第138話 夏休みの計画
夏休みの補習を避けるため、俺とサーシャ、そしてエルシーにポルフィにマイロの五人で集まり、勉強会を始める。
とはいえ、問題になるのは俺とポルフィの二名。
サーシャとエルシーはAクラスというだけあって座学の成績も大変優秀だった。一方、マイロは俺と同じBクラスではあるものの、座学は得意で成績は常に上位であった。
俺やポルフィも決して苦手というわけじゃないが……Aクラス入りを狙うならもっと好成績をマークしなくちゃいけない。
しかし、サーシャたちの教えを受けて、俺とポルフィは次々と課題をクリアしていく。想定していた以上のペースで勉強が進んだため、いつの間にか話題は勉強以外のことへと移っていた。
その話題とは――夏休みの過ごし方について。
「私とエルシーはレヴィング家の別荘へ行く予定なの」
「夏は毎年あそこで二週間ほど過ごすんですよ」
「「「へぇ」」」
さすがは騎士団長の家族。
別荘とはなかなかに豪勢だ。
……って、よく考えたら俺も貴族なんだから、別荘くらいあるかもしれない――が、今の生活ぶりを振り返ると、たぶんそれはないかな。父上は贅沢するタイプじゃないし、別荘を建てる金があったら領民のために使いそうだ。
「三人は、何か予定ある?」
「「「うーん……」」」
一斉に唸りだす俺とポルフィとマイロ。
俺の場合は……父上に聞いてみないことには分からないな。
もしかしたら、家族でどこかへ行くことも計画しているかもしれないし。
「私は特にないかなぁ」
「僕も、何か特別なことをしようって計画はないですね」
ポルフィとマイロのふたりは、夏休み中も学園へ残り、寮で過ごすという。まあ、ここにいれば食事も出るし、鍛錬もできるからな。ただ、せっかくの長期休校の間もずっと鍛錬というのは息が詰まってしまいそうだが。
そんなふたりの予定を耳にしたサーシャはポンと両手の平を合わせて、
「なら、ふたりも私の別荘へ遊びに来ない?」
「「えっ!?」」
まさかの誘いだった。
サーシャ・レヴィング――言わずと知れた、ゾイロ・レヴィング騎士団長のご令嬢。この学園の卒業生の中には、騎士団に入る者も少なくないため、娘であるサーシャに取り入ろうとする学生は多いとガインさんから聞いたことがある。
そんなサーシャからの誘いに、ふたりは最初戸惑っていた。
恐らく、サーシャは気づいているのだろう。
ポルフィもマイロも、損得勘定で自分に近づいたわけではないということを。
そうした感情なしで付き合える、本当の意味での友人となると、これまで幼馴染で護衛騎士でもあるエルシーくらいしかいなかったから、サーシャとしてもふたりともっと交流を深める機会としたに違いない。
それをふたりも理解し、
「よろしくお願いします」
「僕も、ぜひご一緒させてください」
「決まりね。ハーレイはどうする?」
「もちろん行くよ。――ただ、その前に父上から了承をもらわないとだけど」
「家柄的にも、気軽に出歩くわけにはいきませんからね」
エルシーはしっかりと理解してくれたようで、その話を聞いた他の三人も納得してくれた。
ただ、俺としては絶対に参加したいという意思があるということだけは伝えておく。
さて、楽しい夏休みの予定も決まったことだし、ここからスパートを上げてテストに挑むとするか!
…………………………………………………………………………………………………
新作をはじめました!
異世界転生×実は最強&万能主人公×物づくりスローライフ×ハーレム
「ざまぁもあるよ?」
【
https://kakuyomu.jp/works/16817139555862998006
是非、読んでみてください!
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