第7話


「テントは一緒なんです……よね」

「一個しかないからな。代わりに寝袋は別だ」

「それは当たり前です!うぅ……」


 それでも異性と同じ空間で寝るのは始めてなのか、ちょっと緊張している。

 着ている服はダボダボスウェットだけど、湯上りの女子は可愛さが二割増しになっている。

 アリスの場合、元が良いため子供と分かっていても可愛さが強調されていた。

 しかも、自分の使う寝袋をぬいぐるみの様に抱きしめて座っている。


「な、なんですか?」

「いやぁ。改めてアリスは可愛いなぁと思って」


 俺の発言にアリスはピョンと器用に後ろに跳ねる。

 え、どうやったの今の動き。


「一応、確認しますけど……こ、子供には興味ないんですよね」

「あぁ。性的興味は一切湧かないが、純粋に子供は可愛いとは思う」


 ただし、ギャン泣きする奴は除く。


「ほ、本当に大丈夫ですよね?寝てる間に襲われたりしませんよね?」


 そんなに必死に確認されるとちょっと傷つくな。


「大丈夫だって。俺、夜は寝るものだと思ってるから」

「それは私もそうなんですけど……」

「じゃ、おやすみ」

「はい。おやすみなさ……え?」


 俺はするりと寝袋に入ってジッパーを途中まで閉じる。

 肩まですっぽりと寝袋に入り、フード部分を頭にかけて最後までジッパーを閉める。

 その後、アリスとは反対の方に顔が向くよう体を動かす。


 いや、寝顔は見たいけど、自分の寝顔を見られるのはなんかイヤ……。


「え、本当に寝ちゃうんですか?」

「そりゃあ、寝るよ。明日も森の中を歩くんだし。アリスもしっかりと寝て、ちゃんと疲れを取るんだぞ。一応、けが人なわけだし」

「あ、はい……」


 声がだんだんとしぼんでいくので、俺は寝返りを打ってアリスの顔を見る。


「もしかして期待してた?」

「ッ!違います!私も寝ます!おやすみなさい!」

「おぅ。おやすみ~……すぅ」


 ここで俺の意識は途絶えた。

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