第2話 「夜襲」

その夜、敵艦隊に対し夜襲を仕掛けることが決定した

作戦は明日の23:30

駆逐艦「ウミカゼ」が偵察をするよう命令が来た


〜ウミカゼ艦橋〜

「いや〜、なんでこの艦が選ばれたんでしょうね」

樋口が言った

「おそらく、損害は最小限にしたい上層部の命令だろう」

僕が答えると樋口は

「自分たちは沈められても良いってことですか?」

と早口で聞いてきた。

かなり怒っているのだろう

僕は、

「違う違う、そういう事じゃない、俺達の練度は他の艦より優れているから選ばれたんだ」と慌てて言った

勘違いされて上層部に殴り込みに行かれたら、たまったもんじゃない

樋口は昔、旗艦の幹部としていたのだが、艦隊司令と食い違っている意見だったため

危険人物として左遷させられたのだった。

今度事件を起こせばクビは間違い無いだろう

そんなうちに時間は過ぎ、作戦開始の合図である発光信号が送られた

「旗艦ノ健闘ヲ祈ル」

こういった信号はやめてほしいな... 僕は心のなかでそう思った


作戦開始から一時間後...

「敵艦隊発見」

レーダーが敵艦隊をキャッチしたらしい

「旗艦『ナガト』へデータを送れ」

残りの我々の役目は、ナガトへデータを送るだけだ

そう思っていたとき

「敵艦隊、砲撃を開始」

え?気づかれた?

まずいな

そう思ったときだ、

副長の新田が

「回避運動」

とさけんだ

船体が揺れる

しかし被弾は免れたようだ

「艦長、どうします」

新田が聞いてくる

「本隊と合流する、本隊に発光信号、『我、敵艦隊ニ追撃サレシ、援護ヲ要請ス』追撃する艦には発砲を許可する」

僕が言うと、航海長は、本隊と合流するコースに艦首を向けた

「最大船速!」

航海長が叫ぶ

しばらく航行していると、敵艦隊の一部が追撃してきた

その時、追撃してきた艦に集中砲火が浴びせられた

「来たな」

僕の予想はほぼ当たっていた

敵艦に追尾されたとき、本隊の射程範囲内まで逃げれば敵艦は撤退、もしくは集中砲火を食らうから僕は本隊と合流する判断をした

しかし、食い違っていた点としては、敵艦は、追尾時に一切発砲をしてこなかったからだ

少し違和感を覚えた僕は、上層部に報告した

しかし、彼らは聞く耳を持たなかった






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