第24話 と言う事で、チート能力はやっぱり便利です。

 私の名はシェリー。光の神に使われし聖者。そしてイヴェンタで学門の教師として働いている。


 今日はこの国に突如として出現した魔王の元へ向かい魔王を説得して浄化しようと試みている。

 その魔王を討伐に向かった人々は帰らぬ人となり町では悲しみの声が溢れている。でも、もしかしたら生け捕りにされているかもしれない。私は僅かな希望を持ち、あえて武器を持たずに今魔王が居ると言われている城に辿り着いた。


 ここからが勝負よシェリー。


 胸に手を当て深呼吸をしてから城の領域に入った。しかし数分もしない内にある声が聞こえる。その声の主は若い青年の様な声と美しく透き通る様な女の声だった。


 茂みに身を潜め、声の方を見る。そこには軽い男物の服を着た男がいた。もう一人の女を見た瞬間、私に激震が走った。なんとその声の主は私の大切な友達であり光の神の加護を受けているセイナだった。どうして彼女がこんな所に…?彼女は…ゼータ、ミーニャと共に魔王の討伐に向かったはず…。まさか…!!あの男が…!!


 それにしても様子がおかしい。男は衰弱し、セイナがそれをヒーリングしている様に見える。とても男が魔王だとは思えない。

 苦しそうな表情を見せ、男が何かを言っている。その声にセイナが半泣きで応えている。



男「くっ…!あの女が招いた事態が…これ程まで…!!」


セイナ「これ以上は動かないで!」


男「止めるんだ…!!今の状態でヒーリングを使えば…セイナまで…!!」


セイナ「私は良いの…。神の教えを信じているだけ…!!」


男「くそ…!!これも全てあの女の…ミリリアのせいだ…!!奴が俺を…魔王扱いしたせいで…!!レイドやゼータまでもが…!!」



 レイドやゼータまでもが…?男の口調からしてまだ生きてるみたいだ…。それに演技とは思えない…。


 男は苦しそうな声と表情で再び口を開く。

 セイナは悲しそうな声でまた応える。



男「もう…いいから…!!俺を置いて…行ってくれ…!!」


セイナ「嫌よ…!!そんなの…!!」


男「セイナ達だけでも…!!」


 

 気が付けば私は二人の前に飛び出し、男をヒーリングで癒していた。


 しかし、途端に気が遠くなり始め、私の記憶はそこで途絶えた。


……………………………………………。


 よし、作戦通りだな。


 ん?何の事?そんなもん、今目の前で戸惑いを見せてるシェリーの事だよ。


 とりあえず何でこうなったかを説明しよう。


 今日起きてから朝食を済ませてやる事やって役割決めて~って色々やってたら城の入り口の方から誰か来るのが見えてさ。よ~く見たら、身長が165cmぐらいで目は青く透き通ってて、協会にいるシスターみたいな服装に十字架を首から下げた女の人が歩いてきたんだよ。その時、セイナが通り掛かって「何してるの?」って聞いてきたから事情を説明してセイナに見せたら、まさかのセイナの知り合いだってさ(笑)


 たまには面白い事したかったから急いで着替えてセイナを呼んで《演技》を全開に駆使してシェリーを迎えたんよね。


 演技の内容は、とにかく九死に一生みたいな状況で尚且つ仲間を心配しながら死んでいくっぽい中で、セイナが必死に助けようとしてくれてるみたいな?(笑)


 そんなこんなでシェリーが来るタイミングを見て迫真の演技をぶちかました所にまんまと引っ掛かったシェリーの余計な記憶をぶっ飛ばしたって感じだ(笑)


 ほぇ?記憶を飛ばしたってどう言う事って?


 そっか、まだ話してなかったな!実は昨日、【今日の千智のステータスチェック!!】を終えて風呂に入ろうとして脱衣所に行った時に運が良いのか悪いのか知らないけど、風呂に入りに来て上がったばかりのソニーラと鉢合わせたんだよ。相手もすぐに隠したし俺も反射的に脱衣所を出たから何も見てないけど、その後に脱衣所から出てきたソニーラが俺に背中を見せたまま恥ずかしそうにウズウズしながら



ソニーラ「み、見たんだよな…?その、私の…裸…。////」



 って言ってきたから、流石に気まずさと申し訳なさが溢れて気が付けばソニーラに向かって手を向けて『今の間の記憶が消えろ』ってめっちゃ念じてたのよ。そしたらさ、ソニーラが急にコロッとした態度とキョトンとした顔をしながら角で腰抜かしてる俺に向かって



ソニーラ「ん?何してるんだ?風呂なら空いてるぞ!」



 って良いながら笑顔で自分の家に帰ったんだわ。


 その時に確信が付いた。俺に記憶を飛ばす潜在能力が追加されたって!


 早速右腕の測定値見たら、案の定潜在能力の欄に《記憶抹消》ってのがあって笑ったわ(笑)


 と、まぁこんな感じでシェリーの記憶も…って言っても、どの辺まで飛んでるかは解らんけどさ(笑)


 とりあえずテンパってるシェリーを正気に戻す為に俺とセイナで対応する。


 …にしても、可愛いな。たぶん俺よりも歳は上なんだろうけど、その割にはドジっ娘要素があって愛嬌がある。おっと、そんな事を考えてる場合じゃねぇな。


 俺はシェリーにいくつかの質問をする。シェリーはテンパりながらもそれに応えてくれた。



千智「まぁ、落ち着きなって。まず、何でここにいる?」


シェリー「何で…なんだろう…。」


千智「次だ。誰に頼まれてここに来た?」


シェリー「頼まれて…来たのかしら…。」


千智「じゃあ最後、ミリリアって名のる自称女神は知ってる?」  


シェリー「ミリリア…?貴方の知り合いですか?」



 よし、ありがたい事にミリリアが来た事すら忘れてる。ここに色々吹き込めば一発でこっちのもんだろ。


 こりゃ好都合だねぇ~(笑)


 っつう事で、シェリーに今の現状と置かれてる立場を全部話して晴れて俺達の仲間になった。セイナがこの場にいる事で威力は倍増したっぽい(笑)


 そうこうしてる内にレイド達が狩りから帰ってきた。ジダーニが肩に魔獣みたいなのを担いでる事から、狩りは上手く行ったんだと確信が付いた。

 これが生計ってやつか。俺の異世界ライフはまだまだこれからなんだろうなぁ~(笑)


 ま、頑張りますか(笑)


 よぉ~し、今日は早いかもだけどここまでにするぜ!!

 じゃ、次でまた会おうな!!


【今日の千智のステータスチェック!!】


 【葛城千智】Lv.79 HP82/∞ (異国の民)

《火魔力:59(上限∞)》《水魔力:32(上限∞)》

《風魔力:61(上限∞)》《光魔力:20(上限∞)》

《闇魔力35(上限∞)》《打撃魔力105(上限∞)》

   《未解放特殊潜在能力:不明》

《解読能力》《浮遊》《能力透視》《超演技》

《侵食》《冷静》《戦略》《超見切り》

《ド根性》《覚悟上等》《ホームラン王》

《起死回生》《漢気》《友好》《護衛》

《死神の加護》《魅力》《誘惑》《色気》《NTR》《デンジャラスキッカー》《五感鬼神》

《無邪気》《魂の投手》《アイコンタクト》

《調整》《記憶抹消》《心の潜入》

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