第55話 海辺でみんなでバーベキューと……ラッキーなに釣ってるのさ

 俺とラッキー、シャノンは材木を回収した後に海に来ていた。


 材木は箱庭の中でガーゴイルくんに渡しておいた。


 さっそく家の準備をしてくれている。




 本当に箱庭は便利だな。




 海へはあっという間に着いた。


 ラッキーは本当に足が早い。




「海綺麗ですね」


「本当だな。キラキラ光ってて」


『それでどうするんだ?』




 目の前に白い浜辺と青い海が広がっている。


 せっかく海に来たので、みんなでバーベキューをしようと思っていた。


 そのあとは魚釣りをして、釣れた魚は箱庭の中に放流するつもりだ。




「みんな、海でバーベキューするよー。ひとまず仕事止めてでておいで」




 俺が声をかけるとみんな箱庭から浜辺にでてくる。




「今からバーベキューするから」


「パパーバーベキューってなに?」




「バーベキューっていうのは外でお肉や野菜を焼いてみんなで食べることだよ。ここに石を積み上げられる?」


「できるよー」




 パトラに石を積み上げてもらい、そこの上に鉄板をのせる。


「さて、いっぱいお肉や野菜焼くからいっぱい食べるんだよ」


「はーい」




 ガーゴイルくんが料理の材料を切り分けてくれて、ドモルテが火の調整をしてくれる。


 スカイバードのシエルが木の実などを運んで来てくれた。




 この木の実は……カカの実という調味料に使う実だった。


 これはお肉にいれても、野菜に入れても非常に合う。




「シエルありがとうな!」


 シエルはそれからも色々な木の実を運んで来てくれた。


 海の近くだけど、近くに色々あるようだ。




 それから俺はひたすら、肉や野菜を焼いていく。


『肉、肉、肉』


 ラッキーはひたすら焼いた肉を頬張る。




 かなり大きな鉄板なので、ラッキーだけじゃなくみんなにも行き渡るくらい余裕がある。




 ドモルテも肉を食べられているのかと思って探してみると、今まで見たことのないキレイな女性がいた。




 誰だあれ? 


 その女性の方を見ていると俺に話しかけてきた。




「ロック、この肉は柔らかくて美味しいな」


「ごめんなさい。どちら様ですか?」




「あっドモルテだよ」


 その美しい女性は一瞬で骸骨に戻り、また美しい女性に変わる。




「ビックリしたな。幻影魔術か」


「そうだよ。この姿だと味覚があるような感じがするんだよ」




 ドモルテは嬉しそうに肉を食べている。


 野菜とかドモルテに必要かわからないけど、焼いた人参をよそってやろうとすると、皿をどかされてしまった。




「人参は大丈夫だ。キャベッツをくれ」




 人参は嫌いのようだ。人参も美味しいのに。




「パパー! お肉美味しい!」


 オレンジアントたちも嬉しそうにお肉を食べてくれている。


「ちゃんと野菜も食べるんだよ」


「わかったよー」




「ねぇ、このタレなんなの? 今まで食べたことないタレなんだけど」


 肉を焼いているとララが俺の方に詰め寄って来た。




「このタレは俺の秘伝のタレだよ。玉ねぎすり下ろして、あと隠し味にりんごも入ってる」


「こんな美味しいタレがあるなんて……これは仲間になって正解だったわ」




 ララは食事が美味しければいいのか。




 みんながある程度、食事が終わったので俺は今度は自分の分の肉を焼いて食べる。


「うん。美味しい」




「パパー! 海で遊んで来ていい?」


「いいぞ。あまり遠くへ行かないようにな」


「シャノンー行こー!」




「えっ?」


 いつの間に作ったのかシャノンとドモルテが水着を着用していた。




「ロックさんどうですか?」


 俺の目の前でくるりと回転する。


 肌の露出が多いが、他には誰もいないのでいいだろう。




「えっあっ、いやすごく似合っていると思うよ。でも、どうしたの?」


「パトラちゃんが作ってくれたんです」




 パトラが胸を張ってエヘンといった感じで誇らしげにしている。


 パトラグッジョブだ。




「ちょっと海に行ってきますね!」




「ロック、鼻の下が伸びているぞ」


 ドモルテが俺の横にやってくる。




「そんなことはない」


「どうだ。私もなかなかいい身体してるだろ?」


「あぁ、骸骨だって知っていなければな」




 ドモルテは確かにいい身体はしているが、元々が骸骨なのでいい身体だと言われても、微妙なところだ。




「私もパトラたちと遊んでくるぞ。いくぞララ!」




 遠目に何をするのかと思っていると、ドモルテが水を操り、大きな滑り台を作りだした。


 そして、いっきに水魔法で一番上まで登っていく。




 あれはすごく楽しそうだ。


 シャノンやパトラがキャッキャッと騒ぎながら遊んでいる。




『ロックー! 私も遊びたい!』


「よし、いいぞ!」




 前は、アイザックの胸当てを使って投げて遊んでやったが、今回は鉄の鍋の蓋を代用する。


「ほら行くぞー!」




 ラッキーは大きなシッポをブンブンと振り回す。


 そして一気に走り出す。




 普段はラッキーに乗っていることが多いので、ラッキーの速さを改めて実感する。


 ビックリするくらい高速で動いている。




 俺が投げてしばらくしてから動いても余裕でとってくる。




『楽しいな。前にやった時はダンジョンだったけどな。キレイな砂浜で遊ぶのはいいな』


「良かったな。最近は色々問題が起こってばっかりだったからな」




 海の方を見ると、ワイバーンたちとガーゴイルくんが高速で空から海に突入していっていた。


 みんな楽しそうに笑顔が溢れている。




 俺も嬉しい限りだ。


 ラッキーが飽きたところで釣りをすることにする。




「ラッキー俺は釣りをやるつもりなんだけど、どうする?」


『私もやる! 大物を釣ってやる』




 俺は崖から釣り糸を投げ入れた。


 ラッキーは自分のシッポを海の中に垂らしている。




 それで釣れるのかわからないが、こうしてゆっくりした時間が流れるのはいいことだ。


 静かな時間が流れる。




「おっきたぞ!」


 俺の釣り竿が引っ張られる。かなり引きが強い。


 その魚は中々手ごわかったが、大きなタイが釣れた。




 箱庭の中に持って行くと、魔物ではないので聖獣になどならずに海に放つことができた。


 小魚とかも、持って来て放流しておけば豊かになってくれるかな。




 俺が海に戻るとラッキーが一生懸命シッポを引っ張っていた。


「何か釣れそうなのか?」


『当たり前だ! 私にかかれば釣りも余裕だ』




 そう言いながらシッポを引き上げた。


 すごい大物だ!




 キレイなシッポに……上半身は人間!?


 あれ? これってもしかして人魚?




 キレイな鱗がキラキラと輝いていた。


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ラッキー「鍋の蓋投げてくれ」

ロック「いいよ。それ!」

ガコン! ドモルテの頭に直撃して頭がとれた。

ロック「ごめん……」


見てはいけないものを見た気がする。


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