第5話


「流石ですね!ピーター!」

「凄いですピーターさん!」


 兵士たちの仮隊舎テントから俺と付き添いで入ったマットが上手い具合に旧坑道内の調査を引き受けたと話したら二人から称賛を浴びた。

 心苦しいパート2。


「どうやって説得したんですか?」

「頼む込むってのはな。根気さえあれば大抵はどうにかなるモンだ」

「まぁ、ある意味正しいですけど」

「オイコラ、余計な事を言うな」

「ピーターさん、何をしたんですか?」


 俺がニコリと笑って流そうとしていたのに、善人で常識人のマットが口を割る。


「最初に言っておきますが、彼の提案自体は非常に良いものでした」

「そうだろう?」

「坑道内の探索と、内部の魔物討伐。探索結果を向こう側の兵士に手渡すという手段。それらは非常に素晴らしい提案だったと認めます。兵士たちの手が届かない所へのフォローを願い出た内容ですからね。私も納得しました」

「おぉ!」


 感嘆の声を上げるティリスとは正反対にスレてしまったアリスは訝しげな表情になる。


「で、ピーターはその後に何をしたんですか?」

「オイコラ、余計な事を聞くな」

「兵士たちがこの場にいるギルド員などに声を掛けようとノリノリになった時、ピーター殿はこう言いました」


 マットはワザとらしく間を開けて、俺が聞きたくない事を言う。


「全部俺らで引き受けるけど……と」


 なんでお前らもドン引きしてんだよ!

 出来るよ!大風呂敷広げたワケじゃないよ!


「訝しんだ兵隊長は口元が引きつった状態で大口を叩くなと……」

「当たり前ですね」

「そこからはできると主張するピーター殿と兵隊長の水掛け論。まぁ、明確な方法や一つのパーティで達成できるという根拠が非常に乏しかったので仕方がないですが」


 やめて。

 そんな目で見ないでアリス。

 単純に事情を話せなかったんだよ。

 ASDとかホイホイ不特定多数に見せるもんじゃないと思ってるし(今更)。


「どうやって兵隊長を納得させたんですか?」

「実は私は彼と顔見知りでしてね。横から口を出して申し訳ないとも思ったのですが、七日間の期限付きで納得してもらいました。結局、この場にいるギルド員たちも別件で来ている方々が大半ですしね」

「ありがとうございますマットさん!」

「ありがとうございます」


 二人が目を輝かせてマットにお礼を言う。

 一応、功労者の一人である俺はここよ?

 俺が提案者よ?


「ついでに、私も同行することになりました。お目付け役という事で」

「という事で、一時的にパーティに加わるマットくんです。みんな、仲良くしましょう」

「よろしくお願いします。マットさん」

「よろしくお願いします。マット」

「はい。よろしくお願いします。あ、ティリスさん。アリスさん、ピーター殿」


 こうして旧坑道に突入するメンバーが四人となった。

 ちなみに、三人で話し合った結果、ハンプティ・ダンプティ兄弟と俺らの話は隠し通すことになった(口裏合わせ+証拠隠蔽)。

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