悪の組織の損害保険:怪人見積お安くします!

滝川ヒロキ

第1章:悪の組織は街を守りたい!

爆発四散!!メタル怪人死亡保険

それは日本のとある住宅街。この安っぽい火花や

打撃音はテレビの編集じゃない。ガシィィィン!とか軽い音は気にしないでくれ。

そしてこれは決してグラフィック表現ではない。良いね?

本当のヒーロー的なエネルギーを帯びた蹴りがメタル怪人を襲う!



「グァァァァァ!!!」


この世界のヒーローの一人であるウルトライダーデュナミスは

振り返る事なく見栄を切る。

かなり熟練しているが死体の確認はしない主義らしいので面倒が無い。

こっちにとってはある意味でチョロいヤツだ。


「はーい。爆発特約適応でーす。」


ヒーローが満足して帰った所で

ここからが私のお仕事です!

あ、こちら名刺となっております。


全国怪人共済の 塩河迫シオカワ・セマルと申します。


説明しよう。この世界のヒーローは大体単独行動を取り

いつも勝手に社会に向かって悪のレッテルを張って怒っている。

人の夢を阻むのを生き甲斐にしてるような奴らだ。

社会性の欠片も無く定職にも付かないのに、良く分からないパワーを振り回して

街の交通整理をしたり子供たちのお見送りをしている怪人達に暴力。

そりゃもう、悪趣味なバイクに乗って戦闘員や怪人に

殴る、蹴る。最近では趣味の悪い剣なんか出してきちゃって。

そんでもってビーム砲まで使うんだからまぁ町が焼け焦がされて仕方がない。


「うぁー。この爆薬良いねぇ。死んだフリ出来ちゃうんだもの。」


「でも結構擦っちゃいましたねー・・・ちょっとこれだと等級の方が渋くなるかも・・・」


最近では新たなるウルトライダーグレートとか言うのも現れて

世の中悪くなる一方だ。だけど、ヒーローもたまにはストーリーが必要なのか

力を制御出来ないぜー!って感じの暴走をしちゃって街をメチャクチャにしたりで

アホか。と言いたくなるけど

悪の組織シオカワの系列企業の積み立てや市民の援助を得て

怪人達への共済金を積み重ね、日々研鑽の果てに強化しているが

このメタル怪人ビルギブソンは見た目通りかなり頑固だ。

「俺の強化は後回しでいい!まずはお年寄りに通りやすい道路を頼む!三丁目の小林  さん家のお爺さんがこの前怪我をしたんだ!ヒーロー共が道路を壊すから畜生!」

と言って強化していれば倒せていたウルトライダーグレートを

意地の粘り勝ちで一度は退けたものの

あの、ドラマだと裏でスタッフに唾吐きそうな新人俳優っぽい男が

ウォォォォ!!!と叫んだらよく分からないパワーアップをするという

やはり手垢に塗れたご都合主義のグレートウルトライダーストライクで爆発四散してしまった。

メタル怪人と言う事で産みの親であるジャン・ピアソン博士の元に死亡保険金が支払われ

また新たなる合成怪人が作られるのだ!ウルトライダー共よ!震えて待て!

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