第2話 転生したら竜族の姫でした。
「イオ!! イオフィエルは大丈夫なのかっ!?」
派手な音を立てて扉を開いた人物は、酷く取り乱したように叫んだ。
(―――こんな綺麗な男の人見た事ない!)
煌めく豪奢な金髪のとんでもない美貌の男性。
年齢は十代後半か二十代前半ではないだろうか?
急いで走って来たのか着衣が少し乱れ、真っ白な肌は薄らと汗ばみ、蒸気した頬の朱が艶めかしい。
色気というものを具現化させる事が出来るならば、こんな容姿をしているのではないかという見た目に、
走って来た後のせいか酸素を取り入れようと激しく肩と胸を上下させてる様すら、見てはいけないものを見てしまった気にさせる青年であった。
(イオ…? 多分、私の事――――よね?)
青年の圧倒的な美貌を前に璃音は思わずポカンと魅入られながら、呼ばれた名前は恐らく自分なのだろうと考える。
何故なら物凄い眼力を放っている男性の視線は、璃音からぴたりとも動かない。
璃音と視線が合った途端、鋭い眼力がふにゃりと和らぎ、雲の隙間から太陽が覗くような輝く笑顔になった。
「イオ、目覚めたのかっ! 」
扉から一瞬でベッド脇に瞬間移動したように見えた男性は、璃音の両脇に両手を添えて身体を持ち上げると、ギュっと強い力で抱きしめた。
ふわっと香る、男性がつけている香水のようないい香りが鼻を
(ふわぁ…いい香り…)
強い力で抱きしめられていてちょっと苦しいけど、何だか懐かしい気がしてとても落ち着く。
「こらこらこらっ! 今目覚めたばかりだというのにやめなさい!」
べりっと音でもしそうな勢いで、お爺ちゃん先生が私を抱きしめる男性に注意しつつ引き剥がした。
「自分の娘が目覚めた事が嬉しすぎて暴走気味なのは分かりますがね、目覚めたばかりという事もあって、軽い診察しか出来ていない。
少し休んで貰った後、今度は魔道具を使用しての詳細な検査をするまでは、そっとそーっと触れて下さいね。昂ぶる気持ちのまま貴方のバカ力で抱きしめたりしないように。」
お爺ちゃん先生に注意されて、男性は真顔になって頷いている。
その後、酷く情けない表情になって、私の頭をそーっと撫でてくれた。
(あ、この人の撫で方、とっても気持ちいいなぁ)
なでなでなでなで。時折すーっと髪を梳かしてくれる手付きもとても優しい。
とても気持ち良くて目を閉じて堪能していたが、ふと、とても大切な事を思い出した。
「あのー…」
男性はベッドに腰掛け、私の髪を撫で続けている。
いつの間にかお爺ちゃん先生は居なくなっており、居るのは目の前の男性と一番最初に叫びながら部屋を出ていった女の人のみになっていた。
「ん? どうした? 何でもいってごらん」
優しい声と甘い眼差し―――このひと、この世界の私と、どんな関係なんだろうか?
(私より少し上くらいの年齢だから兄とか…? いやでも、さっきお爺ちゃん先生が娘とか言ってなかった…? )
年齢不詳の綺麗な顔をじぃっと見つめる。
(養子とかじゃないよね? この若さで養子とるよりオモテになりそうだし、すぐに自分の子を得られそうだもんね。)
無言でじっと見つめる
とんでもなく綺麗な顔に甘やかすような微笑みを浮かべて促してくれる。
太陽のように輝く金色の髪、何だか直視しづらくて見てなかったから瞳の色までは分からなかったけど、瞳も金色だ。
髪の色と同色の長い睫毛は女性よりも長そう。切れ長の美しい瞳とすっと通った鼻筋、下唇だけちょっと厚めの唇、しゅっとした顎のラインが綺麗。
優しい声と甘い眼差し―――このひと、この世界の私と、どんな関係なんだろうか?
(私より少し上くらいの年齢だから兄とか…? いやでも、さっきお爺ちゃん先生が娘とか言ってなかった…? )
年齢不詳の綺麗な顔をじぃっと見つめる。
(養子とかじゃないよね? この若さで養子とるよりオモテになりそうだし、すぐに自分の子を得られそうだもんね。)
無言でじっと見つめる璃音の視線を受け止めた男性は、
とんでもなく綺麗な顔に甘やかすような微笑みを浮かべて促してくれる。
太陽のように輝く金色の髪、何だか直視しづらくて見てなかったから瞳の色までは分からなかったけど、瞳も金色だ。
髪の色と同色の長い睫毛は女性よりも長そう。切れ長の美しい瞳とすっと通った鼻筋、下唇だけちょっと厚めの唇、しゅっとした顎のラインが綺麗。
(この人見てるとダメだ、ついつい容姿に目がいっちゃう)
神は私の環境を整えたと言っていたけど…私が姫ならこの人は王子様とか?
うーん…わからない。
転生したら赤ちゃんからやり直しだと思っていたけれど、手の大きさと座っていても目線の高さとかで幼児でもなさそうだ。
「あの、私――」
「うん」
「私は誰で、貴方はどなたでしょうか。関係性が思い出せなくて…」
「…っ」
ハッと息を詰めるような音がして、璃音は下におろおろと泳がせていた目線を男性に戻し、驚いた。
男性の顔が蒼白になって、先程まで浮かべていた表情がごっそりなくなっていた。
(私、地雷か何か踏みましたかね…)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。