このスレッドにはこれ以上の書き込みは出来ません




 ホームルームにフミカは遅れてやって来たから挨拶などはしてない。


 黒板の横にあるスペースにデカデカと置かれた投票箱。


 あれに白紙の紙を入れるみたいだな。


 ホームルームが終わると先生がまだ入れてない奴は居ないかと確認を取っていた。


 そして舞台は武道館へと。





「さぁ、恋愛投票を始めよう」



 イケメン君が舞台に上がると皆が歓声をあげる。


 今から俺がすることはそれをぶち壊す事。


 注目度はMAXだろう。


 今更手足が震えてることを自覚する。



『信じてるから』



 なんだよそれ......。


 俺はスレッドを開く。


0999 名無し 2021/04/25 08:25:12

応援してるぞ!


1000 名無し 2021/04/25 08:25:13

頑張れ!


【このスレッドにはこれ以上の書き込みは出来ません】



 ありがとよ。


 俺の事を応援してくれてるスレの住民達に感謝して、俺はスマホをポケットにしまう。


「ここに結果が書いてある紙がある、それでは結果を発表したいと思う」


 イケメン君は集計が終わったのだろうか、1枚の紙を取り出した。


「理想のカップルに決まったのは1組だけですね、名前を呼ばれた方は舞台に上がってください」


 周りは落胆の声が上がるが、何故か皆納得している。


 その答えはすぐに出る。


「桜木文香さん、舞台へ」


 女子はイケメン君と自分の名前をペアで書く。


 男子はフミカと自分の名前をペアで書く。


 そして男女共に理想のカップルはフミカとイケメン君を書く。


 他にもあっただろうがイケメン君がやるのは自分の得になるような事だけだ。


 他の理想のカップルなど省くのは当たり前、反論が来ても同率でした〜なんて言っておけば済む話だ。


 怖じ気付くなよ!


 フミカが舞台に上がり、皆が拍手を贈る。


「僕と文香さんが理想のカップルに選ばれました」



 ぶち壊してやる。



『ちょっと待てよ!』



 俺は勢いよく立ち上がると大声で叫ぶ。


「なんだい?」


「反対意見だ」


「君、自分が何をしているのか本当にわかってるのかい?」


 俺に歯向かえば、また昔の繰り返しだぞって事だろう。


 少し怖い顔になってんぞ。


「理想のカップル? 馬鹿らしいな!」


 息が止まる、皆の視線を一気に浴びる俺は手足が震える。


 ここ何年もトラウマと付き合ってきたんだ、少しぐらい止まってくれ。


 舞台に立っていて俺を見据えるフミカ。


 信じて疑わないって目だな。


 俺は歩きながら舞台に向かう。


「お前ら、こんなんで本当に選ばれていいのか? ここには生徒会長が好きな生徒もいるだろう! フミカを好きな奴もいるだろう!」


「それがどうした!」


 自分の思い通りにならなかったらそれかよ、動揺してイケメンフェイスが台無しだぞ。


 苦しいな。


 フミカの為と思えば自然と怖くはない。


 俺は舞台に立つと全校生徒の前で黒歴史を刻む事にする。



『俺は......俺はフミカが好きだ!』



 大声で叫んだ事で息が......。


 もう既に限界の俺はふらっと視界が歪む。


「りょうくん!」


 近くに来ていたのだろうか全然気づかなかった。


 ニコッと笑うフミカ。



『私はここにいるりょうくんが好きです!』



 知ってるよ。


 フミカが叫ぶとシーンと静まり返る会場。


「おいおい、理想のカップルってこういう事を言うのか生徒会長?」


「そ、そうだ! 不純異性交友にならないために」


「それは建前だ、悪いがもう俺とフミカは付き合っている!」


 フミカが一緒ってだけで俺は強くなれる。


 手足の震えも無くなり俺は大きく息を吸い込む。



『この中に隠れて付き合ってるやつもいるだろ! 自分の彼女が理想のカップルとやらで他の男に取られるのを見てお前らは我慢できるか!』



 静まり返っていた会場が熱を帯びる。


 少しでいい、反乱の兆しを。


「俺もアイツが取られたら我慢出来ねぇ!」


 1人の男子が立ち上がり叫ぶ。


「私も嫌だ!」


 そりゃそうだよな!


「今、俺達はカップルになったんだ、告白したら付き合えるかもよ?」


 俺の声にあてられてか。



「俺は佐藤栞さんが好きだ!」


「えっ? 私?」


「ずっと前から好きでした!」


 色んな所で告白合戦がスタートし始めた。


 1通り満足しただろう。


『おい! お前らに聞いてやる! これでも恋愛投票とやらに反対の奴がいないか?』



 答えは決まってるよな。


『『『反対に決まってる!』』』



 全校生徒が声を合わせて叫ぶ。


「形勢逆転だ、生徒会長さん?」


「オタク、覚えてろよ!」


 イケメン君は顔を真っ赤にしながら退場していった。


「りょうくん、私達恋人になったんだね」


「......流れで......」


 フミカが抱きついた拍子に顔を近づけて、俺の唇を奪う。


「もし嘘だったりしたら殺すからね?」


「俺でいいのか?」


「りょうくんじゃないとダメなの!」


「そうか......」



 俺達はすぐさま舞台の袖に移動する。


 ポケットからスマホを取り出すと。


「女の子?」


「......違う、何持ってんの?」


「これ持ってたら意中の男の子が言う事聞いてくれるってヤンデレ日記って本に書いてあったの」


 変な本に影響受けすぎな!


 ナイフを片手に持ちながら迫るフミカ。


 潤んだ瞳でゆっくり近づいてくるフミカは可愛いけど......普通に怖いわ!


 俺はすぐさま駆け出した。





【ヘルプが必要か? 暇人おれたちが助けてやろうwwwpart2】


 俺はダサいネーミングセンスのスレタイを開く。


0398 名無し 2021/04/25 10:28:50

お困りな方はいるかな?




 俺は助けてくれと願いを込めて打ち込む。



0399 名無し 2021/04/25 10:28:51

<<398

ヤンデレ美少女から逃げる方法教えてくれ!!!





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