第4章:前略・悪の組織より

悪の組織の礼儀作法!登場人物全員悪人・・・

ギャングスタ怪人ヘヴィホッパーは

下町産まれヒップホップ育ち悪いヤツみんな友達。

そんなワルの要素全開でシオカワに高いダークネス係数を見出され入社し

新たなる怪人としてシオカワの支店基地に配備されていた・・・


「あっ、ここ禁煙なんすね?うわー。めっちゃヤニ切れたー・・・」


「怪人控え室は特にねー。戦闘員の詰め所なら吸えるんだけど」


先輩の極道怪人ケジメドラゴンさんは戦闘以外では穏やかなのだ。

ヘヴィホッパーは入ったばかりなので基地の内部や職員の顔をよく知らない。

悪いヤツみんな友達がモットーの彼にとって悪の組織は天職かと思っていたが

かなり統率が取れているのに軍隊じみた雁字搦めの縛りも無い。


それはそれで反骨精神が削がれると言うか自分の成り上がりストーリーが

抑揚付かないんで、出足を挫かれた感覚に陥る。


「えーっと、あの部屋が充電室・・・

あぁ、メタル怪人兄貴達のエネルギーを充電してるんだな」


さすが悪の組織。蟻の巣の様に地下へと広がる秘密基地だ。

戦闘員のみんなと談笑して早くワルの友達を作らないと・・・


虫怪人用の孵化棟、植物系怪人用の光合成室

熱血怪人用のサウナ室、亡霊怪人用の霊安室・・・


どこだよ?どこに俺のソウルメイトが居そうな

煙草吸えるトコがあるんだよ?

亡霊怪人に到っては交わす魂が無いんじゃねーの?

幽霊相手に俺のラップの切れ味あるライムは通じないだろうし

逆にラップ音で脅かされる事必至だ。勝てない戦い生きる糧無い。


お?なんか職員の様な爽やかサラリーマン風のヤツが居るじゃん?

いいぜメーン。


「あのー?おじさーん?暇なら俺に基地を案内してく・・・」


すると背後からケジメドラゴンさんがダッシュで追いかけてきて・・・

ギャングスタ怪人の後頭部が掴まれ、顔面が水平に叩きつけられ

ケジメドラゴンさんと一緒に土下座体制になる。


「塩河の旦那ぁぁぁ!!!すいやせん!コイツは何も知らん部屋住みなんです!

 どうか、命だけは勘弁してやってつかぁさい!」


「ぐごっ・・・この人が怪人共済の塩河の旦那・・・!?」


「まぁ元気なのは良い事じゃあないですか。ホラ、顔を上げて。私が

怪人共済の塩河迫シオカワセマルと申します。以後お見知りおきを」


名刺を受け取るギャングスタ怪人。

ふと、瞳だけが笑ってない表情が脳裏に刻まれる。


「ふぅ、危なかったなぁ・・・」


「そんなに今のヤバかったっすか?」


「あの人が俺達の生死を分かつ怪人保険の営業マンだ。

 次に粗相があるとタマ取られるぞ。」


それ以上詳しい話は聞けなかったが

戦闘員の詰所で喫煙しつつ彼らと談笑してる時に

塩河の旦那にタメ口で挨拶した話をすると

どういうワケか戦闘員達は「何てことを・・・」

と言う表情をしていた。ちなみに塩河から渡された名刺は

注意名刺デンジャーカード・・・次に何か怪人の失礼があったら死刑名刺デスカードが渡され

ほぼタダ働き、バックアップ無しでウルトライダーと戦わされる

怪人達にとってもっとも恐ろしい制裁が待っているのであった・・・

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