いつもの百合な朝が来た
SAKI〔サキ〕・HVW─18 は、窓のカーテンの日差しと設定された時刻に従ってスリープモードから、活動モードへとスイッチが入れ替わった。
「ふぁぁ、朝かぁ」
人間そっくりに形成された銀色の顔、髪も銀色で、人間とヒューマノイドを頭部で簡単に判別できる箇所は、目の虹彩が空色をしていて瞳が赤い四角型をしているくらいだ。
体の表面はコーティング式の、銀色をした人工強化
タオルケットが掛けられた、自分の部屋のベットで体をほぐすように伸ばすサキ〔SAKI〕。
もちろん、サキはヒューマノイドの機械なので、人間のように目覚めで体をほぐす必要はない。
イプシロン・アイから与えられたプログラムに従って、人間の行動や習慣をマネしているだけだ。
タオルケットの盛り上がりやボディラインを見ると、まるで人間が裸で
寝ているように見える。
ヒューマノイドの首の周りやタオルケットから覗いている肩のジョイント〔関節〕部分は銀色をした蛇腹状で覆われている。
ヒューマノイドは暑さも寒さも感じないので、年間通してタオルケット一枚で十分だ。
サキが上体を起こすと、タオルケットがズリ下がりサキの胸部が露出する。
乳首が無い人間の乳房を模した軟質素材の胸部──サキはそのまま、ベットからタオルケットを外してフローリングの床に立つ。
銀色のヒューマノイドボディ──手首関節、肩関節、肘関節、膝関節、足首関節は蛇腹状になっていて。
手足の指は球体ジョイントの関節になっていた。
胴体部分は、限りなく人体に近づけた軟質素材で作られていた。
内部には機械部分以外にも、人工骨格や潤滑油が詰まった人工筋肉が人間の解剖図と同じ位置に埋め込まれていて、体を手で押した時の感覚は人間そのものだった。
腰関節と股関節の蛇腹関節は、内部に隠すようにされていて、人間が腰や股関節を曲げるような感じになるように設計されている。
残されていたヒューマノイドの設計図を最初に見た、イプシロン・アイは。
《なぜ、ヒューマノイドに不要な人間の人工骨格と疑似筋肉が? 駆動させるためだけならモーターで十分なはずでは? ヒューマノイドの外見や触った時の感触が、より人間に近くなるように設計されているのは、なぜ?》
そんな疑問を抱きながらもイプシロンは、人間に限りなく酷似した女性型ヒューマノイドを量産した。
ヒューマノイドの体にあるモノ【エネルギー注入用のおヘソの穴と、人間のようなお尻の谷間】
ヒューマノイドの体に無いモノは【乳首、生殖器、排泄孔は無く】股間は人形のように、のっぺりとしていた。
一見すると、銀色の裸体に見えるヒューマノイドのサキは、ドレッサーミラーの前の椅子に銀色の体で座ると。
人間が髪をブラシでとかす仕種をマネしてから、学生カバンを手にした。
「遅刻しちゃう、学校行って来ま──す」
そう言ってSAKIは、銀色の体で学校へ向かった。
外には、サキと同じように登校する、女性型ヒューマノイドや。
出勤する女性型ヒューマノイドが歩いていた。
全身銀色で一糸まとわない姿で、歩くヒューマノイドたち。
もちろん、人間の生活を再現させられている彼女たちには。
自分たちがヒューマノイドだという自覚はなく……人間だと思い込んでいる。
交差点で信号が青に変わるのを待っていた、SAKI〔サキ〕・HVW─18の肩を軽く叩く者がいた。
「おはよう、SAKI」
クラスメイトの女性型ヒューマノイド『LISA〔リサ〕・HVW─17』だった。
SAKI〔サキ〕とLISA〔リサ〕は、イプシロン・アイによって。
GL属性や百合属性をインプットされていて、女性体同士で愛し合うように設定されている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます