化と消音だけで充分だと思うが、こりゃありがたいな。
「どう?」
ロリババアの声に、俺は小首を傾げる。
「どうって」
そう言うと、ロリババアは目を細め、小さな手を拳にするも言う。
「成功したかどうってか聞いてんやろうが」
怒ってるか?
なんか変な表情してんな。
おもしろい。
「成功したに決まってんだろ、このロリババア」
「誰がロリババアなんや!?」
何?自覚ねぇのか?
と言っても、多分、彼女がもうとっくにわかっているけど、ただただ現実に直面したくないだけだろ。
うん、それに違いない。
まあ、それはそうと、さっき隠密を強化させる魔法やスキルがあればなぁ、ってばっか言っていたな。
なんかこりゃもしかして、運命なのか?
………っなわけないが、夢見るのも人生の醍醐味のひとつみたいなもんだ。
と、いろんなことを考えている中、ロリババアの声が聞こえた。
「もうそろそろ日が暮れるな」
まじで?
ここに来てからけっこうの時間が経ったみたい。
「そうなんだ」
と、返事すると溜息をつき、俺は立ち上がる。
時計はないためロリババアの言っているが本当かどうかわからない。
まあでも、別に彼女の言うことを疑う必要がないよな。
俺はロリババアに目をやる。
「じゃあ、俺はここで」
と、それを告げる。
いずれこの任務を開始したいなら、そのときはいまだな。
「………そうやな」
ロリババアが腕を組んで頷く。
何を考えているのたろ?
俺にはわからない。
まあ、どうせ俺に関係のないことだろうな。
とりあえず考えないでおこう。
それよりさ、そろそろ行くか。
「さて、俺は行ってくるよ。必ずお前の弟子を救ってやるから待っててくれ」
そう言うと、俺は踵を返して、歩き出す。
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