と言う事で、死神からチート能力もらった俺は異世界で魔王として君臨します。
クロカゲ
第1話 と言う事で、葛城千智死にました。
俺の名前は
…ちょっ!本当だからなッ!!
…って待てよ。ここ、どこだ?と言うか、俺何してたんだっけ?暗いし、何か声聞こえるし。
???「目覚めるのだ…葛城千智。」
…誰かが俺に話し掛けてる。とは言え混乱してるから返事をしようにも返事の言葉が出ない…。…俺の手が見えることから、視界はあるみたいだ…。だけど…他には何もないな…。本当にただの暗い空間って感じだ…。
???「君は選ばれた逸材なのだ。」
確かに俺は逸材なのだろうが、逸材とは言っても頭が悪悪なバカ…と言うよりアルティメット中二病ソルジャーの持ち主の逸材だと思う。
とりあえず今はここがどこなのかを知りたい。あと、俺は何をしてここに来たかも知っておきたい。
???「早く目覚めよ…。」
…うるせぇな。誰だか知らんがさっきからしつこいぞ。
服はさっきまで着てたTシャツにジーンズだし、体を見ても特に何もなさそうだ。
???「早く目覚めよ。そろそろ怒るぞ。」
プチン
千智「うるっせぇなッ!!さっきから目ぇ覚めてんだろうがよッ!!眼球付いてねぇのか!?」
???「だったらこっちの呼び掛けに応えろよッ!!」
咄嗟にキレてしまった。だが俺の後にすげぇ威勢の良い怒鳴り声が聞こえる。…俺もキレられたんだな。ま、無理もないか。
声の主を見る。そこには一人の女が立っていた。ピンク髪のロン毛に前髪はぱっつん。背中に鎌を背負っており身長は俺と同じぐらいでスタイルは…黒いマントとフードに覆われていて見えなかった。
可愛い…。うん。可愛い。色白で透き通るような肌と綺麗に輝く赤い瞳。
うん。性癖に刺さる。等と考えながらとりあえずその女に謝った。
千智「あ、ごめん。んで、ここどこ?」
???「ここは我々死神に誘われし逸材が渡る通り道。君は不幸な事に交通事故で死んでしまったのだよ。」
なるほど。死神ね。…ん?俺死んだんだっけ?頭の理解が追い付かない。死んだからここに来たって訳?いやいや、そんな事ねぇって(笑)そんな事…ある訳ないよね?(汗)
またしても俺を混乱の波が襲う。てんやわんやしてる俺にお構い無しに死神は清々しい顔をして話してくる。
死神「哀れにも死んでしまった君には、我々から何か能力を与えよう。そして別の世界線に行ってもらいたい。」
…おいおい。本気で言ってるのか?死んで変な空間で能力をもらって異世界に転生?
バッカでぇぇぇぇい!!待て待て待て待て待て待て待て待て待て。どう考えても在り来たりが過ぎないか?小説やらマンガやらゲームやらをやっている輩からすれば親の顔より見た展開だぜ?もうちょっと、こう、何と言うか、斬新で新鮮な展開とか無かった訳?
これは違う。きっと何かの間違いだ。
既視感がスゴ過ぎて俺の物語が最高にクソ作品まっしぐらだぜ。
死神「さぁどんな能力がいい?火か?水か?それとも電気か?」
顎に手を置き、冷や汗と共に不安隠しの笑みをうっすらと浮かべ頭を整理させる。まず…何してたっけ…?思い出せ…!!思い出せ…!!あ、そうだ!!俺は半年前から楽しみにしてたトレカを買いに行ってたんだ!!で…その後は…道端に現金で数百万が落ちていて…何かに押されて…トラックに轢かれた…。
ん?【何かに押されて…トラックに轢かれた…。】?
…え?【何かに押されて…。】…!!
…しつこいかも知れないがもう一度…【《何かに押されて》】…!!
青ざめた顔で恐る恐る死神に聞いた。
千智「な、なぁ死神さん…。」
死神「ん?欲しい能力が決まったのか?」
千智「変な事聞くんだけどさ…その、貴女…俺の事を【突き飛ばしたり】しませんでしたか…?」
俺が死神に質問した瞬間、死神の様子がガラリと変わった。先程までの清々しい顔とは打って変わって、冷や汗を流し、目は左方向に背け、口元を紡ぎガタガタと震えながら焦りを見せる素振りで笑っているように見えた。
…え?まさか…当たり…?またまたぁ~!!当たってる訳無いって(笑)。
……だったら何であの死神はあんなに動揺してるんだ?
千智「あ、あのぉ~…」
死神「なななななな何言ってんの!?そんな訳無いじゃん!!現金の幻覚を見せた隙に後ろから押して殺したってそそそそそそそんな事しししししないって!!!アハハハハハハ!!(汗)」
…嘘だろ。ここに来て衝撃的事実を突き付けられた。…俺がこの死神に殺された…?
どうしよう。何もかもがこんがらかってきた。同時に怒りすらも込み上げてくる…。
千智「な、何で…?」
死神「だってしょうがないでしょ!?上から乱れた秩序をさっさと直せって急かせれたの!!まぁぶっちゃけ誰でも良かったし、中々体験できる事でもないから感謝しなさいよ!!」
ふざけてるのか?誰でも良かったから俺を殺した?中々体験できる事でもないから感謝しろ?
涙すら流した。何年ぶりだろうか。相手を憎んで悔しくて涙を流したのは。
俺は泣きながら猛抗議を始めた。
千智「俺なんかよりも、もっと連れてくるような奴がいただろッ!!犯罪者とかさぁ!!」
死神「そんな奴等を連れてきたら私が危ないじゃないッ!!」
千智「危ないってあんた死神だろ!?危ないどうこうの話じゃねぇだろうがよッ!!」
死神「うるっさいわねぇ!!さっさと力選んで消えてよ!!」
俺を勝手にここに連れてきておいて何て奴だ。そもそも死神が生きてる人間、高々犯罪者なんかを恐れてどうするんだ?驚きで鼻水が出てきた。どうした事か、ショックと怒りで言葉が見つからず握り拳を作り体をブルブルと震わせるしかない。
何で勝手に殺してきた死神からそんなデカい態度を取られ罵倒までされなくちゃいけねぇんだよ(汗)
いや待てよ。能力をくれるんだよな…?……良いだろう。ならばエグいもん持っていってやる…。
涙と鼻水を流しきり軽い賢者タイムを迎え、死神に言った。
死神「まだ決まんないのぉ?」
千智「…俺の望む事が何でも出来る力…。あとあんたの背負ってる鎌と今履いてるパンツ…。」
そう。俺が望んだ力は、全てが俺の思い通りに出来て思い通りの攻撃が出来る力。言わゆる《チート能力》だ。
これさえ手に入れば何が来ても何があっても絶対に思い通りの結末に持っていける。即ち、異世界で能力をもらって仲間を増やしてハーレムを築き、ズルをせず努力をし、何かしらの強敵を倒してチート級の力を手に入れ讃えられる等と言うその辺にある様な在り来たりが過ぎる異世界物ではなく、斬新で新鮮味のある新たな展開へと持っていけるだろうからだ。たぶんだけどな。
それと、鎌とパンツは純粋に欲しかったのだ。
死神「そんなのクソ能力じゃないのよ!!パンツとか頭おかしいんじゃないの!?」
千智「俺は元から頭はおかしいぜ。ほら、さっさと力を寄越せよ…!!」
死神「コイツ…!!」
ヒャッハー!!バカめが!!この俺を連れてきたお前が悪いんだよ!!さっさとパンツ脱いで辱しめと共に鎌と能力渡せってんだ!!等と言うクズ思考を頭に張り巡らせ、勝利を確信した顔で煽り、手をワシャワシャとさせながらこれから起こる最高の滑稽を思い浮かべていると、上から何やら少し干からびた様な声がした。
声の方向を見る。そこには目の前にいる死神よりもボロくなったマントとフードに覆われた骸骨がいた。
骸骨「ほほ?人間連れてきた?」
死神「か、閣下!」
千智「閣下?」
どうやら骸骨はこの空間では【閣下】と呼ばれているらしい。…確かに何処と無く、何となくそんな雰囲気は出てる…雰囲気だけだけどな。
死神「でも、この人間マジでゴミみたいなクソ人間なんですよ。」
閣下「ゴミでも何でもよいよい!して、何が欲しいのだクソ人間。」
コイツら…俺を何だと思ってんの?そこの死神に関しては勝手に人を殺してんだぞ?ふざけるのもいい加減にしろ…。なんて思ったとしてもコイツらには何も響かないだろうな。
仕方無しに俺はため息混じりに閣k…いや骸骨にさっき死神に言った事と同じ事を話した。
閣下「ほぇ~欲しがりだねぇ君~!!」
千智「まぁ、そこの死神に勝手に殺された挙げ句、罵倒されて散々な目に遭ってんだ。」
閣下「お前また関係ない人間持ってきたの?」
死神「あ、はははは…(汗)」
閣下「全く。まぁ、そのレベルまで秩序が乱れまくった世界線はあるけどもぉ~。」
千智「なら良いだろ?」
閣下「でも結構危ないよ?」
死神「危なくても、この程度のゴミならすぐに用意出来ますよ(笑)」
出来ますよ(笑)じゃねぇよ…!!今の俺に力があったらお前を…!!…はぁ。もういいや…(汗)
とりあえずこの空間を早く出たい(汗)
閣下「ま、いいや。そこの魔方陣に立ってぇ~。」
千智「お、くれるのか?」
閣下「うんうんあげるあげる。だから早くしてくれちょ。」
千智「チッ。」
閣下「あ~え~い~ほい~。使い物に~ならない~ゴミ~ほい~。さっさと~どっか行け~ほほほほいほいいほいほほいほい~!!」
俺が魔方陣に立つと骸骨は腑抜けた声で嘗め腐った歌と共に体を軽く揺らし軽快に儀式を始める。それに合わせて死神が笑顔で手を叩く。
てめぇら次会った時は覚えとけ…!!骸骨は擂り鉢で粉々にして花壇に撒き散らしてやる…!!んで死神は俺の◯奴隷にでも…!!
目を瞑り体を震わせ復讐を考えていると足元の魔方陣が光り出した。次の瞬間、思いっきり目映い光が俺を包んだ。
……………………。
再び目を開ける。しかしそこには先程の空間は無く、目の前に巨大なゲートの様な建築物があり、その回りには推定60m程の壁が聳え立っていた。それ以外にはただの広い草原が広がっていた。
千智「………マジ?」
どうやら本当に異世界に来てしまったらしい。
現実を受け入れられない俺の背中に何か重たい物が背負われている。それを手に取り凝視する。
千智「あの死神の鎌だよな…。」
それはやはり死神が持っていた、紅い宝玉が埋められ全体をガンメタリックの重工感あるメッキが覆っており、所々に赤いラインが入り全体的に刺々しく、いかにもアルティメット中二病ソルジャーを擽られるデザインの鎌だった。
そしてふとある事を思い出した俺はポケットに手を突っ込みそこにあった【物】を引っ張り出す。
千智「…!!」
俺は思わず声に出し、その手の物を天に掲げ大きなガッツポーズを取りながら叫び散らしてしまった。
千智「うおぉぉぉぉぉぉぉッ!!パンツどぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
俺、【葛城千智】の異世界生活が始まってしまったって訳だ…!!
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