白月の下で
鳴海路加(なるみるか)
1
あなたがいなくなって、半年が経ちました。私はまだ、立ち直ることなんてできません。
あなたがいないこの半年はすごく長くて、悲しくて、私はずっとからっぽです。何をしていても楽しくありません。
好きだった音楽も、映画も、お気に入りの香水も。あなたがくれたネックレスや、一緒に選んだペアリングでさえ。目を閉じて、耳を塞いで、何も感じなくなってしまえばいいのにと思います。
だって、それらすべてにあなたを感じて、あなたと過ごした日々を思い出して、悲しくなってしまうから。半年前までは隣にあなたがいてくれたのに。幸せだったのに。そう思ってしまう私がいるのです。
立ち直らなきゃ、自分の足で立って、踏ん張って、歩かなきゃと、そう思いはするけれど、どうしても、できません。
いつも、あなたが傍にいてくれたから。辛いときも、悲しいときも、あなたが隣にいてくれたから。だからどんなことがあっても、私は立ち直ることができていたのです。
そんなだから、あなたがいなくなってしまった今は、どうやってあるけばいいのかわかりません。立ち方すら忘れてしまったみたいです。
去年の今日、約束したこと、覚えてる?
『来年も再来年も、この先もずっと一緒にいよう』
って、言ってくれたよね。ずっとずっと、一緒だよって、約束したのに…
それなのに、なんでいないの? 今日は、2人の記念日だよ。約束の証だって、今も左手にあるのに。私だけ置いていくなんて、ひどいよ…
だから、決めました。私、あなたの元に行きます。そうしたら、これからもずっと、あなたと一緒にいられるでしょう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます