第110話 オイオイオイ……

という訳で、(知力)と(運)以外のステータスを500まで上げてみた。


____________


Lv.58(32%)

・HP(体力):16/500

・MP(魔力)300/500

・STR(筋力):500

・MAG(超感覚):500

・SEN(器用さ):500

・COG(認識力):500

・INT(知力):100

・LUC(運):100

SP.1042


スキル

・ステータス割り振り

・氷魔法(21/100)

・破魔魔法(30/100)

・火魔法(51/100)

・物理魔法(52/100)

・錬成魔法(47/100)


____________


……だいぶ強くはなったと思うのだが、なんか物足りない。

SPはまだ1042も余らせているが、どれかを4桁まで上げるべきかな?

(筋力)を上げるなら(認識力)も上げないと事故りそうだし、(魔力)を上げるなら(超感覚)をセットで上げたい。

(体力)と(器用さ)は単体で効果を発揮できるけど、(器用さ)に不足を感じたことはないし、(体力)は100から500まで上げたのだから、しばらく様子を見てみたい。

というか、これで(体力)が足りなかったらエルフの国から逃げ出すことも検討しないといけないね。


とりあえず昼食の時間になったし、残りは能力不足を感じてから上げればいいや。

今はとにかく飯を食って体力回復だ。

あ、在庫ちゃんとエルフちゃんだ。

私は今から昼食食べるけど、2人はどうする?

……ほら、こっち向いて。

下半身ばっかりに目が行っちゃうんだからまったくもぉ~。

目を合わせて話せとは言わないけど、下半身を凝視しながら話すのはいろいろと不味いよ。


『まだお腹は空いていない』とのことで、2人は昼食はいいそうだ。

この世界では朝食を食べると昼食は食べないのが基本みたいだよね。

一応『昼食』という言葉はあるし、夕食までの間にお腹が空いたらおやつ程度には食べるらしいけど、ガッツリ腹を満たす目的で食べるのは少数派だそうだ。

エルフの方々は優雅にお茶でもしながら軽くお菓子を食べる感じかな?

まぁ、これはある程度お金を持っているからこそ出来る習慣だろうけど……。

この世界に来るまでは朝朝昼昼昼夜で食べていた私としては想像できないわ~。

それだけ食べても全然大きくなれなかったけど……。


さて、キッチンに着いたが食べるのは私一人なので、自分の分は自分で作らないといけないが何を食べようかな?

体力回復によさそうな食べ物……?

インベントリに入っていたワイバーンを含めた高級そうなお肉は全て放出してしまった。

エルフさん達は食べる習慣がないらしい動物の内臓系はいろいろと残っているが、私も腸以外は食べる習慣がないので却下するとして……野菜はなぁ~……。

『体力回復ならやっぱお肉でしょ!』という心の声が強すぎるので、野菜は添えるだけ。

あ、蛇肉あるじゃん。

これでいいや。

ウナギっぽく開きにして、白焼きで食べればいいか。

蛇肉で性がつくかは分からないけど、ウナギにあやかれば精神的にはいけるって!

見た目とかそっくりだし!


そんな訳で1時間ほど時間をかけて料理が完成したのだが、調理中凄く違和感があったね。

諸々のステータスを一気に500まで上げた影響だろうけど、自分の動作1つ1つがあまりにも感覚のズレがなさ過ぎて、逆に違和感を感じる状態だったわ。

なんと言うか、集中力が高まり過ぎてゾーンに入った時みたいな?

今までの限界より、今の通常状態の方がステータスが高いからなんだろうけど、料理をしただけで違和感があるなら、戦闘はもう少し体が慣れてきてからの方がいいかな~?

まぁ、後で軽く体を動かすくらいはしておくか。

今は昼飯が大事。


肝心の蛇肉の白焼きは……まぁ、不味くはなかった。

骨が多くてちょっと硬かっただけ。

味自体は悪くなかったので、焼く以外の調理法を使うか、焼く前に処理をするべきだったのだろう。

前に食べた蛇肉は普通に柔らかくて美味しかったんだけどなぁ……。

いや、あの時ってほとんどサバイバルの状況だったから、他の肉と比べて蛇肉が美味しく感じただけかな?

それとも蛇の種類が違ったのかな?

まぁ、十分美味しかったし、別にいいか。


使った調理道具や食器を洗って片付け、火の始末も終わらせた。

だが、まだ全然(体力)が回復していない。

普段ならもう少し回復していると思うのだが、『エルフの秘薬』とやらの効果がまだ続いているのだろう。

マックスの500まで回復となると流石に時間かかりそうなので、今日の運動はやめておくべきか……。

(体力)と(魔力)が0になっても、死にはしないらしいが普通に気絶するらしいし。


そんなわけで、庭でひなたぼっこに戻る。

当たり前だがジッとしていた方が(体力)の回復が速いのだ。

まぁ、魔力は十分あるので簡単な武器の整備くらいは出来ると思うが、前に整備してから使っていないし、インベントリに入れている間はほとんど劣化しないのでこまめな整備が必要ないのだ。

まぁ、普段腰に下げているナイフは整備しておこうかな。

獲物相手に使っていないけど、錆とかあると見栄えが悪いし……。

ギッラギラにしてインスタ映えを目指すんだ~。


そんなわけで、庭で一人いつも以上にのんびりと武器の手入れをしていると、エルフちゃんと在庫ちゃんが来た。

エルフちゃんが練習用と思われる武器を持っているので、訓練でもするのかもしれない。

在庫ちゃんは飲み物が入ってると思われるポットしか持っていないが、魔法使いらしいし気にしなくてもいいか。

あ、こっちに気を使わなくてもいいよ。

訓練頑張って。


2人は少々ぎこちない感じがするが、それぞれに分かれて訓練を始めた。


在庫ちゃんの方はやはり魔法の練習を始めたようだ。

見えるわけではないが、魔力の放出・形成・魔法スキルの発動を小規模ながら丁寧に何度も繰り返しているようだ。

……地味だし真似することはなさそうだな。

たぶん最初は楽しめるだろうけど、30分で飽きると思う。


エルフちゃんの方は薙刀っぽい棒の素振りを始めたのだが……。

なんと言うか、どこか動きがぎこちない。

少し足捌きが悪い感じかな?

どこか調子が悪いのだろうか?

正直チョット心当たりはあるが、それを聞くとセクハラになるため私から言えることは何もない。

……血が付いてたもんな~……。


あ、隊長さんも来た。

隊長さんもエルフちゃんの動きを見て私と同じことを想像したのか、少し笑いながら声をかけに行った。

練習用っぽい武器を持ってるし、隊長さんも訓練かな?

いや、あれは訓練用と言うより指導用の武器っぽいし、エルフちゃんの育成をしに来たのだろう。

肝心のエルフちゃんは不調だけど、どうするのかな?

まぁ、私は残り体力的に巻き込まれたら困るから、見つからない様にそろそろ隠れることにしよう。

に~げるんだよ~!


「そんなにコソコソと動いて、どこに行くんだ?」


…………まぁ、逃げられないよね。


「ちょっと食後のデザートが食べたい気分になったのでキッチンに行こうかと思いまして……。ほら、私がここにいてもすることないですし、それならお茶の準備でもしておこうかな~っていう気遣いですよ。あっ、向こうで在庫……エアリアちゃんがこっちを見てますよ。せっかくですし近接戦の指導でもしてみたらどうですか?」


特に悪いと思ってないけどすまねぇ在庫ちゃん。

私のために身代わりになってくれ。

訓練後のおやつは在庫ちゃんの分だけ少し多めに用意しておくから。

隊長さんには赦された様で、特に止められることもなく逃げ出すことが出来た。

……適当にデザートって言ったけど、何作ればいいんだろう?

クッキーくらいしか作ったことないぞ……。




料理が作れないことに対する絶望感を抱きながらキッチンへとやって来たが、マジで何を作ればいいんだ?

……とりあえずお茶から決めてみよう。

お茶を飲めば『このお茶にはこんな感じの物が合うかも!』みたいなインスピレーションが湧いてくるだろう。

……紅茶の正しい淹れ方とか知らないから、私の持ってる緑茶っぽいやつでいいかな?

どら焼きとか羊羹が食べたくなるね!

そんなものねーけど……。


「そういえばこんなのもあったな……。」


ドワーフの国で買ったコーラっぽい味のお茶をインベントリから発掘した。

確か炭酸砂糖抜きコーラみたいな味だったんだよな……ハッ!

ここには砂糖がある……。

炭酸は……二酸化炭素のボンベがない以上、クエン酸と重曹を混ぜるしかないがそんなものはない。

諦めるか?

…………とりあえず炭酸抜きで作ってみよう。


私は頑張った……。

勝手に名称した『コーラ茶』の茶葉の量をいろいろと試して味の濃さを確認したり、砂糖の量を少しづつ調整していい感じの甘さを探したり、レモンっぽい柑橘系の果物を加えてみたりと、いろいろと試行錯誤を重ねて頑張ったのだ。

そしてついに、炭酸砂糖抜きコーラは炭酸抜きコーラへと生まれ変わった!

……まぁ、冷えてれば美味しいよ。

ぬるいと微妙だけど。


とりあえず飲み物は決まった。

既に1時間近く経過しているがそこは気にしない。

コーラっぽ飲み物が完成したことに意味があるのだ。

そして、コーラの相棒と言えばポテチかフライドポテト!

ポテチはスライサーがないと面倒なので、フライドポテトを作ることにする。

油は動物性の物が大量にあるので、鍋にドーンと入れて火をつけておく。


ところで、フライドポテトって大きめの方がホクホク感があって美味しいけど、大きい分少し芯が残ったりもして出来栄えにムラがあるよね。

どうすればいいかな……?

から揚げみたいに2度揚げするか?

切って、しっかりと水気を取って……薄力粉を付けて揚げるんだったよな?

薄力粉っぽいのはあったはず。

とりあえず、作るのは問題ないだろう。

頑張って作りますかね~。


片手には炭酸抜きコーラが大量に入った瓶。

もう片手には炭酸抜きコーラが入った瓶。

……作り過ぎちゃったんだ。

…………茶葉がドバっとお湯に落ちちゃったのが悪いと思います。

ドワーフの国で買う物が増えたな……。

フライドポテトは熱々が命だと個人的に思っているから、味見した後塩振ってインベントリにいれた。

味見したものは結構美味しかった。




庭に戻ると、隊長さんにボコボコにされたのであろうが未だ立って武器を構えているエルフちゃんと、既に地面に倒れ伏している在庫ちゃんの姿があった。

ヤムチャしやがって……。

というか、エルフちゃん参加してよかったのかな?

まぁ、命がかかっている戦いで体調を言い訳には出来ないから、体調悪い状態で訓練する意味はあるだろうけど……。

隊長さんってばスパルタ~。

やっぱり私は参加したくないわ~。

参加しなくてよかったわ~。


「お?戻って来たか。それじゃあ、一旦休憩にするか。」


「あ、ありがとうございました……。」


エルフちゃんにここまで感動と尊敬の眼差しを向けられたのは、初めて会った夜にご飯をあげたときくらいな気がする……。

やっぱり隊長さんのシゴキはツラいんだね。

経験は積めるだろうけど、ステータスで圧倒するのが私のスタイルだから、私は今後も参加しなくていいや。

面倒臭い地道な努力とか苦手なのよね~。


隊長さん、実は楽しみにしていたのか、さっさと庭の隅にあったテーブルに移動し、既に座って待っている。

エルフちゃんと在庫ちゃんはフラフラとゾンビみたいな足取りで歩いてきているが、とりあえず隊長さんに先に出しておくかな。

ほ~れ、これが私の用意した『お茶』とおやつよ!

お口に合うといいのだけど……。


「……これは……そういえば以前飲んでいたな。だいぶ冷えているみたいだが……。いや、料理に凄くこだわりのある君が用意したものだ。とりあえず飲んでみるか。」


コーラ茶を知っている隊長さんは少し怯んだようだが、なぜか私に対する信頼感が高いので炭酸抜きコーラを飲んだ。

別にそこまでこだわりはないんだけどな……。

……ところで、これはどういう表情なのだろう?

不味くはないと判断したから出したんだけど……口に合わなかった?


「いや、美味しいぞ。今まで温かい物しか口にしたことがなかったから、少し驚いただけだ。」


…………普通に飲んでるし、気を使ったわけではなく本心のようだ。

まぁ、お口に合ったのなら何よりです。

フライドポテトも美味しいよ~。


やはりコーラとフライドポテトの組み合わせは最強だった様で、その後は隊長さんだけではなくゾンビ2人も満足そうにティータイムを満喫していた。

……さっき隊長さん『一旦休憩』って言ってなかったっけ?

再開したら、ゾンビ2人は吐くんじゃね?

他人が吐いてるのを見ると私も吐きそうになるタイプだから、お茶が終わったら部屋に戻ろうかな。


……無事に乗り切れてよかったわぁ~。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る