第2章:特に理由のないヒーローが街を壊す!

悪の幹部登場!闇取引の実態・・・

ここはシオカワ幹部がオフィスを構えるビルの一室。

ふむふむ。再強化手術をなされてウルトライダー達の襲撃に備えると・・・

よろしいのですが、そうなると現在ご契約なされている


・人生の旅立ちパック。儚く散った最終回プラン


こちらの方を乗り換えとなると・・・


・あの怪人にも悲しい過去が!ちょっとだけ回想シーンが入って

 憎めないやつだったなプラン


「こちらの方に変更なされると言う事でよろしいでしょうか?ボルケーン将軍。」


「おう!男に二言はねぇ!」


確かに結末は選べませんが有終の美を飾ると言うのも

男らしい決断かもしれません。

しかし、このボルケーン将軍ったら

言うほどウルトライダー達に覚えて貰えてなくって

下っ端戦闘員が「ボルケーン将軍!危ないからちょっと奥で待機して下さい!」

とか言うと言われた通り引き下がってしまって出番が無くなっていくのに

どうにか漕ぎつけた自分の登場シーンで

「俺様は、ボ・・・ボッケ―ン大佐である!」とか

噛んでしまったもんで、記憶力の良いウルトライダーが居たとしても

彼らにとってはボッケ―ン大佐なのだ。将軍から大佐にセルフ降格しちゃったよ。

なぁーにしてくれてんの?と言いたくなりますが

ここはまぁ、被保険者さんの立場、ライフプランを汲んで契約としましょうか。

世の中、間の概念と言うのも幸いして案外ノリでどうにか貫禄を維持している

悪の幹部ってのは結構居るのだ。いいね?


と、ここでお電話が来てしまいます。


「すいません!軽トラックが側溝にハマって抜けなくなったんですが・・・」


あぁ、これはいけません。戦闘員を出動・・・

と思ったらタブレット端末に通知が入る。

タイミング悪く近辺にウルトライダー出現!

急がねばなりません!市民の救出!ウルトライダーへの対応!

全てこのシオカワと怪人共済がサポート致します!


「塩河クン!私も行く。君にはいつも世話になっているからな。」


「ありがとうございます。」


契約はそこそこに現場へと急行!


戦闘員と怪人たちがウルトライダーデュナミスと抗戦中で

立ち往生しているご老人を助ける人員が居ない!


「ヌハハハハ!出たなウルトライダー・・・デュエリストめ!」


やったよ。この人、肝心なトコで間違えたよ。


「ボルケーン将軍!下がっててください!」


「怪人達よ!ここは俺が相手をする。早く運転手を助け出せ!」


「ハイ!」


まぁ悪い上司じゃないんだけどね。と言う人望も手伝ってか

久しぶりの指揮系統は上手く行ってます。


側溝にハマった軽トラックを戦闘員と怪人のパワーで持ち上げ救出!


ボルケーン将軍は・・・


「デュナミス・ダイナミック・ボンバー!!」


あれは!?ウルトライダーデュナミスの新必殺技!

あの技を喰らっては

ボルケーン将軍の憎めないキャラの中でも

特にネタが無いであろう悲しい過去の類を抽出する時間が無い。


仕方なーい!


私はデュナミス・ダイナミック・ボンバーの威力を即座に算定し

ボルケーン将軍の頑丈な鎧の外側に仕込んである

幹部になったら自動で付帯セットされる爆発オチ保障を発動!


「グワァァァァァ!!!」

何段構えか分からぬ大爆発と共にボルケーン将軍は

近くの川まで吹き飛ばされる。

特撮作品において水に落ちて意識不明と言うのは生存フラグ!

これは偶然ですが爆発オチ保障のおかげでボルケーン将軍は

鎧が吹き飛んだ程度で無事でした。


「塩河さん。それで契約の話なんですが・・・」


「死ぬかどうかよりホラ、部下の皆様方が・・・」


「ウォォォォ!!ボルケーン将軍生きてたぞー!」


「やったー!この後、飲み行きましょう!」


悪の組織。特に幹部の方は戦闘員や怪人の方よりも

多くの保険リスクを背負っています。部下の命を背負っているのですから。

悪の幹部の皆様はもしも自分が塵と消える時に部下に囲まれたいですか?


部下から慕われる悪の幹部には「ハラスメント防止特典」として

毎月高額な生命保険料を頂戴してる所を3割引き去る事が可能となっております。

悪の組織はトップとボトムの連携が重要です。

ポンコツだったとしても憎めない。そんな愛される上司になりましょう。



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