悪の幹部の作戦会議。辛い時は笑って吹き飛ばせ!

暗黒街の奥深く。シオカワの幹部たちはウルトライダーを打倒すべく

作戦会議を開いていた。基本、現場の怪人達が優秀にデータを取ってくれるので

これと言ったトラブルは起こらない。時には暇を持て余す。


「へぇ・・・デパート怪人マネキンダーと四国大蛇がデキてたって・・・」


「シッ!四国大蛇さん、この前、宇宙特警に絡まれてそりゃあもう

 ビーム撃たれてレーザーソードでズタボロにされて寝込んでるんですから。

 触れないでおいてあげましょう。」


「後はヘビ怪人ストロングコブラからメール・・・

 蛇を模した触手が勝手にイヤホンみたいに絡まります。助けて下さい」


「大変だなぁー。家電量販店とコラボしてワイヤレス怪人にしないと・・・」


「いや、蛇怪人なんだから自力で戻せるんじゃね?電気屋関係無いよ。

 ワイヤレスで攻撃とか、そんな某機動戦士じゃないんだから」


怪人の開発は上々である。ウルトライダーのデータ観測により

新たなるアイデアが湯水の様に湧き出てくるが、事故でないにせよ

ちょっとしたボトムからの不満を無視して積もりに積もって爆発する事は

悪の組織じゃなくてもあってはいけない事だろう。

リスクは損害に、ひいては組織の瓦解に繋がる。


「ところでさ、悪の幹部的な笑い声ってあるじゃん?

 あれ、どのテンションでやってる?部下にミステリアス感を見せたいんだけど」


「あぁー。俺はヒラの怪人時代に・・・

 連戦で2日寝てなくて頭が死んで狂ってた時のテンションだな」


「でもさー。なんか、憂鬱なテンションを思い浮かべると

 そのまんま落ち込んじゃうよね。」


「だから嫌な時こそ笑うのが大事ってあるじゃん。

 昭和臭いけど気合いで乗り切るみたいな気概ってまだ持っていたいじゃない?」


「でも、昔電子レンジ怪人が居たんだけどさ」


「おう。何だよ」


「アイツ、語尾にチンって付けるんだけどさ。あれ反則で笑えて来る。」


「えー。どんな?」


「コンビニ行くと『23番の煙草を二個チン』。とか

 『レシートは良いチン。』とか・・・」


煮詰まる時はくだらない話ほど盛り上がるモノであったりする。


「そんで、俺達も笑い堪えてたんだけどさ。戦闘員に交通費渡す時

 これ、帰りの電車賃。って言った後にチンって付けた時は腹捩れた。」


「電車賃チ・・・あー。爆発するわーそれ。例の造成地で爆発だわー。」


しかし、悪の幹部がお笑い的な意図で笑ったのであれば

人間味が出てしまうと言うモノ。

悪の組織は逆境の時にこそ不敵に笑い、絶望を楽しむが如く

敢えて修羅の道を往くのだ!


「でもさ、ドジっ子のウルトライダーって増えたよね。」


「困るんだよねー。バトルか!?と思ったらベルト忘れたとか

 変身した後で職質喰らって警察行ったり・・・」


悪の組織は戦いたいのであるが

昨今のウルトライダーは危機管理意識が薄れており

むしろこちらが気を遣ったりセッティングしなければ

バトルにならないと言う現象が多発していたのだった。

シオカワは結果としてウルトライダーにも配慮した街づくりを計画すると言う

正義の逆転現象の中、この世の不条理と戦うのだ!

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