水無月、君の詩を描く。

@mr_h

卯月、盗作とK。





俺は物書きだ。今までに幾分か物語書いてき

たが、どれも浅はかでつまらない。結局は他

人の書いたものの模造品でしかない。言うな

ればこれは盗作である。また世の中に溢れか

えっている物語も盗作である。決まりきった

ひな型に自分のエゴや理想像を注ぎ、最後に人を殺し、読者の感動を誘う。こんな使い古された手法で賞賛され、有名になり、富を得

る。こんな世の中を大変気持ち悪く思う。

皮肉なことに、俺は盗作が人より得意だった。逆にそれ以外の才能は持ち合わせておらず、つまらない物を書いて生きるしかなかった。幸いにも金には困らなかった。

4月、俺はとある少女と出会う。身長は俺の肩くらいの高さで、小柄だ。目は大きくて鋭

く、への字型の眉毛が重い前髪から覗いてい

る。美女ではないが不細工でもない。彼女は

自分自身のことを「K」と呼んだ。

Kは俺と違って多才だった。

俺はKを妬んだ、と同時に強く惹かれた。Kは俺に足りない全てを持っているような気がした。Kは音楽を好いていた。その音楽は綺麗で、美しく、俺の気に触れた。

Kの音は世界で1つだけのように感じた、それは俺が音楽の才能がないからこそ思うのかもしれないが。俺がKならどれだけ楽しかっただろうと思う。そしたら、俺は俺だけの俺のための歌がかけたらと常に考えていた。桜の風の匂いが鼻についた。

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